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障害者だから知れる喜び

(あくまでも、私が感じている思いです。)

2023年12月2日、私の10年越しの願いが叶いました。
その願いとは、

「乙武洋匡さんにお会いして想いを伝える」

10年…もしかしたら、もっと長い年月、目標の一つとして持ち続けてきたものでした。
「誰かに会いたい!」という願いは、その相手が例えどんなに有名な方であったとしても、もっと早く簡単に叶える方法はいくらでもある…と感じられるかもしれません。
例えば、
その方がゲストに来るイベントに参加する
公開収録のテレビやラジオの観覧に行く
サイン会に参加する

「会いたい」という思いが強くあるのなら、どんどんそういう場に顔を出して、そうしたら…その内顔を覚えてもらえて、もしかしたら…言葉を交わせるチャンスも来るかもしれません。

でも、私にはそれができませんでした。
その理由は、身体に激しい痛みを抱えているから。

私には、希少難病と言われる脊髄障害があります。
見た目は、身体障害があるようには見え難いです。
だから、当たり前のようにあちこちを歩き回れるように思われてしまうことが多いです。
でも、実際には、私の身体には、こんなことが起こっています。

・電車を使っての移動は、ほとんどできない
・一歩を踏み出すたびに、足裏から肩に掛けて痛みが走る
・1時間以上座った体制を保つことができない
・ほんの少し体に無理をさせると、痛みが激痛に変身し、身体の硬直が始まる
・目覚めは痛みと共にやってくる

だから、「そうだ!乙武さんに会いに行こう!」なんて気軽に動くことを選択してしまったら、「その後」の処理は大変なことです。
・帰り道は、もう歩けない
・翌日から数日はベッドから起き上がれない
・寝たきりになる期間、全てのお仕事を調整する必要がある
・取引先にも迷惑を掛ける
・寝たきりの期間、収入も減少する
・家族への負担も掛ける

そんな中で、「乙武洋匡さんにお会いして想いを伝える」その目標のために、どうしたらそのチャンスを生み出し、掴み取ることができるか…それをいつも頭に置きながら過ごしてきました。
チャンスは、どこかからやってくるものではない、自分で生み出すもの、と私は思っています。だから、目標に辿り着くための小さな目標をいくつも設定して、一つずつ一つずつクリアしていく。そうしていく中で、チャンスが目の前に来た瞬間に気付くことができます。自分がチャンスを生み出すために動いてきたのですから、チャンスを見逃すはずもありません。

2023年10月28日、チャンスがあることに気付くことができました。
この瞬間、歓喜の余り、両手で顔を覆って泣き崩れたことを忘れることはないでしょう。
そして、2023年12月2日、「乙武洋匡さんにお会いして想いを伝える」この願いを叶えることができました。

ー乙武洋匡さんと。10年越しの願いが叶った瞬間ー


そして今、2023年12月9日、私は無事に、全身が痛みに襲われ、ベッドから起き上がることもできません。痛みが、流れて来る度に、喜びが溢れてきます。

ここで、タイトルに戻ります。

「障害者だから知れる喜び」

身体障害も精神障害もある私は、多くの方が、まるで当たり前のようにできているのにできないことが沢山あります。
みんなにとって「当たり前」のことを、たくさんの工夫や協力、時間などを掛けることによって、「できる」に変えていきます(もちろん、手を尽くしてもできないこもたくさんあります)。
工夫を生み出すための知恵や、協力して下さる方を作っていくアイディアは、きっと、障害者だから持つことのできること。
そして、その工夫や協力を持った末、時間を掛けて「できる」になった瞬間に感じる、知れる「喜び」は、障害者だからこそ味わえる感覚です。

「乙武洋匡さんにお会いして想いを伝える」の願いが叶った瞬間、40名程の方が同じ空間にいらっしゃいました。でも、その誰よりも大きな喜びや、一つの達成感を持って、私はあの場に居ただろう…と感じています(もちろん、他の方のことは、その方に聞かないと分からないことです)。
もしかしたら、「1対1で会えてないのなら、大したことない」と感じられる方もいることでしょう。でもそれは、その方が感じること。私にとっては、一つの願い(目標)を叶えることができました。そして、当然に、次の目標も10年前から持っています。
だから、その目標に向かって進むだけのことです。

私は今、痛みに顔を歪めながら、笑顔を消すこともできず、勝手に涙が出てきます。こんな表情が自然にできるのは、たくさんの困難を乗り越えてきたからこそ。
私は、私の人生をとても誇りに思っています。

私の人生を掛けての「目的」は、


児童虐待を受けてきた全ての人が、生まれてきて良かった!と思える社会


の実現です。
大きな目的に向かって、一つずつ一つずつハードルをクリアして、チャンスを生み出していきます。



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