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パートナーをどう呼ぶか問題

フローレンスが「ご主人さま」の呼称を廃止したというニュースを見て、以前、その手のことついて語りだすと止まらなくなる言葉おたくの楽しい友人(男性)と配偶者の呼称について話したことを思い出した。

はじまりは、その方が妻方の実家に行ったときに、義理の両親や兄弟の前で妻をなんと呼ぶかという話で迷ったという話で、普段のように呼び捨てにするのも失礼な気がするし、急に「さん」付けするのも妙だし、第三者に対しては「妻が」「家内が」と言うけど、家族に向かってそれもなんだか微妙で困ったという話だった。

確かに夫婦関係をとりまく日本語はアンフェアだ。フローレンス推奨の「パートナー」というのは、日本語で該当する言葉がないからそれにおちついたんだよね。あるといえば「配偶者」なんだけど、それはいかにも文語で、「配偶者様は〜」とか、まどろっこしいからな。

言葉の使いやすさだけでいうなら、いまのところ「パートナー」も「夫」も「相方」も「意識高い系臭」がほのかに香るので、わたしはあんまりつかわない。

「パートナー」は確かにLGBTも視野に入れるとよさげな言葉ではあるけれど、それをいうなら英語にはもう一段堂々としていてナイスで「意識高い系御用達」ともいうべきSignificant Other (SO)って言い回しがある。パーティーへの招待状で、"You can bring a Singinficant Other to the party. "とかいう使い方をする。婚姻関係もジェンダーも問わない、配慮に満ちた言葉だ。子供でも親でも親友でもいいわけなので、付き合っている特定の相手がいない人もこれで安心!

話を配偶者をどう呼ぶか問題に戻すと、自分は会話の中では相手に合わせて「旦那」「パパ」「主人」あたりをファジーに使っていることが多い。相手を尊重して大事に思っている呼称を自分が使う分には別になんでもいいわと思っていた。そして、旦那がわたしを呼ぶにあたって使う言葉が「家内」「奥さん」「妻」「ママ」のいずれであろうとかまわない。ま、「うちの...」はさすがになんか横柄な感じがするからちょっと嫌かなってくらいで。さらに、赤の他人に「ご主人様」「旦那様」という言い回しを使われることについてはそもそもまったく気にしていなかった。語源に儒教的精神が流れていようが、今時そういうのは、要するに「ご主人様」は英語の「Sir」で「奥様」は「Ma'am」だよねってことで受け止めきっていた。

そのように思えるのは、多分、わたしの配偶者が対等なSOとして私を尊重してくれているという信頼があるからだ。夫婦関係において一番大切なことは、互いの違いや欠点も含めて尊重するリスペクトだと思っている。そこが満たされているので、自分はこの手の言葉遣いについて寛容でいられるのだと思う。

しかし、配偶者が仮にも無用なマウンティングをしてくるようなやつであったなら、わたしの心は「おまえさんに主人ズラされたくないよ」と反発するんだろうと思う。そして家庭というユニットの中で対等であるべき女性に対して偉そうな顔する男性が一定数いるというのも、ニッポンの残念な事実だと思う。

うん、そうね。フローレンスの意識の高さに敬意を表して、わたしも人様の配偶者を指すにあたってはこれからパートナーってつかうようにしてみようかしら?......忘れそうだけど。

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