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愛する娘は、バケモノでした。: 『渇き』 感想

家庭も職も何もかも失った元刑事。元妻から娘、加奈子が失踪したという一報を受け娘を捜索し始める。娘のことについて何も知らなかったが次々と明かされていく愛娘の顔。娘を見つけ出し、夢にまで見た幸せな家庭を取り戻すことはできるのか。

話の理解が追いつかないまま終えた118分。長く感じるようで、最後までどこか魅了された。作中で取り上げられている不思議の国のアリスの小説はまさに加奈子を表現している。作中で加奈子は誰をも魅了してしまう女の子である。相手が一番言って欲しいことを言って残酷でそれでも人々を魅了してしまう。それはまるでアリスが危険を承知で穴を覗き込み深く落ちていく様のよう。最後まで魅了された118分間。スクリーンを挟んだ私たちも加奈子に魅了され、アリスのように深い穴に落ちていくような感覚だった。
 
暴力、セックス、ドラッグをコミカルな音楽と混ぜ合わせているところや、作中序盤の洋画のようなクレジット、3年前の回想シーンで使われているアートアニメ。アート映画に感じさせられる要素が多く見受けられた。個人的にはKill Bill、Trainspotting、ミスミソウをぐちゃぐちゃに混ぜたような感覚を味わった。

タイトルの『渇き。』については謎。作中ではシャブをやると喉が渇くという表現しかなかったが、どのような意味が込められているのだろうか。

2023/03/01




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