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政治講座ⅴ304「ロシアの周辺国の汚職・腐敗体質を俯瞰して」

旧ソ連崩壊に伴う混乱は未だ続いていた、ロシアのウクライナ侵攻は崩壊過程の氷山の一角だった。旧ソ連崩壊後にロシアもウクライナもオルガルヒなどによる汚職・横領が蔓延していたという。社会主義経済の崩壊後の末路として、箍が外れたために汚職・横領などの腐敗が浮き彫りになってきている。今回はその氷山の一角を報道記事から抜粋する。

          皇紀2682年8月5日
          さいたま市桜区
          政治研究者 田村 司

はじめに

 ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ゼレンスキー大統領が世界に武器提供や資金提供を嘆願する姿は同情を禁じ得ないが、「嘆願」せざるを得ない状況を作り出した親ロシア派政権の汚職・賄賂・武器の横領横流し横行がこの国の脆弱さを作りだした面は否めない。或る専門家は欧米の武器がまた横領されて横流しされる危惧があると警鐘を鳴らしていた。提供した武器・資金の厳重な管理体制の構築も必要であろう。

はびこる汚職や癒着 元日銀マンが語る知られざるウクライナ

辻本知大 毎日新聞 2022/5/22 05:00

 ロシアの侵攻を受けるウクライナで、財務相のアドバイザーを務める日本人がいる。元日銀マンの田中克さん(68)だ。情勢悪化を受けて今年1月に帰国するまで、約5年にわたり現地で国有銀行の再建に取り組んできた。不安定な経済基盤、はびこる汚職、ある大国の暗躍……。田中さんが見たウクライナとは。

消える公的資金

 ――ウクライナ財務相のアドバイザーに就いた経緯を教えてください。
 ◆2015年にあった当時の安倍晋三首相とウクライナのポロシェンコ大統領の首脳会談で、ウクライナ側から金融システム再建への協力要請がありました。前年、親ロシアのヤヌコビッチ政権が倒れたことを受けてロシアが南部クリミア半島を強行編入し、ウクライナの情勢は不安定化して経済も低迷しました。主要7カ国(G7)や国際通貨基金(IMF)を筆頭に支援に乗り出しましたが、ウクライナ側は日本に国有銀行再建のため「お金ではなく人材が欲しい」と要望してきたのです。そこで私に声が掛かり、国際協力機構(JICA)の専門家として16年1月にウクライナに渡りました。
 ――当時のウクライナの金融分野の状況は。
 ◆国有、民間を問わず銀行は不良債権まみれで、どれほど不良債権があるのか分からない状態でした。汚職や癒着がまん延していた上に、ロシアが一方的に編入した南部クリミア半島や親露過激派が一部占拠した東部ドンバス地方の融資先の返済が止まったのが原因です。国有銀行は会計事務所の監査をクリアしていましたが、財務省に公的資金の投入を求めるといった状態でした。銀行と監査側が癒着し…

紛争、汚職、コロナ…正念場のウクライナ大統領 就任から1年

2020/5/21 22:57

 【モスクワ=小野田雄一】ウクライナで喜劇俳優出身のゼレンスキー大統領が就任してから1年が過ぎた。東部での親ロシア派武装勢力との紛争終結汚職撲滅経済再生を公約に掲げ、国民の熱烈な支持を受けて一躍、国のトップに就いたゼレンスキー氏。しかし、紛争終結に向けたロシアとの和平交渉は停滞し、汚職対策の実績も見えづらい。新型コロナウイルスの感染者も1万8千人を超え、正念場を迎えている。

 ゼレンスキー氏は20日、就任1年の記者会見で「仕事は大変だ。誰も感謝してくれない」と吐露。その上で「国民が支持すれば2期目も考える」と語り、プーチン露大統領との会談を通して東部紛争の解決を目指す方針を改めて示した。

 同国の独立系調査機関「ラズムコフセンター」によると、就任時に80%あった支持率は1年間で57%まで低下した。当初は既存エリート層への失望や厭戦(えんせん)気分がゼレンスキー氏への期待を高めたが、熱気が冷めるのは早かった。

 2014年からの東部紛争では、ロシアの軍事支援を受ける親露派とウクライナ軍の戦闘で1万3千人以上が死亡した。ゼレンスキー氏は昨年12月、プーチン氏とパリで会談し、年内の完全停戦で合意したが、戦闘はその後も続く。

 両国は東部に「特別な地位」を与えることで合意しているが、具体策で対立。東部での施政権回復を目指すウクライナに対し、ロシアは事実上の連邦制を導入させ、ウクライナの欧米接近を阻止する思惑だ。双方に歩み寄りの気配はなく、ゼレンスキー氏の「対話方針」は行き詰まっている。

ウクライナ「夢」に前進、汚職対策に課題 神戸学院大・岡部芳彦教授

2022/6/24 20:11桑村 朋

ウクライナにとり欧州連合(EU)加盟は念願である一方、EU基準に程遠い制度や体質が改善されず実現は夢のまた夢だった。候補国として一歩を踏み出せた意義は大きい。ロシアの侵略に対する欧米の「支援疲れ」も叫ばれる中、勇気づけられたことだろう。

ロシアとの関係を断ち切りたいウクライナにとって、EU加盟で域内諸国との人、物、金の移動が自由になればメリットは大きい。各国との通商がより活発になり、企業誘致やEUからの助成金も見込める。外交上もロシアに対抗する後ろ盾ができ、国力の底上げにつながる。

ただ、今回の動きがロシアの侵略で大勢の命が失われた結果であることも忘れてはならない。EU加盟には法の支配や人権など多くの項目でEU基準クリアする必要がある。ウクライナは加盟に向けて国内法や規制を変更してきたが、それでも候補国になれていなかったのが実情だ。

新興財閥(オリガルヒ)が政権と癒着する裁判官や検察官の試験に賄賂で合格する大学教授が授業の単位を金で売るなど、ウクライナは有数の汚職国家といわれてきた。親露派政権が倒れてクリミア半島が占領された2014年以降、国家汚職対策局を設置するなど汚職排除に努めたが、いまだになくならない。基準があいまいな汚職対策をEUがどう評価するかが、加盟に向けたポイントになる。

EU加盟は社会が変わるということだ。「ぬるま湯」のような制度や体質が浸透しているウクライナは、急激な変化が生む負の側面も想定しておかなくてはならない。

前ロシア大統領、SNSで旧ソ連諸国の主権に疑義 側近は「ハッキング」と釈明

AFPBB News 2022/08/03 12:39

© Dmitry Astakhov / Sputnik / AFP 前ロシア大統領、
SNSで旧ソ連諸国の主権に疑義 側近は「ハッキング」と釈明


【AFP=時事】ロシアのドミトリー・メドベージェフ前大統領のSNSのアカウントに旧ソ連諸国の主権に対して疑義を呈する内容の投稿がなされた問題で、同氏の側近は2日、アカウントが「ハッキングされた」ためだと釈明した。

 問題の投稿は、カザフスタンを「人工国家」と呼び、同国がロシア系住民に対して「ジェノサイド(集団殺害)」を行ったと主張ジョージアについては、19世紀にロシア帝国の一部となる以前は「存在しなかった」と述べた。

© Dmitry Astakhov / Sputnik / AFP 前ロシア大統領、
SNSで旧ソ連諸国の主権に疑義 側近は「ハッキング」と釈明


 この投稿は、ロシアのSNS「フコンタクチェ」のメドベージェフ氏のアカウントをフォローする220万人に共有されたが、公開後まもなく削除された。

 同氏の側近オレグ・オシポフ氏は国営ロシア通信に対し、「フコンタクチェの管理者(と関係当局)が、ページをハッキングし、削除された投稿を公開した者に対応する」と述べた。

 メドベージェフ氏は2008~2012年に大統領を1期務め、現在は安全保障会議副議長を務めている。ウクライナ侵攻開始以降ロシアを「憎む」人を「堕落した人」と呼び、核戦争の可能性に言及するなどタカ派的な発言を増やし、西側諸国を非難している。(c)AFP

© Dmitry Astakhov / Sputnik / AFP 前ロシア大統領、
SNSで旧ソ連諸国の主権に疑義 側近は「ハッキング」と釈明


カザフスタン共和国

ソビエト連邦崩壊直前の1991年12月16日、「カザフスタン共和国」として独立し、1991年12月21日に独立国家共同体(CIS)に加盟した。

2006年2月、野党「アク・ジョル」の共同議長アルティンベク・サルセンバエフは運転手とともに、アルマトイで射殺体で発見された。5人の国家保安委員会のメンバーが、サルセンバエフの殺害に関わっているとして逮捕された。バウルツァン・ムハメドツァノフ内務大臣によると、犯人は1人あたり2万5,000ドルを受け取っているという。警察官1人も殺人に関わったとして逮捕されている。カザフスタンでは、反対派のアルマトイ前市長のザマンベック・ヌルカディロフも射殺体で発見されている。

2007年8月18日の議会選挙では、与党「ヌル・オタン」が比例代表制による全98議席を獲得、その他9議席を大統領の諮問機関であるカザフスタン民族会議(英語版、カザフ語版、ロシア語版)が指名するため、与党が107議席をすべて独占することとなった。5月には憲法改正が行われており、改正によってナザルバエフ初代大統領に限り、3選禁止の規定が除外されている。

2019年3月、ナザルバエフは5期目(2015年〜2020年)途中で辞任を表明し、元老院(上院)議長のカシムジョマルト・トカエフが第2代大統領に就任した。

2022年1月、燃料価格が2倍に値上がりしたことに抗議する住民らの反政府デモが国内各地の都市で発生。反政府デモは多数の死傷者を出しデモの沈静化として国家安全保障会議の議長として強大な権力を握っていたナザルバエフが解任された。これにより30年にも渡って続いたナザルバエフ体制が終焉した。

2022年カザフスタン反政府デモ

 2022年1月2日にカザフスタンで始まった一連の集団抗議行動である。現地では「血の1月」あるいは「1月の悲劇」と呼ばれる。日本のメディアではカザフスタン騒擾などと報道された。

当初は穏健なデモだったが、まもなくしてアクタウ、アクトベ、アティラウなどの西部の街のほか首都ヌルスルタンや経済中心地アルマトイなど他地区の大都市にも波及し、警察との衝突が発生した。特にアルマトイでは、政府や経済格差への不満も相まって激しい暴動へと発展した。このデモは逮捕者9,900人以上、死者230人を出す結果となった。

抗議デモの目的

当初はガス価格の引き下げが抗議活動の目的であったが、まもなくして大きな政治的変化を求めるものに変容した。自治体首長の直接選挙による選出、政府首脳の辞任、経済格差の解消、憲法の改正を訴える声が上がった。

権力と富の寡占

ヌルスルタン・ナザルバエフは、1989年からカザフ・ソビエト社会主義共和国共産党第一書記を務め、1990年4月には新設された大統領職に就いた。1991年12月のカザフスタン独立にあたっては国民による直接選挙によりカザフスタン初代大統領となった。以降、憲法の変更により、あるいは強引な憲法解釈によって任期を延長し、2019年まで一貫して大統領の地位にあった。この期間にカザフスタンで実施された選挙は、二重投票などの不正選挙や検閲の問題が指摘され、西側諸国からは公正なものとはみなされていなかった。ナザルバエフは権威主義、縁故主義、反対派の拘束によって国を統治した。2019年にトカエフに大統領の座を譲ったのちも、ナザルバエフは側近とともに安全保障会議議長の要職に就き、院政ともいえる権力体制を維持した。

カザフスタン経済は石油やウランの生産と輸出により好調であったが、この経済成長は国民全体で共有されることはなく、2022年時点で国の資産の55%が162人の富裕層によって保有されるという富の偏在が指摘されていた。

政治腐敗

汚職が大きな問題として存在しており、2005年には世界銀行がカザフスタンをアンゴラ、ボリビア、ケニア、リビア、パキスタンと同等の汚職国と位置付けた。2012年、世界経済フォーラムはカザフスタンでのビジネスにおける最大の問題として汚職を挙げた。2021年度の腐敗認識指数は37点でガンビアやスリランカと並んで180か国中102位であった。

過去の市民運動

2011年、ジャナオゼンにおいて労働環境改善を求め油田労働者のストライキが発生。政府は武力による弾圧を行い少なくとも16人が死亡した(2011年ジャナオゼン事件)

2016年、外国人の土地購入を認める改革が計画されたことに対する大規模な抗議運動が行われた(2016年カザフスタン土地法抗議デモ)。

2018年5月、欧州議会使節団による人権保護状況確認のためのカザフスタン訪問に合わせ、抗議運動が行われた(2018年カザフスタン抗議デモ)。政治犯として収監されている人々の解放を訴え、約80人が拘束された。2019年2月に住宅火災で5人の子供が死亡し、貧困家庭への不十分な福祉が原因とみなされ抗議運動が拡大した。2019年6月の大統領選挙期間には4,000人近くが逮捕された。

ロシアの巧みな介入 カザフスタン危機とウクライナ問題

佐藤優・作家・元外務省主任分析官2022年1月27日


中央アジアのカザフスタンは、石油、天然ガス、ウラン、銅、鉛、亜鉛などを豊富に産出する資源大国だ。 同国ではナザルバエフ前大統領が隠然たる影響力を持ち、中央アジアの中で政情が安定している国と見られていた。 1月2日にこの国で異変が起きた。

カザフスタンに平和維持軍

価格自由化政策の影響で液化石油ガス(LPG)の上限価格が撤廃されて販売価格が2倍に急騰したことに対して一部の国民が反発し、西部地域で市民の抗議活動が始まった。 カザフスタンの警察力と国家保安委員会(秘密警察)の力を用いれば、この程度の混乱を鎮圧するのは容易なはずだ。

しかし、混乱は暴力的性格を帯びるようになり、4日には南部のアルマトイ(旧首都)中心部で警官隊との大規模衝突に発展し、5日、トカエフ大統領は、内閣を事実上更迭し、全国土に非常事態宣言を導入した。 それでも事態は沈静化しなかった。

6日、ロシア、カザフスタンなど旧ソ連6カ国で作るCSTO(集団安全保障条約機構、2022年1月の時点で、ロシア、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタンの6カ国が加盟している)の議長国アルメニアのパシニャン首相は、トカエフ大統領の要請にもとづき、カザフスタンに集団的平和維持軍を派遣したと発表した。 同日、ロシアの空挺(くうてい)師団がカザフスタンに展開し、トカエフ大統領と協力して事態の沈静化にあたった。 これで事態は落ち着き、19日にロシアを含むCSTOの部隊は任務を終了、全員カザフスタンから去った。

エリート集団の権力闘争?

 日本や欧米の新聞を読んでいてもこの事件の背景事情がよくわからない。1月中旬、クレムリン(ロシア大統領府)筋から筆者のもとに興味深い情報が届いた。

それによると、「危機の最大の要因はエリート集団の権力闘争である。一方は、権力構造と経済を現在支配する前大統領ナザルバエフの集団、他方は、トカエフ大統領の集団だ。 トカエフ大統領は、ナザルバエフらの利権を奪おうとしている」ということだ。 この権力闘争は、トカエフ大統領の勝利で終わった。

<中央アジア・カザフスタンのナザルバエフ前大統領(81)は18日、自身のウェブサイトなどで国民向けにビデオ声明を発表し「トカエフ大統領が全ての権力を掌握している」と述べ、政界からの完全引退を宣言した。 >(1月20日「毎日新聞」朝刊)

混乱に巧みに介入したロシア

ロシアはカザフスタンの混乱に巧みに介入することに成功した。 プーチン大統領は旧ソ連諸国をロシアの影響下に置こうとしているが、その方向に向け、駒を一つ進めることになった。 カザフスタンは、ロシアと良好な関係を維持しつつも、親米外交を展開するという独自路線をとっていた。 今後、この独自路線は見られなくなり、ロシアとの連携を強めるであろう。


ジョージアとロシアとの対立

独立およびソ連解体以降、ジョージアは一貫して隣国ロシアと距離を置き欧米との関係強化を打ち出してきた。この路線は2004年に成立したサアカシュヴィリ政権下で一層に高まり、軍事的には2008年の北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)への加盟推進、ロシア語からグルジア語への言語変更の推進と英語教育の義務化、ソ連時代のみならずロシア帝国時代にまで遡っての「抗露運動の歴史」を教える記念館の建設、同じ路線をとるウクライナ、ポーランド、バルト三国との連携など、強硬な反露と親米・親欧・親イスラエル路線、そして民族主義を高揚させる路線を歩んできている。また対露強硬派で知られるアメリカのネオコンとの協力も深めているとされる。実際、ネオコンに近いとされるアメリカ人ランディ・シェーネマン(Randy Scheunemann)は、サアカシュヴィリの外交顧問を務めていた。またサアカシュヴィリ政権は、ロシア軍に対抗するべく、それまでのロシア製兵器から欧米製兵器への更新による近代化、アメリカ軍やイスラエル国防軍との共同軍事訓練を行うなど、大幅な軍拡を進めていたが、軍事評論家の江畑謙介は、予算に無理のある計画だと評している。

一方、ロシアにとってジョージアはカスピ海産原油パイプラインの存在など、中央アジアの原油を確保するうえで密接な関わりがあり、南の玄関口である黒海へ連なる要衝に位置する重要な国家と位置づけている。またチェチェンとの対立を抱えるロシアにとって、チェチェンの周辺国の一角を成すジョージアと手を結ぶことは、ロシア南部における安全保障の観点からも非常に有効と見ていた。

こうした流れに加えて、ジョージア国内の民族問題も両国の対立に拍車をかけている。コーカサス地方は古くから多数の民族が入り乱れる不安定な地域であり、近代に成立したにすぎないジョージア人という民族意識はいまだ不安定で、ジョージア国民の間でも地方対立が絶えない状況下にある。最大勢力であるジョージア人(カルトヴェリ人)の中でもミングレリア人(ミングレリア)、スヴァン人(スヴァネティ)、ラズ人やアジャリア人(アジャリア)は民族意識が強くあり、ジョージア人とは区別する場合もある。

また、カルトヴェリ人とはまったく異なる北西コーカサス語族系のアブハズ人(アブハジア)、イラン系民族のオセット人(南オセチア)、アルメニア人(ジャワヘティア)、アゼルバイジャン人、チェチェン人など多数の非ジョージア民族を国内に抱えている。ジョージア政府の反露政策はカルトヴェリ人民族主義と密接に結びついており、これらの地方民族への弾圧が強まっている。これらの国の中には、言語の保護など多民族共生の向きが強いロシアの庇護を受けることで自民族の文化を守ろうとする動きがあり、ロシアもジョージアへの牽制から積極的に支援する立場にある。とりわけ南オセチアでは、北オセチアを統治するロシアへの併合を求める運動が活発化している(ただしロシア政府は国家承認はしつつも、併合は望まないとしている)。対するジョージアは自民族中心主義(エスノセントリズム)・反ロシア路線の双方から一連の動きに激しく反発した。

2006年9月27日・28日には、ジョージア国内に駐在していたロシア軍将校6名が、ジョージア軍によりスパイ容疑で拘束された。ロシア政府が抗議としてジョージアに対するビザ発給停止や国境線の封鎖などの報復をとる事態が発生している。さらに2008年には、ジョージア軍が南オセチアに展開するロシア軍主体の停戦監視部隊に攻撃を仕掛け、兵器を強奪する行為を起こした。ジョージア政府は「ロシア軍の停戦部隊は独立派を支援しており公平ではなく、EU部隊との交代を行うべき」と発言しているが、ロシア軍駐留に関しては当のEU側も賛同する意向を示している。

2008年8月7日、ジョージア政府は南オセチア自治政府に対して、自治権を剥奪するとともに軍部隊を南オセチアとアブハジアに侵攻させ、同時にオセット人を虐殺した。しかし、南オセチアとアブハジア側に立って参戦したロシア軍の前に、ジョージア軍は一方的な敗北を喫し、8月15日に停戦が決定した。

停戦後、ロシアはジョージア国内に駐屯しつつ、議会でアブハジアと南オセチアの独立を承認する決議案を採択、メドヴェージェフ大統領がこれを正式に了承した。ジョージア側はこれに抗議する形で8月28日、議会にてロシアとの外交関係を断絶するよう求める決議を全会一致で採択した。8月29日、バシャゼ外務次官はロシアのアブハジア自治共和国と南オセチア自治州の独立承認に対し、ロシアとの外交関係を断絶すると発表した。

2022年ロシアのウクライナ侵攻では、ジョージア世論でウクライナに同情的でロシアへの反感が強まっているが、一方でジョージア政府は対ロシア経済制裁には参加せず、経済制裁やロシア政府の言論統制などを嫌ってロシアから出国する人々をビザなしで受け入れている。こうしたロシアに融和的な姿勢をとる与党グルジアの夢=民主グルジアの創設者は、ロシア政府と親しいオリガルヒのビジナ・イヴァニシヴィリで、現在もグルジアの政治に大きな影響力を持っている。

My  Opinion.

 社会主義の社会実験はソ連崩壊で失敗のに終わったのであるが、その後の後遺症として汚職・腐敗が蔓延することが分かっった。翻って支那の経済は成功したように見えていたが、不動産バブル崩壊に伴う銀行破綻・住宅ローン借入者の返済拒否問題、大手不動産企業のデフォルトが多発している。一帯一路で債務の罠に陥っている発展途上国のデフォルトも多発している。ロシアやその周辺国、そして支那の経済破綻も囁かれている昨今、日本経済に及ぼす影響はいかほどであろうか。リーマンショックを超える影響を懸念する声があるが、支那の経済から逃げ出すなどの対策を早く打つべきであろう。

参考文献・参考資料


前ロシア大統領、SNSで旧ソ連諸国の主権に疑義 側近は「ハッキング」と釈明 (msn.com)

カザフスタン - Wikipedia

ジョージア (国) - Wikipedia

2022年カザフスタン反政府デモ - Wikipedia

ロシアの巧みな介入 カザフスタン危機とウクライナ問題 | | 佐藤優 | 毎日新聞「政治プレミア」 (mainichi.jp)

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