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軽率に院進しよう

「大学院は本気で研究したい人だけ!」

「文系は院進したら就職できない!」

「研究分野の企業に就職することになるぞ!」


断言します。 全部ウソです。

みなさん、軽率に院進しましょう。

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研究は「階段の1段上」を目指す


僕は修士の1年生(M1)で、国際学会から「査読付き英語学術論文」を投稿しました。

学術論文というのは、簡単に言えば卒業論文のすごいバージョン。

査読付きというのは、専門の学者から「この研究いい感じだね~」とお墨付きを得られたということです。
(一般的に査読の有無で論文の信頼性は大きく異なります。)

じゃあ、この実績を出すにはめちゃくちゃ深い知見がいるのかと聞かれたら
、別にそんな事はありません。

①今までの研究背景を調査

②その背景から課題や改善余地を発見

③改善方法を立案・検証・再検討

大まかな研究フローを↑に示します。

研究活動では、このフローをぐるぐる回すわけですが、やってみるとこう思うはずです。

「これくらいの改善で論文になるんだ」


研究やアカデミックというのは、あまり生活していて関わることの少ない世界なので実態とイメージが乖離しがちです。

大学院で求められる研究の深度というのは、「これまでの研究背景を理解し、先人が登ってきた階段の一段上を目指す」ということです。

0から何かを生み出し、世界に激震を走らせることではありません。

研究についての知見をしっかしインプットし、そこから1段上を目指す。

この1段上のために、日々研究を行います。



専門性はそんなに必要ない


大学院=専門分野を極める


このイメージが広まっています。

しかしこれ、50%も本質をついていないと思います。

たしかに大学院での研究テーマは特定に領域に限られます。

「物質Aの状況Bにおける特性Cを改善する!」みたいな。

一見、すごく専門性が高い内容に見えますが、研究で最も重要なのは「専門的でない知見」です。



図1 研究のピラミッド


研究テーマは局所的な領域です。図1でいうと先端の赤枠の部分。

しかし、そのベースとなるのはオレンジ枠以下の部分です。
ここがなければ、赤枠の高さ=専門性を出すことはできません。

つまり、専門性が高い研究を目指せば目指すほど、ピラミットの裾野=専門的でない知見を広げる事になってきます。
相対的に、専門知識の重要性は薄らぎます。(もちろん重要だけどね)


研究テーマは他人と被ることが少ないため、赤枠部分を理解している人の絶対数が少なくなることから、

なんかよくわからんこと研究してる = 専門性高い

となりがちです。

しかし、ベースとなる知見は他の研究テーマの人とも共通している部分は多く、要はどこに頂点を持ってくるかという違いでしかない場合が多いです。



大学院は「課題解決のプロセス」を実践するところ


大学院での研究では、専門性の高い知見はそんなに重要ではありません。

大学院の研究とは、特定の研究テーマを扱うことで、

  • 背景を理解する。

  • 課題を発見する。

  • 課題を解決する。

  • 上記をまとめて発表する。


これらを実践し、体得するところです。

過去論文を読みこみ、新規性や課題を発見し、どのように解決するかを考える。

先人が築いてきた階段を登り、1段上を発見し、どのようにしたら登れるのか考える。

なので、極端な言い方をすれば、そのために扱うテーマは何でもいいんです。

専門性そのものが重要なわけではないんです。

専門性を得るために、どのようなステップを実践するかが重要なんです。

これらの「課題解決のプロセス」はどの業種・どの業務でも必ず役に立ちます。
ビジネスとは、課題発見・解決し、報酬を得るものだからです。






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大学院は「課題解決のプロセス」を実践するところです。

専門性というのは、それらを会得するための手段であって目的ではありません。

これは文系も理系を関係ないはずです。

記事の先頭のように言う人は大学院は専門性を高めるところだと考えているんだと思います。


大学院で何を得て、どう使うのか。

しっかり自覚できれば、どんな人にとっても心強い経験が得られるはずです。

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