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ラジオ体操の魅力 -指導士試験のうらがわ- #026

以前別の投稿(*1)で、1級ラジオ体操指導士を持っている(*2)と書いた。

ラジオ体操指導員、2級指導士、1級指導士の認定証と銅・銀・金のそれぞれのピンバッジ

ラジオ体操指導士は「NPO法人全国ラジオ体操連盟」の認定資格で、指導員、2級指導士、1級指導士の3つがある。私はこれらを順に、精神科のリハビリ施設で患者さん達に教えるため取得した。

ラジオ体操指導員は、半日の講習を受ければ誰でも取得可能だが、1級指導士になると2級指導士を取得してから2年間、主に在住県内でラジオ体操の普及や推進をした経験が必要で、その上、私の受けた時には、実技、指導、筆記(歴史や身体の仕組み、体操のポイントなど)、小論文、面接等の試験があった。

こう聞くと、試験はさぞ厳しいように想像されるかもしれない。しかし、会場の雰囲気は、実はとても和やかで、アットホームなのだった。

私は当時30代の前半だったが、試験を受けている方は50-60代以上の方が大半だった。待合室では、やはり健康(不健康)の話が多いのだが、ラジオ体操をどのくらい続けているかや、その効用についても、各所で盛り上がっていた。

「私はラジオ体操のおかげで、腰痛知らずですわ」
「いやー、それは素晴らしい。私も肩凝りが治りました。昔はひどくてねぇ」
「さすが、ラジオ体操はいいですよ」
「ほんとに、ほんとに」

ものすごいラジオ体操愛である。会場は愛と熱意に包まれている。私は、自分がここにいていいものかと何度か自問した。

実技試験の始まる前、近くを蚊が飛んでいて、それを年配の女性が素早く捕まえた。それを見た皆は拍手し、試験官の男性が笑顔で、「さすがの素早い動き、これは合格間違いなしですな」と言っていた。それはちょっと、合格基準が緩すぎやしないか。

試験官に、ラジオ体操のある部分を指示され、指導する試験では、後ろにいたおじいさんが私に耳打ちした。

「耳が遠くて、何を言ってるかわからん。何と?」

まさか、今までこの状態で試験を受けに来られていたのか。そう思うと少し眩暈もするが、耳が遠くて指示が多少聞こえなくても、試験を受けに来るくらいラジオ体操は魅力的だということだ。

そのおじいさんの合否はわからないが、元気で体操を続けていて欲しいものである。

*1「しんげきの巨人-attack on abdominal hair-」参照

*2 実を言うと、ラジオ体操の「指導」には、あまり熱意がなくなってしまったため、2023年3月までで1級ラジオ体操指導士の資格を返納した。そのため現在はラジオ体操指導員のみを持っている。日々体操は続けていきたい。

ラジオ体操指導士に興味のおありの方はこちら(NPO法人全国ラジオ体操連盟公式サイト)

2023年10月29日執筆、2023年11月17日投稿


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