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『君の名前で僕を呼んで』この初恋の後に、どんな恋すりゃいいの… 4/27(金)~公開

映画鑑賞メモ

原題:Call Me by Your Name ★★★★★+

この初恋の後に、どんな恋をすりゃいいの…と、ぼう然としてしまう『君の名前で僕を呼んで』

ディカプリオ以来の才能”といわれ、第90回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされている新星ティモシー・シャラメ、そして『コードネーム U.N.C.L.E.』や『ジャコメッティ 最後の肖像』などで知られる実力派長身イケメン、アーミー・ハマーの共演による、ひと夏の初恋物語。

これが、真に切ないこと…。

『モーリス』の巨匠ジェームズ・アイヴォリーが、アンドレ・アシマンによる同名小説を脚色しアカデミー賞にノミネート、監督は『ミラノ、愛に生きる』『胸騒ぎのシチリア』のルカ・グァダニーノが務めます。

原作本は映画公開前、4月中旬にオークラ出版から刊行されるとのこと。

はっきり言って、遅いくらいですよね。もし、去年の『ムーンライト』のように劇場公開が1カ月前倒しになったら歓喜するファンも多いでしょうに。

ともかく

日本時間3月4日に発表されたインディペンデント・スピリット賞では、現在22歳のティモシーくんが史上3番目の若さで主演男優賞を受賞したほか、撮影賞も獲得。

そのほか、主演男優賞や新進俳優に贈られる賞などを数々受賞しており、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』のゲイリー・オールドマンに対抗する相手といわれています。明日の授賞式はどうなるでしょうかねぇ。


あらすじ

舞台は、1983年の北イタリアの田舎町。17歳のエリオは、大学教授の父の仕事を手伝うためにアメリカからやってきた大学院生オリヴァーと、一緒に自転車で街を散策したり、泳いだり、午後を読書や音楽を聴いたりして過ごすうちに、初めての恋する気持ちを知るのですが…。


近年、特にドロ沼不倫ものが流行ですが、こちらは成就しなかった初恋の物語。

ティモシーくん演じるエリオが、少しずつ、アーミー演じるオリヴァーに惹かれているさまを丁寧に描いているため、その恋してる気分にこちらも陶酔してゆきます。

イタリアの避暑地の遺跡も、緑も、水辺もまた実に美しいこと。

このティモシーくんは、かなり良きで、日本でも人気がじわじわ出ていますね。『太陽と月に背いて』のころのディカプリオほど自由奔放児でなくても、確かに彷彿とはさせます。

長身でギリシャ彫刻のようなアミハマにしがみつくかのような、華奢で、大人になりきれていない少年の身体の対比が、余計に2人の置かれた状況を示唆しているようにも。

ラストシーンは、いつまでも記憶に残るであろう、心を締めつけられる静かな嗚咽。

たった1つの恋なれど、これほどの喜びと、嫉妬と、痛みとを知ることのできる恋。ティモシーは至宝である、と実感いたします。

その貴重な経験をしたエリオへの、両親、特に父親パールマン教授の言葉がまた沁みます。

演じたマイケル・スタールバーグ『シェイプ・オブ・ウォーター』にも『ペンタゴン・ペイパーズ/最高機密文書』にも出演していますが、特に本作では個人的にはアミハマはもちろんのこと、マイケルも助演男優候補になってもよかったんじゃないかと思っています。今年じゃなければ…というやつです。

見終えてから、アミハマが演じたオリヴァーのことばかりを考えたりもします。

その自信を持った佇まいから、彼がどんな育てられ方をしてきたのか、何を期待されているのかが、後から見えてくるのです。

彼の思慮深さや、自分はここまで来てよいものだろうかという迷いが、劇中2回、若さと想いだけで爆進するエリオの後ろで1人振り返る姿が印象的でした。


また、アカデミー賞歌曲賞にノミネートされている「ミステリー・オブ・ラブ」(「This Is Me」のライバル)も、彼らの生涯忘れられない悲恋を後押しし、耳に残り続けます。

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