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2023大学ラグビー菅平練習試合:京産大対東海を簡単な数字で見てみた

みなさんこんにちは
菅平は雨だったようですね

今回は各校の夏季合宿で行われている練習試合のうち、中継のあった京都産業大学対東海大学の試合についてレビューしていくことにします

それではメンバー表から

全員出場したわけではないと思いますが(一部の選手がB戦にも登録されているため)、特に東海大学側は多いですね

次にスタッツです

色々な意味で検討しがいのあるスタッツのような気もします

それでは順番に見ていきましょう


京産大のアタック・ディフェンス

京産大のアタックシステム

前後半合わせて47回のキャリー、53回のパスとそこまで多くないこともあり、傾向としては掴む事ができますがシステマチックな部分はなかなか読み取る事が難しかったです
アタッキングプレーの約1/3がそれぞれOtherにカテゴライズされるようなプレーだったので、尚更ですね

基本的な組み立て方としては9シェイプ中心になるでしょうか
ソロモネ選手やポルテレ選手の強烈なキャリーを中心にFWでゲインを図り、空いたスペースをBKの速く強い選手が狙うというスタイルが見受けられました

また、特に前半においては要所要所で起きるラインアウトモールが効いていましたね
直接モールトライになったのは2つのトライのみでしたが、それ以外にも相手のコラプシングを誘ったりFWをモールに釘付けにしてサイドに生まれるスペースをBKの選手が狙ったりという場面も見られたように思います

後半に限って見ると、トライは取る事が出来ていますがポゼッションは圧倒的に不利と苦しい戦いをしていた事が予想されます
特にハンドリングエラーや被ターンオーバーが手痛かったのではないでしょうか

また、トライの多くがそこまでフェイズを重ねたものではなく、ビッグゲインの回数も極端に多いわけではないため、前に出る事が出来ずにフェイズを多く重ねていった時にどのような方針が示されるかが一つの注目ポイントになるかと思います

京産大のキャリー

回数自体はそこまで多くなかったですが、一人一人の選手が地道にゲインを切るというよりかは特定の選手がビッグヒット・ビッグゲインを決めて陣地をとっていくという形になっていたかと思います
FWもBKにも前に出れる選手が揃っていました

特に今後注目していきたいのは5番のソロモネ選手と8番のポルテレ選手ですね
二人ともキャリーが強烈でBump-Offして終わりではなく前に出る凄まじい推進力を兼ね備えており、おそらくDefenders Beatenの半分は彼ら二人によってもたらされたものであると思います

数字を見ていきましょう
前後半ともにキャリーの1/3がOtherとなっており、全てにおいてシステマチックにキャリーをしているわけではなさそうな様子でした
単純な数としては9シェイプが多く、FWを起点にしている感じが見て取れますね
逆にBKの選手がキャリーに絡んだ回数はほぼなく、あったとしてもトライ+αくらいかなと思っています

京産大のパス

パス回数もキャリーと同様にそこまで多くないこともあり、おおまかな記述的見解しか述べる事が出来ないのですが、おおまかに見るとバリエーションを複数持って状況判断からパスを放るというよりかは、強い選手にボールを持たせて前身を図ると言ったイメージです

回数だけ見ると大体1/3がOtherにカテゴライズされるものとなっており、少し崩れたシーンでのパスやセットピースのスタートになるパスが多く、形にはまったパスワークは少なめな印象です
というか各種のパスに対応する回数が少なすぎて判断がつけづらいのが正直なところです

京産大のディフェンス

今回の試合、というよりも京産大のプレースタイルで注目すべきポイントとしてディフェンスは真っ先に挙げられると思います

何よりもタックルが低いことが要注目ですね
外国人選手も含めてタックルが普通の大学のタックルよりも平均的に低めの位置に入っているように見えています
1stタックラーはほぼ膝下に入っていると言っても過言ではないのではないでしょうか

特に注目したいタックラーが6番の日吉選手です
どのような相手に対しても極めて低くタックルに入っており、青天はさせる事が出来なくても効果的に相手を倒す事が出来ています
弾丸のように低く飛び出してくるタックルはどんな選手もかなり苦労するような気がします

とはいえ、東海のオフィナ選手の活躍もありタックル成功率は少し低めの水準を示していました
アベレージで81%強は少し低いですね

また、もう一つ気になる点としてはあまりに低すぎて危険なタックルにも受け取られるような飛び込み方をしているシーンが散見される事が挙げられます
低く入ることは悪くないことだと考えていますが、京産大の選手のそれはあまりに低すぎる事が多く、相手に怪我を負わせてしまう危険性も生じてくることかと思います
レフリーからの注意もあったので、色んな意味で注意をしていった方が良さそうですね

東海のアタック・ディフェンス

東海のアタックシステム

主に1−3−3−1に近い形をとっており、9シェイプを中心に、SOの武藤選手をアタックの起点にしてシステムを構成しているような様子が見られました
9シェイプに3人、10シェイプに3人の選手が立つことの多いオーソドックスなスタイルですね

アタックの起点になるのは武藤選手でしたが、アタックの中心になっているのは変わらずNO8のオフィナ選手でしたね
体の強いこと強いこと
キャリー回数もさることながら、相手を弾き飛ばす膂力やブレイクダウンワーク、要所要所での繋ぎのスキルなど一人で場面を打開することのできる選手であるように思います
密集からのムーブでトライを取り切ることもできますしね

キックは今回は少なかったですね
いつもは比較的多めのキック回数を示しているのが東海ですが、雨の割に回数が少なかったのが少し意外でした

今回ネックになったのはおそらくセットピースの安定感です
後半でこそスクラムからペナルティをもぎ取りエリア獲得やゲインにつなげる事が出来ていましたが、京産大の前半のモールを中心としたセットピースに苦労していたのが見て取れました
前半はゴール前でのラインアウトもミスをしていましたしね

東海のキャリー

特に目立っていたのはオフィナ選手ですが、今回の試合ではBKの選手も随時キャリーで目立っていましたね
武藤選手を起点としたある程度システマチックなパスワークで相手をずらしてエッジを中心にゲインを図る事が出来ていました

それでは数を見ていきましょう

前半こそキャリー回数が27回とかなり押し込められた印象ですが、後半を見ていくと61回とキャリー回数は倍増しています
後半に限って見ていくと32回が9シェイプでのキャリーと他の追随を許さない数値を示しています
この点から見ても9シェイプは東海のアタックの基盤となっているように見て取れます

また、シェイプに頼らない中央エリアとエッジでのキャリーは大体同じくらいの回数を示しており、中央エリアを主な戦場としながらもエッジにも適宜ボールを運んでラックを作っている事がわかりますね

一方で10シェイプはほとんど少なかったですね
パスの項目でも触れますが、9シェイプか外に運ぶかといった感じになってたのかもしれません

東海のパス

先述したように前後半で39回の9シェイプへのパスが発生しており、9シェイプがアタックの中心となっていました
前後半合わせたパスの回数が124回なので、約1/3になりますね
それ以外にはOtherが29回と約1/4を占めています

パスワークはBKの選手が絡むことも多かったために比較的スムーズに回されていたと思います
BK間でのパス回しも多かったですしね
バックドア=走り込んでくる選手の裏に立つ選手へのパスも少ない回数ですが見られていました

一方でSOから10シェイプの選手へのパスは前後半合わせて6回とほとんど見られていません
武藤選手が絡むアタックが多いにも関わらず10シェイプへのパスが少なかったのは少し意外でした
9シェイプに比べるとポッド内でのパスの選択肢が比較的少ない10シェイプでのキャリーを嫌ったのかもしれませんね
京産大の選手はかなり前に出てくるので

東海のディフェンス

後半はポゼッションを支配したことも相まってタックルの成功率はかなり高い水準を誇っていますが、前半はかなり厳しい戦いを強いられていましたね

とは言ってもさまざまな選手に何度も弾かれたり外されたりしたかというとそんなわけではなく、ソロモネ選手やポルテレ選手といった一部の選手に一度のキャリーで何度も外されたのがミスタックルに計上されています
その二人さえ確実に止める事ができればもっと成功率自体は上がっていたかもしれません

それ以外のタックルに関しては基本的にちゃんと倒す事が出来ていたように見えました
ディフェンス自体はそこまで極端にあがることなく揃ってあげることが出来ていましたし、ビッグゲインもほとんど許していませんでした

一方で22m陣内のなどのゴール前に進出された後の被トライ率は比較的高かったように思います
相手にとっては22m以内でセットピースを組む事ができればトライにつなげることのできる確率が跳ね上がるので、このあたりのディフェンスの精度を上げる事が出来なければしんどくなりそうです

まとめ

今回の試合は久しぶりに見る雨の中の試合でした
ハンドリングエラーやミスも多く、両校共にハンドリングに苦労していた印象です
そんな環境下で競り合うようなキックが少なかったのが意外といえば意外でしょうか

両校が当たるとすれば大学選手権になるかと思いますが、京産大は関西のトップ有力校、東海大は関東リーグ戦のトップ有力校なのでベスト8以上での戦いになるかもしれませんね
東海がリベンジを果たすか、京産大が再度勝ち切るかが楽しみです

今回は以上になります
それではまた!

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