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「若いうちに労働時間でゴリ押しする」戦略が使えなくなった時代

「サイバーエージェント 突き抜けたリーダーが育つしくみ」を読んだ。

活躍する社員に行ったインタビューをベースに、サイバーエージェントならではの仕組みやカルチャーが紹介されている。サイバーエージェントのことを知るにはベストの1冊だと思う。

本書の中で印象的だったのは、社員に行われたインタビューの中で「今ではありえないが、当時はかなり長い時間働いていた」という記載があったことだ。それも1人じゃなく、複数名が同じようなことを言っていた。

彼らが新人の頃は、「深夜も休日もお構いなしに仕事をして経験値を稼ぐ」という戦略が使える時代だったのだと思う。

もちろん、長く働けばいい結果が生まれるわけではないが、なんの経験値もない若手のうちは、労働時間でゴリ押しして経験とを稼ぐのは一見非効率的に見えて、効率的なルートだったのではないか。

それが今は労働環境が整備されたことによって、労働時間でゴリ押しする戦略は使いにくくなった。

それによってほとんどの人はストレスが減り恩恵を受けているとは思うが、あくまで仕事で成果を出したい、先輩に追いつきたいと思う若手にとっては、なかなかに大きい障壁だと感じる。

甲子園に出場することを目標にしている選手に、「部活の時間以外は素振りもランニングもするなよ!」というのはなかなか酷なことだろう。

もちろん、業務時間外でも作業をしたり仕事に役立つインプットをしたりはできるが、それにも限界はある。

成り上がりたい若手にとっては厳しい時代になっているが、そんな状況下でも打てる一手として「先駆者がいない市場に参入し、第一人者になる」を狙うのは割とアリなんじゃないかと思い始めてきた。

20年前のインターネット産業のような市場を今の時代で見つけて、そこに張る。まだ誰も先駆者がいないから、自分が第一人者になれる。

今の時代、労働時間で圧倒することは難しくなり、工夫や効率化に頼るのも限界がある。そうなると、「自分をどの市場に置くか」の重要性が跳ね上がっているのではないかと思う。

新規事業と同じように、個人のキャリア形成においても市場選択をミスるとその後に挽回するのは厳しくなっているように感じる。

これからのキャリアを考える上で、「自分が何をしたいか/どうなりか」は常に頭に入れつつ、「どのマーケットに身を置くか」も並行して考え続けていく。


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