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uniba.jpリニューアル秘話 :vol.2 「サイト設計でみせる不器用な丁寧さ」 デザイナー Takumi Abeさん&フロントエンドエンジニア Yusaku Kimuraさんインタビュー。(後編)

ユニバ株式会社(以下ユニバ)はコーポレートサイトuniba.jpを2022年5月末にリニューアルしました。
以前の記事、「日本一奇天烈なカオス会社 『ユニバ株式会社』に迫る」でもご紹介した弊社のコーポレートサイトは2022年の今、どのような経緯でリニューアルに至ったのか。サイト作成に関わった人物にインタビューを行いその背景に迫ります。
まだアクセスされていない方!まずは新しいuniba.jpを是非ご覧ください。


さて、前回に引き続き、uniba.jpのリニューアルに携わっていただいた、デザイナーTakumi Abeさん&フロントエンドエンジニアYusaku Kimuraさんのインタビューをお届けします。 後編では、7年前との心境や時代の変化、最近の関心ごとなどについてお話を伺っています。

7年を経て今思うこと

ー阿部さんは前回2015年の時も制作に関わってくださったと思いますが、気持ち的な部分や時代的な部分で大きく変わったようなことがあればお聞かせください


阿部さん:
前回のサイトは、フロントも実装も含めて全部僕がやってたので、表層的なバチバチっとした演出とかに関しては良くできたなとは思います。今回連絡をいただいた際、木村くんと一緒にやった方がいいものになると思い、声を掛けて2人で制作することになりました。「協業していいものになる」というのは前作との違いですね。

ー「さわれるインターネット」と聞いて想起するものはなんですか

阿部さん:デザインを作ってる最中も「さわれるインターネットって何だろうな」という気持ちはずっとあったので、それがインターフェースにも出ているんですよね。前回はアクセスしてすぐに「Enter」にしたのですが、「さわれるインターネット」を分かる人ってどれだけいるんだろうと思って。僕もなんだろうと思っていたので。そう考えると、「さわれるインターネット」ーそれを知るためにウェブサイトの仮想ページにアクセスしてもらうような形をとりたくて「とは?」で、それがEnterの役割を果たしているような構造にしました。

リニューアル前のuniba.jp
スクリーンショット 2022-08-18 17.37.47
リニュアール後のuniba.jp-「ENTER」から「とは?→」に

「さわれるインターネットってこういうことか!」と思ったのは、谷口暁彦さんの1作目を拝見した時ですね。キーボードで指がカチャカチャ動く、フィジカル的にインターネットと自分の手が動いてる感覚になるみたいな、神経とディスプレーが連動してる感じはなかったので、これもさわれるインターネットっていう解釈のひとつとしてすごく腑に落ちてるなと思い、後発でちょっとわかったというか。谷口さんがすごくそれを体現してるなと思いました。

谷口暁彦さん「3つの会話 2022年5月」

木村さん:僕は阿部くんほど深く考えてはいなかったかも知れないのですが……「さわれるインターネット」は、インターネットを民主化しようというか、みんなの身近なものにしようみたいな印象を受けて。むかし哲学者が民衆の前で哲学を解くみたいな、ミュージシャンが大勢の人の前で音楽するみたいな、そういう哲学的な感覚を受けつつ、いい言葉だなと思ってます。

ーUNIBAの組織形態などを聞いて思った率直な意見、難しいと思った部分はありますか


阿部さん:組織形体はすごく面白いなと思いました。「営業部」や「人事部」のように定型的な部署名ではないので、対外的には分かりづらいのかなと思ったのですが、それぞれに独自の名前が付けられたチームにすることで、モチベーションや愛着も湧くし、社員思いだなという感じがしました。

Unibaでは社内チーム制を採用している

関心ごとについて

ーUNIBAのチームで興味を持ったチームはありますか?


阿部さん:僕はフリーランスなので、Otasuketaiがいたら心強いなと。新しいことをやっていくという意味ではCircuit Lab.に興味があります。僕が在籍してたときも存在してて、フィジカルコンピューティング的なことをやったりいろいろ検証したりしていました。そういう人たちと一緒に仕事できるのは面白そうだなと思ってました。

木村さん:僕は最初に聞いた時にOtasuketaiAzukaritaiの名前の付け方が特殊でかわいいなと思って印象に残っています。あと僕もフィジカルコンピューティングがすごく好きで、大学の時もそういうゼミに入ってたので、Circuit Lab.にはすごく興味があります。

ー最近の関心ごとについてお聞かせください

木村さん:仕事だと最近WEBの仕事の数が多くてちょっと疲れてきちゃったので、フィジカルなものをやりたいですね。展示とか作品とか、そういうのを作りたいなと思ってます。どっちかをやると、どっちかやりたくなるっていうループでずっと仕事してきたんですけど、最近偏っていて良くないなぁと。

最近は作品のアイデア出しのためにアルスエレクトロニカっていうイベントのアーカイブから毎週1年ずつ作品をまとめています。1987年からアーカイブがあるのですが、今99年まで来てるところです。

あと、趣味でずっと浦和レッズを応援してて、最近弱いんで頑張ってほしいなと思ってます。浦和出身なんです。ちっちゃい時から応援してるんで。

ーインスタレーションなど作品も作られますか?

木村さん:大学の時はそういう研究室だったので、そこからスタートしてて。ただそれだと食べていけないという問題に直面して、WEBの技術を習得し始めました。

阿部さん:仕事の関心事は僕はずっと変わらないですね。ウェブも好きなんですけど、タイプフェイスを作るとかピクトグラムを作るとか、どういうメディアに着地しても成立するデザインが好きなのはずっと変わらないです。
ただ、見るものはすごく変わってきたかなと思います。
 デザイン書やSNSで上がってくるWEBのトレンドみたいなのはあまり見なくなってきましたね。トレンドになっちゃったら、どこかで時間とともに廃れていってしまう感じがするので、そういうのも見なくなりました。その代わり、コストコとかで買ってきたジップロックのパッケージの箱の文字まわりを凝視するみたいな、ザ・工業製品とかのレイアウトとか、そういうものの方に意識が向くようになってきました。

 去年はグラフィックTシャツを着始めて面白いなと思ってたんですけど、だんだんイラストレーターが描いてるイラストTシャツとかあまりピンとこなくなってきちゃって。古着屋さんによく行くようになったからというのもあると思いますが、昔のイギリスの郵便局のスタッフTシャツとか……ザ・グラフィックデザインというよりは工業寄りのものは強度があるなと思って。流行り廃りに左右されない感じが好きで。

あとは植物を育てたり文鳥飼ってたり、デザインの畑とは全く関係ない趣味みたいなのは大切にするようになってきました。

ー阿部さんのデザインは基本的にWEB関係なのでしょうか。

阿部さん:基本はウェブが多いですね。この何年かで映像のタイトルのデザインだったり、アートディレクションやブランディングのロゴのデザインとか、もうちょっと源流からデザインするみたいなのはやってます。

ーデザインするときの視点が日用品などに変化しているのは面白いなと思いました。ホームセンターに行くと、何年もこのデザイン変わってないんだろうなっていうインクの箱とかボンドのデザインとか味わい深いものがあって面白いですよね。

阿部:そうですねすごく好きですね。父親がクリーニング屋で職人さんなんですよ。その影響も多分あるんだと思います。僕の中でデザイナーは、アーティスト的な感じじゃなくて、もう少し職人さん的な感覚があるので。なので時代に左右されないものだったり、ひたすら同じ作業をどんどん研磨してくみたいなことだったりとか、そういうのが好きなのかもしれないですね。





リニューアルした uniba.jp  は以下のリンクからご覧ください。


次回、uniba.jpリニューアル秘話 vol.3ではユニバ株式会社代表の菊地と実装を担当したエンジニアの森にインタビューします。
リニューアルを企画した理由やねらいに迫ります。(2022年9月上旬更新予定)


Profile
Takumi Abe

デザイナー/アートディレクター。1991年東京都生まれ。CANOPUS、DELTROを経て2019年に独立。ロゴ、ウェブ、映像のグラフィック、ピクトグラムやタイプフェイス制作など領域に縛られず活動。
「電気グルーヴ Official Site」「DJ Matsunaga Routines For Ginza Sony Park」「XPERIA 1 IV」「Shiseido Clé de Peau Beauté Holiday Collection 2020」のグラフィックやウェブのデザインを担当。
https://takumiabe.com/#list

Yusaku Kimura

エンジニア/テクニカルディレクター。1991年生まれ。14年に慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、16年に東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻を修了。22年よりCEKAI所属。
アーティスト作品のテクニカルサポート、プロダクトのプロトタイピング、Web制作など、ハードウェア/ソフトウェア双方の知見を生かした幅広い領域で活動。虫が苦手。
https://yusakukimura.com/