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自動販売機占い、占い師の「恋愛」疑惑 -ものすごい占い、その後- #041

2024年に入り、私と妻の間である疑惑が浮上した。それは、以前書いた自動販売機占いの、占い師の心境が最近変化しているのでは、ということだ。

以前の占いでは「○  昇給運」「○ テキパキ働く」など社会的なものや「× ストレス」「〇 ワクワクする」などの一般的なものが多かったが、最近の占いは、一味違ってきている。

占いは、自動販売機の上部にある電光表示に、星座ごとに、1文字ずつ順に表示される。


「△ 交際費の出費」

この時点では、そこまでの変化を感じなかった。

「どうしてこんな短い文章の中に『費』を2回も使うのだろうか」とは思ったが、表現されている内容自体は、いつもとそれほど変わらない。

われわれは占いを、元日の朝に見たのだが、「お年玉のことかもな。お年賀も持っていくし。それはそうかもな」と思ったくらいだった。これは元日の特別バージョンなのでは、という考えすら浮かんだ。


「〇 好奇心を刺激」
「〇 自分磨き」

これも「ああ、新年だからな。新しいことに挑戦しないと」と思うくらいであった。

しかし、この辺りからどうも様子が変わりだした。

「〇 知識人との交流」

知識人。急に格式高い。自分を磨き、好奇心を刺激するだけでなく、知識人と交流した方がいいという。学者や、博士、批評家などとの交流だろうか。

次の占いに、我々夫婦は衝撃を受けた。

「◎ 愛を注ぐ」

占い師は突然愛を語りだした。今まで、この自動販売機占いで「愛」という文字を見たことはなかった。しかも「◎」である。妻は言った。

「恋を、し始めたんじゃない?」
「…占い師が?」
「うん。だって自分磨きも、始めてるし」

そうだったのか。

たしかにそう思ってみると、「交際費の出費」というのは、好きな相手とのデートのことを指しているのかもしれない。

その日の占いには「△ スローペース」というのもあった。「『スローペース』なのは別にいいじゃないか。どうして△なんだ…」と私は思ったのだが、「好きな相手には早くアタックしないと、他の人に持っていかれちゃうぞ」ということだと思えば、途端に合点がいく。

そうすると「〇 知識人との交流」とは何だろうか。恋をしている相手が、「知識人」なのだろうか。


「あの人と、釣り合うようになるには、交流しなきゃ」

そしてあなたは、パーティーに行くのである。知識人たちとの。そうすると「交際費の出費」はなお、かさんでくる。

その日の星占いには、上に書いた「好奇心を刺激」の他に、「好奇心を満たす」というのもあった。

「なぜ、似たような表現が2つあるのだろう」と私は少し疑問に思ったが、これは恋の警告かもしれない。

何故かというと、知識人たちと交流して「好奇心を刺激」するまではいいのであるが、ただ知識を得たり「好奇心を満たして」満足している場合ではないからである。

交流はあくまで、憧れのあの人への愛のため、会話を続けられるようになるため、自分磨きの一環だからだ。

少し考えてみると、交流を勧められている「知識人」とは、「恋の知識人」かもしれない。つまりは、例えば「恋愛運」を占ってくれている占い師である。

自動販売機占いの占い師が「恋愛占い」に行く。

なんだか複雑であるが、やはり自分自身の恋の行方は占いにくいのだろう。憧れの相手の気持ちも、どうにもうまく占えない。

そうした場合、やはり恋愛専門の占いを受けに行くしかない。「交際費の出費」はますますかさんでいくわけである。

元日の朝、昇ってきた初日の出を見ながら、占い師の恋が成就することを願うばかりであった。

2024年1月1日執筆、2024年1月19日投稿

(どうぶつの森のハッケミィのイメージ。当たるも八卦当たらぬも八卦。)

みなさんの家の近くにも、こういう自動販売機占いは、ありますか?コカ・コーラの自販機、時事通信ニュースの占いです。

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