一旦本を閉じて、楽しくない話でも(サリンジャー『キャッチャーインザライ』)
最近サリンジャーの『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の村上春樹訳を読んでいて、自分の書き物の口調も似た感じになっている。多分読み終わって、別の何かを読む時には元通りになっていると思う。
ホールデンくんの自叙を読んでいると、なんだ、私ってここにいるじゃない、という思いにさせてくれる。あの失くされたはずの。読むことのよって引き出されるのなら、失くしたとはいえないのかもしれない。私の中にあるホールデンが「いるんでしょっ」って引っ張り出される感じ。友人は「私の中のガキが物語の中で暴れ