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コーヒー屋に「ダイナミックプライシング」を導入することは可能か?

僕は今、京都でLaughterというコーヒーショップを運営しています。

「ダイナミックプライシング」という言葉、皆さんご存知でしょうか?
需要の変動に応じて、商品やサービスの価格を調整することです。

ゴールデンウィークやお盆の時期に航空機やホテルの料金が上がるのが最も身近な例です。

まもなく桜シーズンの京都では、このダイナミックプライシングを活用して宿泊施設の値段が大幅に変動しています。
今週末の宿泊と桜の開花が予想される3月末の宿泊では、全く同じ部屋の同じプランなのに価格が数倍から数十倍になっていることもざらにあります。

コロナが5類となってからは初めての桜シーズン。
京都市内はどこも観光客であふれている状態ですので、少々高めの値段設定にしても十分のお客さんを確保できるということでしょう。

客単価を上げることは超基本的な経営戦略の一つです。
ダイナミックプライシングは当然の経営努力と言えます。

「じゃあ、ダイナミックプライシングのコーヒー屋があってもいいのでは?」
と思いちょっと考えてみました。

確かに、ホテルなどと同じように集客が見込める日に少し高めの値段設定をするコーヒー屋があっても面白いのでは?と思いましたが、それは難しいのではないか?というのが僕の考えです。

その最も大きな理由は「消費者層の違い」にあるのではないかと思います。

ホテルの宿泊者、特に外国人となれば、人生でそのホテルに宿泊するのは今回の一回だけということも普通にあるでしょう。
もちろん、何度もリピートする常連さんもいらっしゃると思いますが、毎日・毎週宿泊するというものではないと思います。

一方、コーヒー屋・飲食店となればいかにリピート率を上げるかが一つのポイントになってきます。
毎日・毎週通ってくれる常連さんがいらっしゃるお店も多いと思います。

同じホテルに泊まった時、前回の宿泊価格を正確に覚えていらっしゃる方はそこまで多くないと思いますし、ホテル業界ではダイナミックプライシングなのがもはや当たり前になっています。
また、よっぽど狙って泊まりたいホテルが無ければエリアや値段で絞り込みをするので、多少の価格変動が消費行動に与える影響はそこまで大きくないのではないかと思います。

一方で、毎日・毎週でも通ってくださる方がいらっしゃるならこれは日々の価格変動は大きな影響を与えます。
あなたがよく行くお店の値段が行く度にコロコロ変わっていたら行きたいと思うでしょうか?

うちのお店でも毎回600円をぴったり用意してきてくださる方がいます。
「あそこは○○円くらい」という価格感が分かることも来店するうえでの安心材料の一つではないかと思います。

個人店になれば、余計「このお店が良いんだ!」と沢山の方に思っていただく必要があります。
「コーヒー」を買いに来たのではなく、「Laughterのコーヒー」を買いに来た!と思っていただく必要があるのです。
その時に、「価格の安定」はとても大切な要素の一つでしょう。

観光地にあり、一見さんを中心に商売をしていくとなれば可能性はあるかもしれませんが…
周辺のリピート客を狙うのであれば、常に価格が変動するというシステムはあまり受け入れられないのでは…?と思います。

その他、設定できる価格の幅が小さい、天候などで客足が変わってしまうのでどう価格変動させるか予想が難しい。などの要素が考えられるかと思います。

・コース制のメニューを作り、事前予約システムにする
・売り切りたい商品を値下げする(スーパーのタイムセールと同じもの)
など限定的にダイナミックプライシングを導入することは可能かもしれませんが、お店全体として常にダイナミックプライシングを導入するのは難しいんじゃないかと思います。

でも、実験的でもそんなお店があっても面白いかも!
また、飲食店やコーヒー屋でダイナミックプライシングを導入している事例があればぜひ教えて下さい!!

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