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【読書メモ】『二十歳の火影』(著:宮本輝)

息子の大学受験も終盤に差し掛かり、ふと、自分の時はどうだったかなぁ、なんて振り返りながら浮かんできたのが『二十歳の火影』、宮本輝さんのエッセイ集だったりします。

宮本さんは他にも『優駿』や『錦繍』、『ここに地終わり海始まる』など印象に残っている著作はいくつかありますが、宮本さんと聞いて一番最初に思い出すのがこちらの一冊なのは、この本に収録されている「途中下車」という一編がどうにも印象に残っているからと思います。

確か、初見は受験時の模試か予備校の演習問題か何かでした、分量としては2-3ページ程。当時10代だった自分、何故かものすごく感情移入し、今でも心にしっかりと刻み込まれています、不思議なまでに。

その後、何とか大学生に滑り込んでからも、てっきり何かの小説の中の一節と思い込んで前後や続きが読みたくなり、地元の図書館や書店、古本屋などを「途中下車」をキーワードに、当時(1990年代前半)はGoogle先生なんて便利な存在はいませんでしたから、必死に足で歩いて探した覚えがあります。

結局、書店や図書館では見つからず、確か大学の図書館で宮本さんの全集を片っ端から漁ってみて初めて、問題文全体がエッセイの一編であったことを知りました。

逢うのなら、あなたと二人だけで逢いたいな

出典:『二十歳の火影』

青春時代の甘酸っぱい淡い恋心、そして、その残酷さ、「今」であればこう表現してしまいますが、当時はただ、ただ共感してました、等身大の自分と重ねていたのだと思います、、青かったなぁ。。

そういえば自身の体験としても、実家近くの国立後期試験を受けに行く途中の新幹線にて幽かに道が重なった人がいました。名前までは交わさず「お互いに頑張りましょう」なんて言葉だけを交わしたのですが、、(顔も覚えてませんが)元気だろうか、なんてことを思い出しながら、久々に読み返したくも。

まぁ、その第1志望だった試験は見事に落ちたんですけどね、、仮に受かっていたら東京にはおらず、恐らくは家内や息子とも出会えていなかったよなぁ、とも考えてもみたりしつつ、、何とか息子は本命に受かってほしいなぁ、との祈りと共に。

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