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これでもいいのだ、あなたも私も

ジェーン・スーさんのエッセイ、『これでもいいのだ』を読んだ。

ジェーン・スーさんについて、実はほとんど知らなかったのだが、stand.FMでフォロワーさんが好きなラジオ番組の一つにジェーン・スーさんの『OVER THE SUN』をあげていて、それ以来ちょっと気になる人物のひとりだった。好きな人の好きなものは、とりあえず試してみたいタイプである。

かつ、少し先をいく女性たちの姿・思考・生活を知って、ちょっと先の自分の未来に何か役立つ情報を仕入れたいという末っ子の小賢しさでもある。何より、ちょっとクセが強くてたくましい女性たちの話が大好きだ。林真理子さんや、佐久間由美子さんのエッセイも読了済みである。

「これでもいいのだ」というタイトルの妙技

本を読んで一番に感じたのは、タイトルの絶妙さ。「これでいいのだ」と開き直っている訳ではなく、これで「も」いいのだ、である。

これでも、いいのだ。
それでも、いいのだ。
私もあなたも、それも、いいのだ。

自分の人生を、「これでいいのだ」と言い切れるほどまっすぐに歩むことは難しい。だからこそ、こういう自分でもいいのだ、と日々自分を肯定しながら、それでもちょっとでもマシな自分に明日会えることを期待して今日も生きている。

度肝を抜かれたエピソード

66篇のエッセイの中で、いちばん心を掴まれたのは、ジェーン・スーさんが旦那さんとサムイ島に行った際のエピソードだ。

ジェーン・スーさんがとったリゾート感満載の高級ヴィラを、「こんな資本主義的な空間には、もう一秒もいられない!」と旦那さんは飛び出して、ひとり市街のホステルに泊まりに行ってしまったというのだ。

そんな旦那が、いるのか!ということに感動した。自分の感性に素直なその行動は、ワガママの範疇を通り越して高貴にすら思える。

そんな夫婦関係が成り立つならば、もうなんでもありなんじゃないかと思えてきた。妻の気持ちや機嫌など二の次で、自分に正直に行動できる旦那氏も、それを受け入れられてしまうジェーン・スーさんにも拍手喝采を送りたい。

我々に必要なのは、知恵ではなく勇気だ

ジェーン・スーさんの「これでもいいのだ」は一方、我々読者からしたら「これでいいのだ」である。

他人が他人らしく生きてくれているからこそ、我々も我々らしくて良いのだと思わせてくれる。

諸先輩方のエッセイからいつも受け取るのは、人生の知恵ではなく、勇気だ。

人の生き方から何かを学べるかなんて、結局のところ未知である。他人の人生は他人の人生であり、自分の人生とはすべてが違うのだから。

だけど、誰かの人生の1ページを覗き見て一笑したあとは、読む前よりも少し、自分の人生もこれでもいいのかもしれない、とほっとするような、温かく前向きな気持ちに出会える。

私の書くものも、読む人にとってそうであったらうれしい。

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