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生前贈与の壮大な大失敗。 ~ 舞台 リア王 ~

観に行きたい俳優さんのおひとり、江口のりこさん。

そこに最近ラヴ度が高まって来たカッツミーこと高橋克実さん。

チケット争奪戦で無事にゲッツ、おまけに足を運んだ劇場ではまたも最前列でしかもほぼ中央、ヒャッホー!!

シェイクスピア原作なので難しいに違いない・・と、舞台のホームページを予習しましたが、混み入っていてますます大丈夫かしら・・と思いながら幕が上がりました。

ここからはネタバレと感想になります。

これから観劇予定の方は後日お読み頂けましたら幸いです♪

演出はこちらの舞台と同じ、ショーン・ホームズさんでした。


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とある国を治めているリア王こと段田安則さん。

その国を三分割し生前贈与として分け与えるべく、可愛い三人の愛娘とその配偶者、忠臣の高橋克実さん達を集めます。

長女のゴネリルこと江口のりこさんは段田さんにうながされるまま、父への愛をそれはそれは流暢におべっかを並べ立て、段田さんの気を良くして無事に国の1/3をゲット。

続く次女のリーガンこと田畑智子さんも、江口さんに並ぶ口上をつらつらと並べ立て、これまた段田さんの気を良くして、無事に国の1/3をゲット。

ちなみに長女の江口さんには気弱な配偶者がおり、次女の田畑さんには同じくらい腹黒い配偶者がいます。ですが、三女のコーディリアこと上白石萌歌さんには配偶者はいません。

姉たちのような流暢なおべっかを言うことが出来ず、父のリア王を心から大事に思っている旨をつたないながらも語りますが、ど直球なおべっかを使った二人の後には見劣りしかなく、段田さんは「国も与えないし、顔も見たくない、とっとと国から出て行け」と怒り狂います。

こんな場面のすぐ後に、上白石さんに二人の配偶者候補がやってきます。

「とっとと国を出て行かないといけなくなった」娘に野望たっぷりの貴族は「自分に釣り合わないから願い下げ」と去ります。ですが、もうひとりの優しいフランス王は上白石さんの思いやりのある人間性にフォーリンし、嫁に貰い受けます。


ほぼ同時期にグロスター伯爵家の当主である浅野和之さんもリア王と同じように、生前贈与を考えています。

浅野さんは嫡子のエドガーこと小池徹平さんに全て与える気マンマンですが、私生児であり異母兄のエドマンドこと玉置玲央さんは何も与えられないことが分かり面白くありません。

玉置さんは策略を仕掛け、小池さんが浅野さんを殺して全てを手に入れようとしていると騙し、小池さんには浅野さんが怒り狂っているから逃げろとけしかけ、まんまと小池さんを追放することに成功します。


リア王こと段田さんは国を統括しなくなった身軽さのせいか、ルンルンで長女の江口さんのところへ100人もの従者を連れて好き勝手に過ごしています。そんな段田さんに江口さんはイライラが真骨頂となり、次女の田畑さんのところへ行け!さもなくば従者の人数を減らせと迫ります。

段田さんは江口さんに怒りつつ、田畑さんのところへ向かいますが、同じく好き勝手にする段田さんに、日々腹立ちの募る田畑さんは、やっぱ江口さんのところへ戻れ!!と言い放ちます。

あんなに「好き好き、お父様大好き♥」と言っていた二人の本当の気持ちを知ったところで、時すでに遅し。

ひたすら邪険にされ「こんなはずでは・・」と、段田さんは気がふれ始めます。


家を追われた小池さんはきちがいを装って国を彷徨い、体よく伯爵の権限をゲットした玉置さんは、江口さんや田畑さんに取り入り、二人の心を掴みます。

伯爵の立場どころかあわよくば「リア王の全ての国」まで手に入れるところまで迫ります。

気がふれ始めた段田さんを心配する、他国の嫁となっている三女の上白石さんは危険を承知で父の保護に向かいます。

権力奪取、地位独占、忠誠心、愛欲が入り混じり、欲望に飲み込まれた人間同士は己の欲望を手にするために相手を亡き者にすることを厭わず・・・


最前列だけに目の前1メートル先で演者の方が入れ替わり立ち替わりいらっしゃるので、違う意味でもドキドキしました。

最前列は舞台全体を見渡せませんが、演者さんの表情はバッチリ!

欲におぼれた江口さんと田畑さんの表情の憎たらしさったら(笑)

玉置さんの悪巧みが次々と上手く行く様も「みんな騙されないで!」「志村、後ろ後ろ!!(ドリフ)」といった気分でした。

正直者は馬鹿を見るし、権力や愛欲に貪欲な人間は、邪魔に思う人間に対して軽々と凄惨な仕打ちを与えます。

生き残ったメンツを見て、生き方って大事だわ・・とつくづく思いました。


ですが、舞台では欲におぼれた人ほど愚かで笑ってしまうことをしがちですし、大事なことも見失いがち。

殺伐としたストーリーにも関わらず、随所随所で笑ってしまうことが多々ありました。

古典だけに詩的なセリフの部分は自分には難解でした。

ですが、壮大な遺産相続話だけに現代的な側面があり、案外とストンと入って来ました。

何も手に出来なかったはずの人間が、壮大な全てを手に入れる寸前まで行ける爽快感も無くは無いかなっと(笑)


エグ味と滑稽さ、人間の欲望の際限の無さ。

今も昔も変わることは無いと思います。

難しいと思って尻込みされている貴方!!(ダレに?)

予習が無くても相当楽しめると思います。

チャンスがあればぜひ足をお運び下さい!


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