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リーンキャンバスの発展版!アイデア言語化ワークシート【企画の道具箱 #4】

「アイデア言語化ワークシート?なんだろう?」耳慣れないかもしれません。
しかし、ぼんやりとしたアイデアをまとめるのにとっても使えるんです!
今日はそんなアイデア言語化ワークシートの使い方、作り方をご紹介します。


アイデア言語化ワークシートとは?

成り立ちは"ビジネスモデルキャンバス×リーンキャンバス"

一言で言うと、アイデア言語化ワークシートは"ビジネスモデルキャンバスとリーンキャンバスのいい所取りしたもの"。当社ウルシステムズが独自に作成したフレームで、アイデアの概要や顧客価値、ビジネス価値など複数の観点を1枚のシートで可視化したものです。

我々がアイデアを整理しようとした時、ビジネスモデルキャンバスやリーンキャンバスを使ってアイデアを整理しようとしました。しかし、ぱっと思いついた初期段階では各キャンバスの全項目を埋められないという状況がありました。
そういった状況が何度か起きたことで、初期段階でアイデアの筋の良さを判断するにはもっと別のワークシートが適しているのではないか?と考え、このアイデア言語化ワークシートを作成するに至りました。

ビジネスモデルキャンバス・リーンキャンバスとの違い

一般的にビジネスモデルキャンバスは既存事業、リーンキャンバスは新規事業を整理するのに長けていると言われています。しかし、ぱっとアイデアを思いついた時点で、自社にとって新規事業なのか、既存事業の延長にあるのかを明確に判断するのは意外と難しいことです。
例えば、これまで店舗販売しか行っていなかった企業が、通販事業に乗り出し通販事業進出をきっかけに、何か新しいサービスもできないか、と検討し始めたとします。ざっくり言ってしまうと既存商品・既存顧客に対するチャネル刷新ですが、そこに新しい価値を付与しようとしています。この場合、既存事業の延長なのか新規事業なのか、は定義するのが難しいのではないでしょうか。(その企業が通販事業をどう捉えるか?といった視点もあるかと思います)

アイデア言語化ワークシートはビジネスモデルキャンバスとリーンキャンバスのいい所取りのフレームワークのため、既存/新規に拘わらずアイデアを整理することができます。


用途・こんな時に使える!

会社などで皆さんが何か新しいことをやろうとした時は

  1. 何かアイデアを考える・思いつく

  2. 他社と共有する・議論する

  3. 企画や実行に進むべきアイデアなのか判断する

というステップを経るのではと思います。(大まかですが)
アイデア言語化ワークシートは、上記ステップの23に効果を発揮します。

自分のアイデアを他者と共有できる形にできる

アイデア言語化ワークシートでは、アイデアを考える際に必要な観点があらかじめ用意されています。それに従って頭の中をアウトプットしていくことで、自ずと他者と共有できる形に仕上がります。
また、上手く書けない観点や浅い観点も可視化されるので、今後検討するべき項目が分かります。

アイデアを横並びで比較し判断できる

例えば、あなたがアイデアをまとめる人だったとしましょう。メンバーに自分のアイデアを考えてきてね!と宿題を出したところ、各自バラバラの項目、バラバラのフォーマットって宿題が出てきたら、それらを比較できるように整理し直さないといけなくなります。
アイデア言語化ワークシートでは、一目見てアイデアが何をするのか分かるようになっているので、比較しやすくなります。


ビジネスモデルキャンバス・リーンキャンバスとの使い分け

ここまでで、アイデア言語化ワークシートの用途、ビジネスモデルキャンバス・リーンキャンバスとの違いをご紹介しました。
作り方に入る前のまとめとして、ビジネスモデルキャンバス・リーンキャンバスとの使い分けをご紹介します。

  • ビジネスモデルキャンバス・リーンキャンバスの使用をおススメ

    • 新規事業か既存事業かが明確になっている時

    • アイデアの検討が進み、比較的内容が整理されている時

  • アイデア言語化ワークシートの使用をおススメ

    • 新規事業か既存事業かが明確になっていない時

    • ふと思いついたアイデアを備忘として言語化しておきたい時

アイデア言語化ワークシート、ビジネスモデルキャンバス、リーンキャンバスのどれを使用しても整理できるメインの項目は同じなので、使いやすいなと思うものを状況に応じて使い分けてみてくださいね

では使い方のご説明に参りましょう!


作り方

基本的にはアイデア言語化ワークシートの番号に従って、観点を埋めていきます。ここでは、番号順に書き方やポイントをご紹介します。

⓪狙い

  • ビジネスの狙い(新規顧客の獲得、既存顧客の離脱防止、ブランド力の向上、など)を書きます

💡Tips!:狙う効果は1つ
色々な効果を狙いたくなるところではありますが、最初に何を狙ってアイデアを思い付いたかに立ち返り、1番の狙いを書くようにしましょう。

①対象顧客

  • 価値を届けたいターゲットを書きます

  • ペルソナ作成の簡単なインプットとなるような情報も書きます

    • BtoCであれば、年代、性別、家族構成、生活環境など

    • BtoBであれば、職位、業務、働き方、など

💡Tips!:顧客=商品を買う人、サービスを享受する人、だけですか?
顧客が複数方面に存在していないか、間接的に価値を受け取る顧客はいないか、も確認しましょう。
例えば、コンビニから荷物を配送するサービスを考えると、荷物を発送する人は当然顧客になりますが、その荷物を受け取って配送手続きを行うコンビニ店員も間接的な顧客だと考えられます。

②顧客が抱える課題

  • ①の対象ユーザーが何に困っているのか書きます

💡Tips!:課題は具体的なシーンが想像できるように書こう
顧客が課題を感じた具体的なシーン(時間帯、季節、時期(繁忙期・閑散期)など)や課題を感じている理由は何か(目的が達成できないから、目的に至るまでの効率が悪いから、など)まで書けると素晴らしいです!

③提供価値

  • 対象ユーザーの課題に対して、どのような価値を提供するのか書きます

💡Tips!:提供価値が課題の裏返しになっていませんか?
課題がある状態を「-1」、課題が解消された状態を「0」とすると、理想的な状態「1」を書くようにしましょう。課題の裏返しは「0」です)
また、1度きりの体験ではなく、体験が累積した結果、対象ユーザーをどんな状態にしたいかも考えてみましょう。

④強み・競争優位性

  • アイデアを実現・実行していくために活かせる自社や組織の強みを書きます

💡Tips!:数値に表れにくい強みを忘れないで
既存顧客や取引先との関係、社内のスキル・ノウハウなども数値では表しにくいですが、大事な強みです。

⑤顧客との接点

  • 提供したい価値をどのように対象ユーザーへ届けていくのか書きます

  • 対象ユーザーへ価値を「届けるまで」と「届けたあと」の2つに分けて考えます

⑥競合や類似サービス

  • 競合になる会社や類似サービスを書きます

💡Tips!:競合は同じ業界とは限りません
競合になるのは果たして同じ業界、業種だけでしょうか?モノやサービスは違っても、提供している顧客体験や価値観が同じであれば、競合になるかもしれません。競合を考える際にはぜひ提供価値にも着目してみましょう。

⑦実現に向けた活動

  • アイデアを実現していくためにどのような活動が必要か書きます

  • 細かくタスクを洗い出すと言うよりは、大きなカテゴリで書くようにします

⑧リソースとパートナー

  • アイデアの実現に必要なリソースやパートナーを書きます

  • 既に持っていて活用できるものと、今は不足していて今後獲得が必要なものとに分けて考えます

⑨売上規模とコスト構造

  • 売上

    • この時点で具体的な数値を出すのは困難なので(既に目標値がある場合は別です)、数値ではなくどのように売上を上げるのか書きます

  • コスト

    • こちらも具体的な数値は出せないので、おおよそどのような項目が必要なのか書きます

    • イニシャルとランニングに分けて書きます


テンプレートとサンプルはこちら

※サンプルは、架空の百貨店の店舗とデジタルを繋ぐ体験型店舗の企画作りを題材に作成したものです

📋 テンプレートとサンプルの利用規約はこちらを参照してください。


おわりに

今日はぼんやりしたアイデアを言語化するための「アイデア言語化ワークシート」の書き方をご紹介しました。
アイデアという抽象度が高いものは、なかなか言語化が難しいことも多いですが、今回のワークシートなどを活用して、有意義なアイデア検討ができると良いですね!

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