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余計な情は要らない

東京の家に着いたら、この曲を聴かずとも頭いっぱいに満たされるように流れ込んでくるだろう、おそらく。



最終出勤日を終えた日、ひとり会社を後にしてから家に着いた後で、母と合流した。

降り頻る雨の中、数年ぶりに一昔前に家族でよく食べに行っていた老舗のラーメン屋へ車で向かい、お互いに好き好んで食べていた塩ラーメンと餃子を食す。

とうもころし・・・・・・が残っちゃったよぉ〜」と笑いながら、一通り麺を食べた後に、スープの底に残ったコーンをレンゲで掬っては頬張る母。

帰りの道中で、弟が先日会社の慰安旅行に行っており、九州のお土産を渡しに実家に戻ってきたと話していた。


…と、ここまで書き置いて、ほんの少し話を膨らませるつもりでいた。が、筆が滑る滑らない以前に、気づいたら寝落ちしてしまっていた、とさ。


明日の朝になったら、大急ぎで東京に向かわなくてはならないのに、ロクに荷物の準備なり支度もしていない。

翌日に目が覚めたら絶対に…間違いなくバタバタしてしまうやつだ。そう思いながらも、寝静まっている真夜中にひとり片付けを始めている。

夏のお盆休みになるまで、実家に帰省する予定は今のところ立てていない。しばらくの間戻れなくなるだろうから、忘れ物がないように今一度確かめつつ、準備を進めておかなくてはいけない。



これで今の自分を縛り付ける鎖は無くなった。だがそれと引き換えに、これまで大事にしてきたものが瓦礫と化してしまい、自らの手でなくなく取り壊すことを選ぶ羽目となってしまった。

自分自身がこの世に生き残るために、生け贄なるものとして失った代償は大きい、というよりも筆舌に尽くし難い。塵芥と化してしまった一つの繋がりに、これからもその意味を見出すことはもはや皆無だろう。



この先もまた、そりたつ壁のような苦難を乗り越えなければならない日が、私の目の前に唐突に訪れることに違いない。

たった一度きりの人生ならば、攻めようが守ろうが第三者にとやかく云われようが、己の手で切り開く他ない。そもそも今の自分には、それらの声々に耳を傾ける意思自体を失くしてしまっている。


しばらくの間は、自分と向き合うことに時間を注ぎたい。生半可な状態のまま社会に復帰したところで、また「予期しない事態が発生した」と自己暗示するような、同じ目に遭うのは目に見えているから。

ただ、下手したらこのまま今いる世界に戻ることも叶わず、志半ばで野垂れ死ぬことになるかもしれない。それで人生が結末に近づくとするなら、何の躊躇いもなく喜んで受け入れてやろう。


今の私に余計な情を感じることなど、一切必要ない。けれど、いつでも前を向けられるように、心だけは折れずに構えておきたい。

最後までお読みいただきありがとうございました。 またお会いできる日を楽しみにしています!