見出し画像

マズローの欲求5段階説を考え直してみた

自己啓発本を読んだり、マーケティングやマネジメントの本とか研修を受ければ必ずどっかで出てくるマズローの欲求5段階説。世の中が変化したことで今までのマズロー欲求5段階説が活用しきれなくなってきている気がしている。新しいアプローチが必要だと思った。

マズローの欲求5段階説

アメリカの心理学者アブラハム・マズローが、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」と仮定し、人間の欲求を5段階の階層で理論化した自己実現理論です。(Wilipediaより)

画像1

①生理的欲求
生命維持のために食べたい寝たいなどの欲求。

②安全欲求

安全安心な生活を送りたいと思う気持ち。
家があるとか、衣服に困らないとか最低限の生活レベルが補償されてる状態。

③社会的欲求

家族や社会などコミュニティーとつながっている状態。
何かに所属していることで得られる安心感。

④承認欲求

偉くなりたい、褒められたいなど他人から存在価値を認めてもらいたい欲求。

⑤自己実現欲求

自分の夢や希望など自分の意思を叶えたい気持ち。

①から順番に満たされていって最終的には⑤の自己実現欲求が生まれてくるとよく言われてます。
①にいくほど低次、⑤が高次欲求と言われる。

生理的欲求・安全欲求で不安になったことがない

今の日本を考えると基本的には①生理的欲求と②安全欲求が満たされている人がほとんどだと思う。明日のご飯に困るような人は、ほとんどいない。多くの人が①生理的欲求や②安全欲求を満たすことに不安になったことすらないと思う。

簡単に満たされる社会的欲求

生理的欲求と安全欲求が十分に満たされると、この欲求が現れる。自分が社会に必要とされている、果たせる社会的役割があるという感覚。情緒的な人間関係についてや、他者に受け入れられている、どこかに所属しているという感覚。

何かとつながって③社会的欲求を満たすために会社に勤めたり、結婚して家族をつくってきた。それ以外に主な手段がなかった。

今はインターネットがあることでSNSで簡単に③社会的欲求を満たすコミュニティを見つけることができるようになった。簡単に見つけられるので少しでも嫌なことがあればまた新しいコミュニティに属すことができる。

昔は会社に入ったら定年まで同じ会社に勤めることが普通だったが、今では転職することは珍しいことでもない。

結婚しないでシェアハウスに住む。SNSでつながった趣味の合う仲間と休日を過ごす。家庭を持たなくても社会的欲求は満たされることも結婚しない人が増えた要因の一つだと思っている。

社会的欲求を満たす手段が増えてきて満たしやすくなった。

つまり今は①生理的欲求②安全欲求③社会的欲求を満たす不安がなくなっている

承認欲求が経済発展にリンクしなくなった

承認欲求は自分が集団から価値ある存在と認められ、尊重されることを求める欲求です。

今までは会社で昇格して課長や主任になっていくことやマイホームを持っているとか良い車を持つなどステータスを良くみせることで承認欲求を満たすことが多かった。

今は承認欲求を満たすために、いいねやフォロワー数が気になり始めている。SNSが発展したことで承認欲求を満たすために会社の役職を上げる必要がなくなってきた。マイホームや車を持つ必要もないのでお金を稼ぐ必要が減ってきた。

お金を稼ぐために仕事を頑張る必要はなく、いかに「いいね」をもらえる投稿をしていくかが大事になってきている。また自分の趣味にあったコミュニティに属することも容易になったことで、無理をして承認欲求を満たす必要が減ってきている。簡単に承認欲求を得られる場が増えた。

会社に入って仕事で結果をだして
・昇格する→承認欲求を満たす
・昇給する→承認欲求を満たすものを所有する
個人の欲求を満たすこと=会社の事業を伸ばすこと、経済的に発展させることだった。経済拡大と社会的欲求を満たすことがリンクしていた。

しかし会社で容認欲求を満たす必要がなくったことで、「承認欲求を満たすこと=会社の事業を伸ばすこと」では、なくなってきているため会社が仕事で成果をだすために承認欲求を活用することが難しくなった。偉くなりたくないとかお金はそこそこ稼げればいい。みたいな人が増えた。

つまり経済的拡大と社会的欲求がリンクしにくくなってきた。経済活動とは関係ない別のもの(いいねとかフォロワー数とか)で満たすようになってきた。

ここから大きなギャップができてきたように感じる。


ビジョナリーであることが競争力には大事になってきた

競争力を持つには他社(他者)と差別化しないといけない。承認欲求を満たしていた経済力や企業規模などのステータスが差別化にならなくなってきている。差別化して競争力を持つためには最後の欲求である自己実現欲求で差別化するしかなくなってきた。

その結果、会社に対して、働きがい(自己実現欲求)を求めるようになってきて

企業理念が大事
社会貢献度の高い会社で働きたい

と考える人が増えたように感じる。
好きなことを仕事にするとか、好きなことで生きていくみたいな話がでてくるようになってきた。

そして差別化で競争力をもつために、社会貢献がプロモーションに活用され始めてきた。この水を買うとアフリカの子供たちにキレイな水が届きます的なプロモーションが増えた。赤い羽根に募金しなくてもベルマークを集めなくても消費するだけで社会貢献できるようになった。普段の生活しているだけで自己実現欲求を満たしやすくなった。

ボランティア活動も昔よりやりやすいし、働き方改革で週末にNPO活動とか、会社のCSR活動に参加とかも増えた。副業で社会貢献など好きなことして少しだけ稼ぐとかも増えた。

つまりはマズローの欲求5段階はほぼ満たされるようになってきたし低次とか高次とかも関係ないくらいの差になってきた。階層ではなくなってきている。社会的欲求と承認欲求と自己実現欲求は並列になっている気がする。

画像2

元々のマズローの欲求5段階だとピラミッドになっている。高次になるほど狭い。つまり高次を求めてる人やたどり着く人が少ないことを示す。希少性は競争力になり経済的な価値に直結していた。

しかし、今は5つ全てが満たされることが多くなってきているため、ピラミッドになっていない。基本的な生理的欲求と安全欲求を土台として他の欲求は並列になっている。この横幅の割合が人によって違うだけで高さは変わらない気がする。  

人間の欲求では、大きな差を出せないためマズローの欲求5段階説を使って強みをだすこと(差を生み出すこと)が難しくなってきていると思う。

競争力を持って経済的に良くなっていくためには何で差別化していくべきなのか?欲求ではないモノを利用していくことが大事になる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?