【2000字ドラマ】 小説「Olive」
凪とは、風が止まることで波が穏やかになる現象のことだ。
水曜日の午後1時。
天井の高いカフェで、英字のメニューに目をしかめる。
白い壁に赤茶の床には、緊張感と暖かさが共存している。
「先輩はオリーブのピザか、マルゲリータだったらどっちがいいですか?」
目の前の彼が、クリクリとした目をこちらに向ける。
「マルゲリータかな。オリーブってちょっと苦手なんだよね」
鮮やかなシアンブルーの椅子に背中を押されるように答えた。
だがすぐに彼の顔を控えめに覗き込み、
「でも、有川く