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ビューティフル! - 映画「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」

※ネタバレ有り、及び見た人でないと分からない書き方をしてたりするので注意

実は本作、映画館に見に行くのをためらっていた。
今月に入って、
すずめの戸締り、スラムダンクと見てきたので、
ちょっと見すぎかなー、と。

映画館で映画を見るのがいろいろ大変になってきて、
大作でYahoo!映画の平均評価が☆4以上なら見るかー、
などと、最近はそんな変なルールを自分に課しているわけだが、
本作、Yahoo!映画で3点台(今日の時点で3.7)!
え?なんで?
加えて、前の記事「スラムダンク」でも書いたが、
オタク友達の元同僚が「岡田斗司夫が『アバター2見るくらいならスラダン見れ』と言ってましたよ」
なんてことを言ってたので、
そのスラムダンクが私的にはイマイチ(繰り返すがバスケシーンは良かった!)だったので、
このアバター2、見ようかどうしようか迷ったのである。

でも、まあ、
待ちに待ったしね。
アバター2制作中と言われてから一体何年が経ったことか。
ようやく公開された予告編を見て、
これ映画館で観ないと後悔するだろーな、と。

で、結局行ってきた訳である。

なんというか、すごい映画であった。

え?これ評価低いの!?なんで!?

Yahoo!映画の☆1のレビューは後で読むとして、
とりあえずこの文は、映画を見た後の余韻に浸りながら書いている。

完璧な映画、というと言い過ぎになるので避けるが、
なんというか、減点のつけにくい映画なのである。
見た後は、興奮の余韻であるため息をつき、
「良かった~」と一言。
帰りながら家族は手をつなぎ、恋人は腕を組む、
そんな映画なのだ。

大作も大作、
「どんだけ金使ってるんだ!?」
と、序盤から圧倒されっぱなし。

長さも感じさせない。
見に行く前は「上映時間192分!?ウェー!!」
と思ってしまったが、
これは岡田斗司夫の言ってた通り、
全く飽きさせない。
途中だれることがほとんどない、
それでいて超大作を見せてもらったという、
得も言われぬ満足感がある。

前作(アバター)の時にも思ったが、
私は本シリーズを見て、風の谷のナウシカを思い出す。
見た事も無い動植物の世界。
まあとにかく映像がスゴイのである。

脚本もすごい。
とにかく観客を退屈させないように、
次から次へとたたみかけるようにクライマックスがやってくる感じ。

ストーリーは、
なんというか、とっても分かり易い。
シンプルというだけでなく、
とにかく良い奴悪い奴仲間がはっきりしているのである。

良い奴とその仲間は、
主人公とその家族、あるいは星の仲間であり、
悪い奴は外からやってきた人間。
父親は家族を守る。
母ちゃんは子供を殺されたら鬼になり、
元々強かった戦士が無双になる。
子供たちは頑張る。
悪い奴は悪いが、今回は悪い奴にも息子がいたりして、ちょっとだけ現代風になっている。

前作で星の原住民ナヴィ族になった主人公だが、
今回は最初から最後まで徹底してナヴィ側、
つまり原住民側である。

本作を見る弊害が一つあるとすれば、
映画館を出た後、
自分を顧みたときに、なんだか汚れてしまっているような印象を受けてしまうところだろうか。

本作は、
主人公を取り巻く世界はどこまでも幻想的で綺麗で美しく、
対して、そこに侵略してくる人間たちとその科学技術は、
醜くて、みすぼらしく、汚さを感じる(というかそういう風に作っている)。

ナヴィ族が自由に空を飛び山を駆け海を泳ぐのに対し、
人間たちは機械とオイルの泥に足を突っ込み、這いずり回っている。

私はここにも、ナウシカとの共通点を見る。
あれは何巻だったか、
ユパが旅の途中で、
腐海が尽きる所、
生まれ変わろうとしている大地、
美しく静謐な大地に足を踏み入れた時、
マスクをつけている自分をひどく醜いと思ったという、
その対比(美しい自然と醜い人間)を思い出した。

それと同じように、
映画館を出た時、
自分と、周りの人の群れ、ビルの群れを、
ひどく醜く汚らしく感じてしまいそうになる。
それが本作を見る弊害と言えば弊害である。

かといって、じゃあ、
「自然に帰ろう」運動をすればいいかというと、
そう単純にもいかない。
スマホは既に我々は手放せないしなー。
個人的には文字も本もない世界は辛い。
その辺りは世知辛(せちがら)いのである。

だけど、「せめて今ある森や海をこれ以上汚さないようにしたいね」
そういった環境問題のはしりにわずかでも意識を向けられたら、
それだけでも監督の本望なのではあるまいか。

いずれにせよ、本作は、
ジェームズ・キャメロン監督の傑作中の傑作であると思う。

ネットでの低評価のコメントは今から見ていく事にするが、
まだ見てない人に対しては、
自信をもってお勧めしていきたいと思う。

(追記1)
本作を撮ってしまったキャメロン監督は、
もはややりきった感があるのではないだろうか。
インタビューとかで、
すぐに「続編は?」と聞くバカなインタビュアーがいるが、
本作もここまでやりきったからには、
続きなんて作れないんじゃなかろうか、
などと最初は思っていた。

だけど、よく考えたら、
肝心なところは何も解決してないんだよね。
今回は大佐との戦いばかり目についてしまうが、
要はこの映画の中では、
地球がもう住めなくなって、
この星のテラフォーミングを考えているという設定。
今回の襲撃だけで終わるはずがない。
この後は次々と、
人類の総力を挙げてやってくるだろう。
その時主人公側はどう対応するのか。
どー考えてもこれは3を作らないといけないだろうが、
作るの難しいだろうなあ。

(追記1の追記)
……と思った後にネットを見てみたら、
え、これ5部作?
しかも3は既に撮影済み?
2024年公開?
4は2026年公開?
2をこれだけ待たせられたので、これは嬉しい。

(追記2)
母ちゃん(ネイティリ)が覚醒してからが鬼のように強い。
バッタバッタと敵を倒していくのは見てて気持ちがいい。

母ちゃんだけでなく、本作は、
敵の弾は当たらないけど、
味方の銃や弓矢や銛は面白いように当たる。
一昔前のご都合アクションのようである。

あと大佐が優しい!
あれだけ執拗に主人公を探していて、
他の村に行って外れだったとき、
普通の暴力映画だったら皆殺しにするところを、
「家を焼け」って。
優しい!

だが本作に関して言えばこれで良いのである。

そもそも戦いは本作のメインじゃないし。
今回の映画はとにかく綺麗な映像を堪能する、それに尽きる。
そのためには、人(と言うかナヴィ族)を殺すのは必要最小限にしなければならない。
子供でも安心して見れる映画として作られているのである。

ただ、それでも、気になるのは、
母ちゃん、
最後、スパイダーに何か言わんね!(なぜか九州弁)
身体に傷までつけておいて、
これは後々ギクシャクするだろうに。
「あれは本気じゃなかった」とか「殺すつもりはなかった」とか言って欲しかった。

(追記3)
キリのキャストはシガニー・ウィーバー本人!?
いやどうりで顔が似すぎているとは思ってたが。
本作の中では海のヒロイン(ツィレヤ)より好きだったので、
中の人がオバアチャンと知ってちょっとショック。

あと、クジラ(映画内ではトゥルクン)の偉大さがすごく強調されるけど、
クジラ食をとりまく議論があるので、
(特に)我々日本人は素直な気持ちで見れないのではないか。
※ネットでの低評価もそれを理由にしてるのが多いイメージがある。要はクジラやイルカを神聖視するスタンスに疑問を感じているというか。この問題(文化の違い)は根深いよなあ。

でも、不満点としてはこれぐらいかなー。
どちらも作品外にある要素なので、
作品自体、
脚本とか映像とかキャラクタとか演出とか、
その辺りは本当に減点をつけにくい映画である。

2度は見ないかもしれないが、
(「好きな映画」上位には入らないかもしれないが)、
それでも、
映画館で観て良かった。

(追記4)
クジラの話の続きとなるが、
狩りをする人間たちの目的が、
あのクジラのデカい身体から取れるビン一本の黄金の液体、
というのは興味深かった。
本作を見た全員が忘れられないシーンだろう。
どこかの金持ちの婆さんが、
暖炉のある部屋でロッキングチェアーに座りながら、
(あるいは食堂のテーブルで)
高級なウィスキーかワインのように、
チビチビと飲んでいるという場面が目に浮かんだ。
今、三浦英之の「牙: アフリカゾウの「密猟組織」を追って」というノンフィクションを読んでいるが(これは凄い!)、
アフリカゾウの密漁に意識を向けないまま、
象牙のハンコを使っている日本人と同じである。

(追記5)
え、パンフ、この大きさと薄さで1650円!!!???
ちょっと高すぎない?
昔は映画のパンフレットと言えば、
600円とか700円だったよね!?
インフレが激しいんですが。

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