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虐待被害者統計データ初公開・要望書提出セレモニーイベント走り切りました!

私が代表をしている一般社団法人Onara主催にて、2023年9月19日(日)、サイボウズ株式会社 東京オフィス(東京都中央区)にて「見えなかった子どもたち~虐待被害者の未来を知ってください~」イベントを開催いたしました。

アンケート統計データ初公開

イベント開催に向けて、見えなかった子どもたち(※1)のアンケート調査(※2)を行っていました。
そして、この調査により集まった683名の方の統計データを初公開いたしました。この統計データは、国も把握していなかった、日本で初めてのものとなります。
子どもの頃に受けた虐待は、大人になってもその影響を大きく残すことが、明らかとなりました。

・精神科の受診歴あり 84.3%(日本全体では、3.9%)
・可処分所得140万円以下 63.8%
・生活保護受給率 16.4%(日本全体では、1.6%)
・自殺願望率 91.1%
・自殺未遂率 61.3%(日本全体では、コロナ禍(令和3年度)において、2%)

社会的養護未経験児童虐待被害者の実態調査アンケート統計データ(調査:一般社団法人Onara)

※1)見えなかった子どもたちについては、次のリンク先から

※2)アンケート調査については、次のリンク先から

政治家・専門家・支援者・当事者を交えたパネルディスカッション

見えなかった子どもたちが抱える問題、問題解決に立ちはだかる課題について、政治家、医師、支援者、当事者のそれぞれの立場からディスカッションを行いました。

政治家・専門家・支援者・当事者によるパネルディスカッション

山口有紗(小児精神科医)さんへの質問
―――虐待によるトラウマを抱えている方たちに、どのようなサポートやケアなどができる体制が整うと回復につながるか、教えて下さいますか?

「予防」という観点からすると、子どもたちが須らく持っている尊厳を子どもも大人も知っているということが大切。
トラウマを抱えている方が「気付く」から、医療に「繋がる」までに、精神的にも、アクセスとしてもいくつもの段階、ハードルがある。トラウマインフォームドへのアプローチが、須らくいろんなところである、できることが大切。

高橋亜美(アフターケア相談所ゆずりは所長)さんへの質問
―――「ゆずりは」さんにてアフターケアを行う支援対象者を、社会的養護退所者に限定せずに、社会的養護未経験者へも広げた理由を教えて下さいますか?

始めた時は、施設を出た方たちの相談を受け入れる予定でいたが、始めてみたら、施設退所者ではない方たちからも「一時保護だけで介された」「生きているのが凄く苦しい」「家がない」などの相談がたくさん寄せられ、「対象ではないから相談受けられません」とは言えないというところから始まった。

牧島かれん(衆議院議員)さんへの質問
―――社会的養護に繋がらなかった方たちへの支援が進まない要因として、どんなことが考えられますか?

社会的養護の対象年齢を弾力化する法改正が行われ、令和6年4月より施行されるため、これがちゃんと動くようにしなければいけない。ただ、始まっても、制度が使い難い、アクセスし難いなどがあるかも知れないので、その時は、その意見を聞かせて欲しい。

自民党「児童養護議連」へ要望書提出

アンケート統計データを根拠として、自民党「児童の養護と未来を考える議員連盟」に要望書を提出いたしました。
牧島かれん衆議院議員は、「児童の養護と未来を考える議員連盟」事務局長であり、長島昭久会長へと繋いでくださいました。

牧島かれん衆議院議員(元デジタル大臣)に要望書を手渡す丘咲つぐみ(一社Onara代表)

【要望の内容】
1.社会的養護未経験児童虐待被害者の実態調査の実施及び子ども家庭庁や政府有識者会議でのヒアリングの場にて当事者等を参画させること
2.社会的養護自立支援事業に係る生活相談等を社会的養護未経験児童虐待被害者に対して拡充すること
3.トラウマ治療促進を目的とした医療体制の見直し及び検討を行うこと4.子どもの権利教育における「児童虐待」に関する内容を充実させること

見えなかった子どもたち当事者からの生の声

見えなかった子どもたち当事者お二組より、生の声を届けて頂きました。

=Aさんの声=
身体的虐待、心理的虐待を受けて育ちました。

頭を叩かれたり、髪の毛を引っ張って玄関の外に追い出されたり、「あんたなんて生まなければ良かった」、「早くこの家からいなくなれ」などと言われてきました。先生にも友達にも相談しても理解してもらえないだろうと思い、誰にも相談できず、一人で悩んできました。
大人になるにつれて虐待の影響が出始め、ストレスの発散の矛先が自分に向かうようになり、抜毛症、拒食、過食、過食嘔吐を切り返し、今も続いています。「死にたい」というか、この恐怖から逃げて安らかになりたい気持ちが日常的にあり、複雑性PTSDと診断されて、今も治療しています。

=Bさんの声=
身体的虐待、心理的虐待を受けて育ちました。

食事を目の前にして、両手・上体を椅子の背もたれに縛り付けて食べられないようにされながら、「残しやがって」と暴力を振るわれれたり、「異常者」と言われたりして罵られ続けました。
虐待の影響により、解離性同一性障害を発症し、ストレスや傷心など負荷がかかると、人格交代や記憶の解離が意図せず起こります。人格交代が起こると、突然意識を失ったり、家が空き巣に合った後のような状態になってり、好みの食品やファッションも変わってしまいます。また、解離症状の影響から、足を上手く動かすことができず、6年前から車椅子での生活が続いています。

左から、山口有紗氏(小児精神科医)・丘咲つぐみ(一般社団法人Onara代表)・高橋亜美氏(アフターケア相談所ゆずりは所長)

見えなかった子どもたちの皆さまへ

今回、このように、アンケート統計データを作成でき、イベント開催、要望書の提出まで辿り着けたことは、アンケート調査にご協力を下さった皆さまのご協力があってこそです。
ご回答して下さった方だけでなく、拡散して下さった方、答えたいけど答えられないと悩まれた方、全ての方の力が集まって、ここまで辿り着くことができました。
トラウマを抱えた皆さまが、このアンケートに答えること。
それが、どれ程にしんどく、苦痛を伴う作業であったことか…専門家の方も支援現場の方も、ちゃんと分かって下さっています。
「683名の後ろには、何層にも渡って、この苦しさを抱えている方たちがいることを忘れてはいけないし、だからこそ、この683名という数字には重みがあります」
このような言葉も頂いています。
改めて、苦しさを感じながらも声を届けたい一心で精一杯言葉にしてくれたこと、ありがとうございました。
そして、日本で初めてとなる統計データを作れたこと、国に要望書を届けられたことは、スタート地点です。ここから、具体的支援制度が実現し、トラウマ治療へのアクセスがし易くなるまで、国の動向を見守り続けると共に、声を出し続けていきます。

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