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【cinema】告解

2017年36本目。イタリア映画祭1本目。

やっとイタリア映画祭の感想にたどり着きました。毎年開催される映画祭の中でも楽しみにしていて、私は、GW後の5月の活力はこの映画祭から得ていると言っても過言ではありません。ここから5本立て続けに書いていきます!

G8財務相首脳会議にドイツに集まった各国首脳とそこに呼ばれた神父、絵本作家、ミュージシャン。彼らを招待した世界経済を牛耳る財界の大物、国際通貨基金の専務理事ダニエル・ロシェが、そこで謎の死を遂げる。疑われるは、彼の部屋に入るところを見られた神父で…。

この映画はビジュアル的にはハッとさせられるシーンがいくつもあって、絵画を見ているかのような錯覚に陥ることがあり、そういう意味では、パオロ・ソレンティーノの「グランド・フィナーレ」に似通った感じも受けました。

↑この感じとか。こんな絵になる所あるのね。ニュースで各国財相がこんなふうに揃ってるシーンが実際あったら、ちょっと笑っちゃうかも。

↑実際はこんな感じ。(カナダの女性財相についてはちょっと違和感ある…実際の女性政治家はやっぱりメルケルさんみたいな感じをイメージしてしまう)

ビニール袋を頭から被って死んだロシェは、死ぬ直前に神父に懺悔をしていた。各国首脳陣はあの手この手を使ってその内容を暴こうとするんだけども、そこにはいろんな人間模様があって、様々な思惑が蠢いていて。ロシェがなぜ神父に絵本作家にミュージシャンをここに招待したのか。サスペンス調に進むこのストーリーにスパイスを加えているのは間違いなくこの3人なんです。

この会議ではとある途上国に関する重大な決定が為されるはずだった。それについて、疑問を呈していたロシェが一つの数式を持ってして、その決定を覆そうとするんです。その数式の意味を理解できる者はいるのか…。神父はそれを皆の前で試そうとします。

細かいことはよくわからないけれど、実際の会合って、こんな感じなんだろうね。重要な決定事項は会合内で決められるものではなく、根回しに根回しを重ねて、どの国がどう動くか互いに予想して、牽制し合って、事前に答えは出ている。そんな感じで世界は回ってるんだなって思わせられるんです。それがどのような影響を及ぼすかなんて、自国に影響がなければ所詮他人事なんだろうなって。

にしてもドイツ財相とカナダ財相がデキてるとかあり得ないし、このカナダの女性財相の存在は、ロシェとも親しかったことから、すごくキーになっていて、女性絵本作家のクレールは、同性という立場から、カナダ財相から崩していこうとするんです。このあたりがホント面白い。

単にシリアスで真面目くさったストーリーでもなく、どことなく茶目っ気のあるシーンがちりばめられていて、なおかつちゃんと男女の「色事」みたいなものも押さえられていて、ある意味サスペンスとしては王道なのかもしれないけれど(どことなく、名探偵ポワロやミス・マープルの世界観に通ずるところがあるような気がした)、それをまた各国を代表する豪華俳優陣が演じていて、映画ファンとしては、本当に堪らない!のです。

神父役のトニ・セルヴィッロは、それはそれはとても素晴らしい演技で、彼は現代イタリア俳優陣の中でもシリアス系、コメディ系どちらを演じても「サマになる」名優で、解説で野村雅夫さんが言われていたけれど、彼は言葉を発さずとも背中で演技をする俳優だと。まさに。

万人受けはしないかもしれないけれど、こういう映画を見ると、ああ、映画好きで良かったなって思えるのです。

一般公開は難しいかもだけど、あー、見てほしいなぁ。

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