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2023年の(過小評価されている)経済問題①新興国の不動産バブルの崩壊

中国のエバーグランデに始まった不動産デベロッパーの苦境はもはや中国に限った話ではない。不動産バブル崩壊を持って中国経済崩壊を喧伝する人もいるが、それが事実ならされで済む話ではないだろう。


中国から工場が移転するトレンドにより経済成長を遂げてきたベトナムは最も深刻な不動産バブルの破綻に直面している国の1つである。1200件を超えるプロジェクトが中断に追い込まれ、業界団体のベトナム不動産協会は「危機の収束はまだまったく見通せない状況」だと明言している。


その深刻さは、2023年1月から5月までの間に、ベトナム全土で8万8000社以上の企業が業務停止に追い込まれ、その大部分が不動産の開発や販売を手がけていたことからもうかがえるだろう。


大手デベロッパーの「タンホアンミン・グループ」が社債を違法に発行し、投資家から多額の資金を集めていたことが判明したのが2022年4月。このデベロッパーは投資家から集めた資金を目的外流用していたのだが、規制当局の調査によりこの目的外流用が業界のデファクトスタンダードであると判明したこととそれに伴う規制強化により、ベトナムの社債取引高は激減した。


それが資金ショートをもたらしたことで2023年1月時点で54社が約束通りの期日に償還ができなかった。そしてそれらのデベロッパーの財政的問題は悪化し続けている。


ベトナムのような一部の新興国は不動産バブル崩壊の後始末をする程裕福でない。そしてそれらが経済成長のブレーキになる可能性は高い。インドからナイジェリアまで多くの途上国が類似の問題を潜在的に抱えている可能性が高く、過去10年にわたり新興国の経済成長に依存してきたグローバル経済にもたらす影響は懸念しなければならない。

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