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政治講座ⅴ1385「中国経済を崩壊させる経済音痴の習近平」

 個人の場合、サラ金から借りて自己破産するか、自己破産するためにも裁判所に予納金と弁護士報酬の費用が必要になる。破産するにも金が必要である。地獄の沙汰も金次第である。その金が無ければ、自己破産することが出来ずに夜逃げすることになる。融資額以上の財産があれば、財産処分で捻出できるが、その財産で賄えない部分は、破産による免責を受けないと債務はきれいにならない。
翻って国家の破綻はどうであろうか。これは近隣国の北朝鮮を見ると分かる。経済政策の失敗で自国民を餓死させながら、指導者は贅沢三昧である。国家破綻の犠牲は国民に貧乏生活を強いることになる。北朝鮮のように面子の為に打ち上げ花火(ミサイル)を打ち上げるのである。しかし、これも愚行である。これが、金正日の理想とする共産主義であったろうか? 同じく中国共産党は北朝鮮と同じく、国民を餓死させようとしているようである。毛沢東は大躍進政策で中華人民共和国大飢饉(推定1500万〜5500万人が死亡)の発生、産業・インフラ・環境の大破壊を引き起こした。国家破綻はこのような国民の最低限の経済状況の餓死者を作り出すことになる。鄧小平はそのような共産主義のイデオロギーでは餓死者をなくすることが難しいと悟って、改革開放政策を実施した。その時に日本の松下幸之助氏に三顧の礼で松下電器(現パナソニック)の企業誘致に再興した。祖先返りした習近平政権は今の中国の窮状を反日政策で乗り越えようとしているように見える。日本の戦中のように「贅沢は敵だ!辛抱・我慢しろ」と「共同富裕」のスローガンで貧乏生活を強いるのである。中国共産党はどこに向かおうとしているのであろうか。そのために、中国から海外投資資金や企業は逃げ出している。日本企業も中国撤退している。中国で生産して輸出による外貨獲得は殆ど日本企業によるところが大きいことを理解せずに日本叩きをしている。「処理水」を「汚染水」を言い、科学的根拠に乏しい根拠で非難をしている。除去できない放射性物質はトリチウムであるが、その日本が放出するトリチウム濃度の6倍以上を中国の原発は放出していることは中国人民には隠蔽している。
今回も習近平政権をディスる内容の報道記事を紹介する。
蛇足:習近平の反汚職政策・綱紀粛正には当初賛成していたが、権力集中の手段として、敵対勢力の攻撃手段としているように、今後は中国共産党内部の権力闘争の次元になっていると推察している。習近平のスローガンは悉く失敗している。「中国の夢」中華文化の強制。「一帯一路」債務の罠。「共同富裕」など、資本主義経済を社会主義経済に戻そうとして、中国経済の歯車が逆回転し出していることに全然気が付かない。費用対効果を考えない共産主義の悪弊、これが鬼城マンション(ゴーストタウン)を作り出して、融資平台の返済できない債務1300兆円の苦境へと繋がるのである。
アクセルだけではなくギアを「後進」に入れているのが今の中国であろう。我ながら名言である。

     皇紀2683年9月24日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

「習近平が中国経済を崩壊させる」と言わざるを得ない、これだけの理由…その世界経済への影響を過小評価すべきではない

朝香 豊 によるストーリー •2 時間

習近平の経済音痴

現在中国経済がバブル崩壊によって大きく失速しているのは、すでに多くの報道が伝えているとおりだが、ここに最大の影響を与えているのは、“習近平の経済音痴”である。

今は民間が債務の圧力に苦しんでいるので、この圧力を弱めるためには、政府が債務を事実上肩代わりするような政策を打ってやらないと、民間の経済が上向くことはない。だが、中国政府はこれをやろうとはしない。習近平政権は言葉だけは立派だが、具体性のない政策を打つことが多い。

Gettyimages© 現代ビジネス

ブルームバーグは8月17日に「中国指導部、消費拡大と民間部門支援を確約-具体的施策は示さず」との記事を発表した。この記事には「中国共産党指導部は国内消費の拡大と民間部門の支援を表明したが、新たな景気刺激策の詳細は示さなかった」との記述がある。

「国内消費を拡大させるんだ」「民間部門を支援するんだ」と世間受けすることを建前として打ち出しておきながら、具体的な施策は全く出ていないのである。

李強首相は高額商品購入を含めた国内需要・消費拡大に一段と取り組むよう呼び掛け、「大きなリスク」の阻止と国有セクター改革の深化を公約したが、では何をやるのかについて、結局、具体策を示すことはしなかった。

「みずほリサーチアンドテクノロジーズ」は、8月1日に出したレポートで、「党中央政治局会議を開催も、財政的な裏付けのある追加刺激策には踏み込まず」と表現している。このレポートは、7月24日に開催された中国共産党中央政治局会議のことについて触れている。

同会議では、「目下の経済運行は新たな困難と挑戦に直面しており、主に国内需要が不足し、一部の企業が経営困難に陥っており、重点領域で隠れたリスクが多く、外部環境は複雑で厳しい」と、今の経済状態に対する厳しい認識が示されたという。

また、「住民収入の増加を通じて消費を拡大」させることや、「自動車・電子製品・家具などの耐久消費を振興し、スポーツ、レジャー、カルチャー、旅行などのサービス消費を促進する」との方向性が打ち出され、「民営企業の発展を後押しする考えをあらためて強調」したものの、一番肝心の財政的な裏付けがある形での景気刺激策には踏み込まなかったのだという。

中国共産党内部に、この点に関する危機感がまるでないわけではない。中国の著名エコノミストの劉源春氏は、中国人民大学のシンクタンクが公表した報告書の中で、中国の若年層失業率が過去最高に達していることが深刻な問題を引き起こす可能性があると警告した。

こうした声を受けて、国務院直轄のシンクタンクである中国社会科学院の金融研究所も、2023年の財政赤字を予算で定めた対名目GDP比3.0%から4.0%以上に引き上げること、つまり、歳出を約1.3兆元増やすことを検討すべきであり、低中所得家庭への消費券配布などで消費意欲を高めることなどを提言している。

政府が財政出動して、低所得層に商品券を配って、それで消費させよう、それで消費を盛り上げれば民間経済は救われるぞ、という方向性は打ち出されているのだ。だが、肝心の習近平政権はこれを実行する方向には動かなかったのである。

欧米の消費文化を「堕落」と考え…

習近平は、欧米流の消費主導による経済成長は浪費が多く、中国を世界有数の産業・技術大国に育てるという自身の目標とは相いれないと考えている。

彼には中国の財政規律を守るべきだとの信念があり、そのため米国や欧州のような景気刺激策や福祉政策を導入することは考えにくいと、ウォール・ストリート・ジャーナルは書いた。不景気が深刻化した時に、西側諸国が一般的に行う財政政策を、習近平政権は採用しないということがわかるだろう。

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中国共産党中央委員会機関紙「求是」に掲載された論文の中で、習近平は「忍耐」を促し、欧米の成長モデルに追随することは避けるべきだと強調し、欧米流の景気刺激策を避ける政府の意向を明らかにした。欧米の消費文化を「堕落」と考え、今の苦しい経済に耐え抜けと、習近平は本気で求めている。

こうした習近平の方針を受けて、共産党の中央党校の機関紙「学習時報」も、消費者に現金を配ることは消費をある程度刺激する効果があるものの、その代償はあまりにも大きく、中国の場合は絶対に実行不可能だとして、明確に反対する記事を掲載した。

習近平が素人考えで頭の中に描いているのは、単純に言えば、筋肉質の経済だ。無駄なものを削ぎ落として本当に必要なものだけで経済を回せばいい、みたいなことを結構真面目に考えている。

そもそも習近平体制になってから、綱紀粛正、すなわち「贅沢禁止」を求める動きは何度も発令されている。2013年の東洋経済の記事には、こう書かれている。

「今年の春節期間では、中華料理の最高級食材であるフカヒレの消費量が、2012年の同じ時期に比べて7割も減少乾しアワビやツバメの巣がいずれも4割減まで落ち込んだ。官僚や国有企業がらみの宴会が激減したことが原因だ」

「不要不急の出張も禁止されたため、一流ホテルの外食レストランなどの落ち込みは特に鮮明だ。国家旅行局が発表した第1四半期の北京や上海、江蘇、広州などでの4~5つ星クラスのホテルのレストラン売上高は前年同期比3割も落ち込んでいる」

こうした贅沢禁止令はこの後も度々出されている。2021年には、習近平政権は、習慣の変更に関する指示を通じて、地方政府に対して、冠婚葬祭が豪華なものにならないよう、村単位で詳細な方針を出すよう命じ、誕生日パーティーの禁止、新築祝いの禁止、結婚式や葬式の費用・規模の圧縮まで求める動きがあった。

「暴利をむさぼる学習塾は敵である。資本家と体制内の欲張りな走資派(資本主義化を進めようとするする勢力)の結託を許すな」「オンラインゲームという精神的アヘンが数千億元規模の産業に成長してしまった」といった文言が、インターネット上ばかりか、公的メディアにまで登場した。

学習塾なんて、受験競争を煽るだけの無駄なものだ」「ゲームなんて、生産性のないくだらないものだ」と一方的に考え、これらの取り締まりをガンガン進めたのである。

まさに最悪の選択を行っている

ところが、経済が拡大するというのは、筋肉質なところだけでなく、贅肉的なところも増え、それによって選択の幅が拡がることと表裏一体である。

例えば、人間が生きていくには、外食産業なんて本来必要ないといえば、そうかもしれない。自炊を徹底すれば、より安価に生活できるはずだ。その意味では外食産業は贅肉的な部分だが、ところがこうした贅肉部分の発達こそが経済成長なのである。

この経済を見る極めて大切なところが、習近平には理解できていないのだ。

Gettyimages© 現代ビジネス

さてその一方で、「学習時報」には、「投資は目先の需要を生むだけでなく、成長の真の原動力となる」との記述もある。ここには過去の中国の成長体験に基づいて、投資主導モデルが正しいとの思い込みが習近平の頭の中にあることを映し出している。

現実の経済の中では、着実なリターン、経済成長につながらない無駄な投資ほどバカげたものはないのだが、そのことを習近平は理解していない。かつての中国で投資主導経済が成功したのは、インフラがなかった中国に新たなインフラができて、経済効率性が爆上がりしたからだ

上海と北京を結ぶ高速道路が初めてできたときには、物流が大きく効率化した。2本目ができたときには渋滞の緩和に役立った。だが、3本目、4本目を建設しても、物流の改善にはもはや寄与しなくなっているこれが理解できないのが習近平なのである。

中国では高速鉄道の営業距離はすでに4万2000キロを超え、2025年末には約5万キロになるとされている。日本の新幹線の営業距離が3000キロ程度とされているから、既にその14倍の長さに達しながら、なおどんどん増やしていることになる。中には乗客があまりに少ないために、1日2往復しか走っておらず、運賃では走行する電気代も賄えないと言われている路線もある

経済成長に必要な、贅肉的な消費を抑え込もうとしながら、一方でやってはいけない贅肉的な投資をどんどん増やし経済全体に長期的な圧迫を加えていくという、まさに最悪の選択を習近平政権は行っている。

私は2年半前に『それでも習近平が中国経済を崩壊させる』という本を書いた。中国の最高指導者がなんでわざわざ中国経済を崩壊させるのかと、タイトルだけを見てバカにされることもあったが、経済音痴の習近平が中国経済を崩壊させているというのは、以上を理解すれば納得できるだろう。

楽観視は禁物

さて、エコノミストたちは今年の中国経済の成長率予想を従来より引き下げてはいるものの、それでも5%程度の成長になると発表している。だが、中国経済の現状をみれば、どう見てもおかしいだろう。

上場企業の従業員数がコロナ前に比べて平均で1割程度減った。上海では初任給が前年比9%落ちた。若年層の失業率が公式統計で21.3%に達し、ついに発表しなくなった。実際には若年層の失業率は46.5%だと、北京大学の研究者が発表した。

公務員にも給与の遅配や削減が起こっている。経済的には最も豊かであるはずの上海でも25%程度の給与の削減が行われている。4−6月期の海外直接投資は前年比で87.1%も減った。どう見たところで、中国経済がプラス成長している要素はない。

さらに習近平の経済音痴政策により、この状況にまともに対応する動きが生まれていないのである。中国経済が断崖絶壁式に崩れ落ちるのは避けようがなく、5%の経済成長などあるはずがないのだ

中国経済の崩壊が世界経済に与える影響は、現段階では過小評価されていると言わざるをえない。楽観視は禁物である。

《負債額1300兆円で中国経済崩壊⁉》バッドニュースだけでは分からない本当の中国経済危機と習近平の“失策”

高口 康太 によるストーリー •9 時間

ここ最近、雑誌やインターネットで盛り上がりを見せている「中国経済崩壊」論。大手不動産デベロッパーの経営危機や若年層の失業率の上昇など、たしかに中国経済にまつわるバッドニュースが並ぶが、果たして実態はどうなのか。

中国研究家でジャーナリストの高口康太氏が、中国経済に今、何が起きているのかを徹底解説する(「 文藝春秋 電子版 」より一部転載)。

◆◆◆

 上半期の赤字は1兆円――中国不動産デベロッパー最大手の碧桂園(カントリー・ガーデン)は決算報告で深刻な経営危機を明かした。同社だけではない。2年前に債務危機が表面化した恒大集団(エバーグランデ)は今年7月になってようやく2021年、2022年の決算を発表したが、2年で約11兆円の巨額赤字という信じられない数字となった。昨年末の負債総額は2兆4374億元(約48兆円)とこちらもすさまじい。

 かねてからバブルと言われてきた中国の不動産市場が暴落すれば、もう一つの時限爆弾に火が付きかねない
地方政府は第三セクター企業(Local Government Financing Vehicle、LGFV)に債券を発行させ、実質的な財源としてきた。その債務はなんと9兆ドル(約1300兆円)にまで積み上がっている。地方融資プラットフォームと呼ばれる、この時限爆弾が破裂すれば中国経済、いや世界全体にどれほどの影響が及ぶのか。

 このように、中国経済の先行きを悲観する議論が広がっている。雑誌やインターネットを見ると、久々に「中国経済はまもなく崩壊する」という話でにぎわっている
検索回数の多寡を指標化したサービス「グーグルトレンド」によると、2015年7月の株価急落、いわゆるチャイナショック以来の盛り上がりである。「中国経済崩壊」は一時期、人気コンテンツであったが、そうした論考に反していつまでたっても崩壊しないため下火となっていた。今、久方ぶりに復活しようとしているわけだ。

 そうした盛り上がりの中で本稿はちょっと毛色が違う。「不動産バブルが崩壊し、中国経済はボロボロになる」と断言することもないが、一方で「中国経済に不安はない」という擁護でもない。「日本のバブル崩壊と同じことが起きている」と、なんとなくわかった気になれる説明でも終わらない。

 中国経済危機の深層を深掘りし、「打つ手のない苦境」ではないことを明らかにしつつも、それでも不安は残る……というややこしい構成になっている。というのも、今回の危機がもともと複雑な構造をしているためだ。

 一部で期待されているような、「中国はもう終わりなのだ」というわかりやすさではないが、中国経済に何が起こっているのかというややこしい全体像を、できうるかぎり平易に解説した。本稿を読んでいただければ、問題の構造がはっきりと理解できるはずだ。ぜひご一読いただきたい。

バッドニュースばかりの中国経済

 まず、現行の中国経済とその危機がどのようなものかを押さえておこう。

 若年層(16~24歳)の都市調査失業率は6月に21.3%と過去最高を記録した。若者の失業に中国内外の注目が高まるなか、7月からは若年層失業率の発表そのものを取り止めている。統計をより適切な方式に改めるためと説明しているが、中国経済を知るための材料が一つ減ったことは事実。世界の不信感を招いた。

 消費も低迷している
特に自動車や家具、宝飾品など高額商品の売れ行きは昨年を下回る。EV(電気自動車)の高成長という輝かしいニュースの裏側で、内燃車の販売不振が深刻化している。日系メーカーが売れないと言われるが、中国で販売されているのは日系メーカーと中国国有企業の合弁会社が製造した車だ。深刻な販売低迷に中国企業からも悲痛な声が上がっている

消費低迷の裏側でひたひたと進行しているのが物価の下落だ。今年に入って低空飛行が続いていたが、7月にはついにマイナス(前年同月比0.3%減)となった。ついにデフレに突入したとの見方も有力だ。

 輸出も良くない。5月から8月まで4カ月連続で前年比割れが続いている。いわゆる世界的なコロナ特需の退潮が大きいとみられるが、中国国内が弱り今こそ外需が必要なタイミングでの急ブレーキはショックが大きい。

 そして、冒頭であげた不動産だ。碧桂園、恒大集団だけではない。不動産大手・遠洋集団も債務不履行に陥ったほか、中国経済誌『財新』によれば、年内の債務不履行が懸念される中国不動産企業は65社にのぼるという。

 不動産は中国経済を支える柱だ。建材や内装、家具、家電など裾野が広いだけに、GDPに占める不動産関連の比率は30%に達するとの推計もある。ここが崩れればその影響は計り知れない。

 経済のみならず、地方政府にとっても致命傷となるだろう。先に触れたように、中国の地方政府は地方融資プラットフォームと呼ばれる第三セクター企業を通じて、多額の債券を発行し、インフラ建設などの費用にあててきた。その債務の残高は9兆ドル(約1300兆円)にのぼると推計されている。あの2008年の世界金融危機の発端となったリーマン・ブラザーズの負債額は6000億ドル(約88兆円)だった。「土地財政」が破綻すれば、リーマン・ブラザーズの14倍もの負債、1300兆円の超巨大な時限爆弾が爆発しかねない……。

 とまあ、悪いニュースばかりが並ぶ。こうしたニュースのいくつかをつまみ食いすれば、「瀕死の中国経済」的なニュースのいっちょあがりだが、果たしてどこまで深刻なのか、一連のバッドニュースのうちどれが無視しうる問題で、何が厳しい問題なのか、その構造を解き明かした解説はほとんどない。

新型コロナの後遺症

「中国不動産市場の危機は、個別企業の経営危機というミクロな問題以外に、マクロ経済、都市化の展望、合理的バブル・スキームの終焉という3つの側面があります」

 中国経済を専門とする、経済学者の梶谷懐教授(神戸大学大学院)はこう指摘する。

 2020年夏、中国政府は不動産市況の過熱を防ぐために、一連の不動産市場抑制策を導入した。そのうちの一つ、「3つのレッドライン」と呼ばれる規制が不動産企業の経営を直撃した。債務を減らさなければ新たな銀行融資の借り入れを禁ずるという内容で、自社社員にまで高利回りの金融商品を売りまくって金を集めまくっていた恒大集団
金融機関から多額の借り入れをして高速で物件を販売するスタイルをモットーとする碧桂園など、ハイレバレッジで成長していた企業を中心に経営危機に陥る事例が連発している。これがミクロな問題だが、それだけではない。

 まず、マクロ経済。2020年初頭、新型コロナウイルスの流行を受け、中国政府は強力な景気対策を実施した。最初の流行地となった湖北省全域を封鎖しただけではない。1月末から約1カ月にわたり、中国全土で外出自粛などの厳しい感染対策を敢行し、経済活動を止めてしまった。同年第1四半期の経済成長率はマイナス6.9%と落ち込んだ。中国統計史上唯一のマイナス成長だ。この手当が必要だったというわけだ。

 対策は金利引き下げ、社会保険料企業負担分の免除や繰り延べという形で行われた。国民や企業への現金給付などはなく、企業に対する金融支援に特化していたのが特徴的だ。

 強力な感染対策が成功し、中国は2020年4月以降、コロナ新規感染者数をほぼゼロに抑え込むことに成功した。経済指標も順調、むしろ世界でモノが不足するなか、製造業にはコロナ特需が舞い込んでくる……。万々歳に思えたが、2021年以降に暗転する。

 もうコロナは終わったとばかりに、こうした優遇措置は終結してしまった。企業は低金利とはいえ借りた金は返さなければならない。繰り延べされた社会保険料も支払わなければならない。一方で2021年夏以降、デルタ株の流入によってコロナの散発的な流行と経済活動への打撃は広がっていく。感染が拡大しても、2020年のような景気対策が復活することはなかった。

借金が増えて売上が落ちたのでは経済成長が停滞するのは当然ですこのマクロ経済の問題は中国経済全体に影響するものですが、特に被害が表面化したのが不動産企業なのです」(梶谷教授)

ゴーストタウンと化す習近平肝いりの未来都市

 第二に都市化の展望だ。平均で見ると、農村住民よりも都市住民のほうが所得は高い。ならば都市住民の数を増やす都市化を進めていけば、中国は豊かになり経済は成長する。都市住民を増やす、都市化を加速させようと、習近平政権は2014年、新型都市化の政策を打ち出した。

 市街地人口1000万人超を超大都市、500万~1000万人を特大都市、100万~500万人を大都市、50万~100万人を中等都市、50万人以下を小都市と分類した上で、超大都市、特大都市への人口流入を減らし、それ以下の都市を発展させるという方針だ。都市化といっても大都市をさらに巨大化させるのではなく、小粒な都市を増やす、中規模の都市を大きくするというわけだ。

 ただ、今振り返れば、この習近平の目玉政策は裏目に出たと言わざるを得ない。

「都市化の方針自体は正しいですが、内陸や郊外の発展を優先させる新型都市化は低密度の開発という問題をもたらしました」と梶谷教授は指摘する。

 というのも、多くの人々は「都市に住みたい」のではなく、「北京や上海の大都市に住みたい」と考えている。ハコだけ作ってもそれに見合うだけの需要はない。そもそも都市は一定の空間に産業と人口が密集することにより、効率を上げ、人間の交流に伴うイノベーションを促進させることに真価がある。ついこないだまで畑だったド田舎に巨大マンション群を作り上げても、“なんちゃって都市”にしかならないというわけだ。

 田舎の都市建設の多くは失敗に終わった
高層マンションが建ち並んでいる街に人影がまったくない。時には建設途中で工事がストップし廃墟となることも。こうした街を歩くと、住民たちは神隠しにあったのか、ひょっとするとハリウッド映画のセットなのかサバイバルゲームの市街戦ステージでもやったら人が集まりそうだ……と、その現実離れした光景に奇妙な妄想がわいてくる。

 実際にいくつかの街を見たが、習近平総書記肝いりの新副都心建設計画「雄安新区」は特にすさまじかった
なにもない荒野に、200万人が住む巨大都市をゼロから作ろうという壮大なプロジェクトだが、住民がほとんどいないのにマンション、ビジネスセンター、スタジアム、病院などがすさまじい勢いで作られ、着々と巨大ゴーストタウンが作られているのである。

◆高口康太氏による「 中国不動産バブルは崩壊したのか――経済ブレーンが手を焼く習近平という障害 」全文は、「文藝春秋 電子版」に掲載されています。

(高口 康太/文藝春秋)


参考文献・参考資料

「習近平が中国経済を崩壊させる」と言わざるを得ない、これだけの理由…その世界経済への影響を過小評価すべきではない (msn.com)

政治講座ⅴ1384「無理!無理!言論の自由もなく・表現の自由もなく、中国には私有財産の保障もない、資本の自由もない、そこへの投資はどぶに金を捨てるようなもの」|tsukasa_tamura (note.com)

《負債額1300兆円で中国経済崩壊⁉》バッドニュースだけでは分からない本当の中国経済危機と習近平の“失策” (msn.com)

大躍進政策 - Wikipedia

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