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【読み切りドラマ】小説「スズラン」
才能と努力は、虚像と実像のようなものである。
「スズランの花言葉って知ってる?」
広大な植物園には、ピンク・黄色・赤・紫、色鮮やかな花が咲き誇る。
その中で、私の目を引いたのはどの色にも染まらないこの場所。
そこで、持参した組み立て式の椅子に腰掛けて、ありったけの画材を並べる。
すると、その花に吸い寄せられるように1組の家族が近づいてきた。
眩しいほど白いワンピースを来た小さな女の子は、目
【2000字ドラマ】 小説「Olive」
凪とは、風が止まることで波が穏やかになる現象のことだ。
水曜日の午後1時。
天井の高いカフェで、英字のメニューに目をしかめる。
白い壁に赤茶の床には、緊張感と暖かさが共存している。
「先輩はオリーブのピザか、マルゲリータだったらどっちがいいですか?」
目の前の彼が、クリクリとした目をこちらに向ける。
「マルゲリータかな。オリーブってちょっと苦手なんだよね」
鮮やかなシアンブルーの椅子に背中