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とりあえず一晩は寝かせておく

やはりカレーは「手作り」がこもったおふくろの味に限る。

私は故郷を離れ一人暮らしをはじめて数年以上、恥ずかしながら自分でカレーなるものを一度も作ったことがない。
たまに実家に戻れば、母は何も言わずとも作ってくれているし、コンビニやスーパーにはレトルトが篦棒に売られている。

だからどうしても恋しくなるほどに食べたくなった時は、最悪それらを代用すればいいという調子で、別段カレーがないと生活に支障が出てしまうような問題はなかった。

もしくは、ココイチをはじめとする専門店でもいけばいいと考えていた。だが実を言えば私は生まれてこの方、自ら一度もそこに足を運んだことがないのである。


それこそ実家に住んでいる時は、母が時々「ゴールデンカレー」のルーと豚肉や定番に使われている野菜をベースに作ってはごちそうしていた。

たまに辛党派である父が、地元の駅前にあった辛口カレーで有名な専門店まで立ち寄って買ってきていた。
黄色、というよりも黄土色に近い色味を持ったチキンカレーを「ヒーヒー」とブラックマヨネーズの小杉氏よろしく、スプーンにのせて運ぶたびに辛さが口全体に広がり、涙目になりながら時折水を喉に流し込んでは食していた。

それに学生の時は今よりもカレー専門店よりかは、ファミレス等を中心に同級生たちと出かけることがほとんどであった。
そんな出来事もあって、わざわざ行かずとも特に何一つ困ることはなかった。


この連休中は一日に一度は必ず、人と会って最低でも一時間以上長い話を交わしていた。
普段からほとんど人を話す機会がほとんどない私にとっては、いつもより口を動かしすぎて顎が痛くなりそうなほど、いずれもあまりに内容が濃すぎたと感じている。
その日に起きた出来事をすらすらと文章として書き起こしても、体に毒となってしまう。そういう意味では一日置いて落ち着いてから、まとめておいた方がいいのかもと。

他にも興が乗っていくつか綴ってみたが後々になって見返したところ、鼻を突いてしまいそうな刺激臭を放つワードなるものが散りばめられていた。
これは是が非でも一から直さなければならないと思い立ち、せっかく完成間近に迫っていたものを思わずボツにしてしまった。

カレーを作る時もそうであるが、一日を通して起こった出来事をすぐさま文字に起こすのは、やはり一晩…いや自分の場合はせめて二晩ぐらい寝かせておくべきなのだろう。
所々で下書きを保存するたびに「読み直すと新たな発見があるかも?」などと出てくるメッセージは、意外とそれを示唆する意味を含んでいるのかもしれない。

数ヶ月ぶりに温めてご飯の上にかけた「ハヤシライス」を食べながら、私はふとそう思ったのであった。

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