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人生に豊かさを与えてくれる本たち

読書の魅力は、自分の人生で出会えることができない人たちに出会えること、そう思って読書を楽しんでいます。

本の中のことだけではあるけれど、過去の偉人や現代のカリスマ経営者、自分が会いたいと思う人にお会いすることができます。本来、経験でしか学べないことを、それらの人たちから本を通して学べることが読書のすばらしさだと思います。

人から勧められたり、いただいたりする本は、普段自分が選ぶことのない本なので読書の幅が広がる良い機会ではないかと思います。

そんな本たちの中から選ぶならこの本!と言われても...
少し戸惑いますが、あえて、選ぶとしたら、

ネットもなかった時代に読んだ本の中から

島崎藤村 夜明け前、破戒、新生
子母澤寛 勝海舟
井上靖  蒼き狼
新田次郎 アラスカ物語,望郷

ネットもなかった学生時代に読んだ本です。多感な時期に衝撃を受けて、一気読みした本たちです。なぜか文学系ですね。

情報伝達手段がまだマスメディアや人から伝わる口コミだった時代、本から得られる知見は貴重なものでした。今、これらの本を再読したら、どんな感情を抱くのか、興味がつきません。

この時代だからこそ読んでほしい本

再読したいと思う本を手元に残すようにしています。文学に、ビジネス書、経済小説、歴史小説もあれば、なぜか高校数学の公式集もあったり、IEの基礎とかコーチングなどの教科書の類も。

この中から、あえて選ぶならこの3冊。
心の中にスーッと入ってきた本たちです。

日本人の品格 岬龍一郎

~著名なベルギーの法学者・故ラヴレー氏の家で歓待を受け、~ある日の散策中、私たちの会話が宗教におよんだ。

『あなたがたの学校には宗教教育というものがないとおしゃるのですか』とこの高名な学者がたずねられた。私(新渡戸)が『ありません』と返事すると~

『宗教がないとは。いったいあなたがたはどのようにして子孫に道徳教育を授けるのですか』と繰り返された。そのとき、私はその質問に愕然とした。~

『我、太平洋のかけ橋とならん』をもとめた新渡戸稲造
新渡戸稲造は大正・昭和期にグローバルに活躍された先駆者のひとり。
プロテスタントであった新渡戸が英語で『BUSHIDO the soul of JAPAN』を書き、アメリカで発刊、武士道を紹介している。

この本の前半ではこの新渡戸のことが触れられ、後半で武士道を解説しています。

日本人のアイデンティティとは、道徳とは、モラルとは、宗教とは何かを学ぶきっかけになったのがこの本でした。

寄付などの利他行動が定着しつつあり、また、エシカル消費が広がり始めています。そんな時代に向けての参考になればと思い選びました。

ビジネスマンの父より娘への25通の手紙 
 キングスレイ・ウォード 城山三郎訳

娘へ、そしてすべての若者へ
人生は後ろ向きにしか理解できないが、前向きに生きなければならない。

~励ましがあれば、そして人生の断片をつなぎ合わせて理解する広い視野と洞察力を養うことができれば、若者にできないことは何もない。

そのための励ましと支援になることを願いつつ、私は娘に宛てて
ーそして同時に、果敢にも夢を追い求め、失敗し、再び挑み、何回でも、成功するまで試みる、すべての若者に宛ててー愛情をこめて、この手紙を書いた。

訳者の城山は、この本のまえがきで「手紙はまず人生の進路についてあれこれと夢を見、かつ迷っている時期の娘への語りかけからはじまる。その娘が会社に入って、キャリア・ウーマンとなり、責任のある地位に進み、三人の子を持つに至るまでの人生の各段階に起ると思われる諸問題について真心をこめて書かれた手紙がー。」と紹介している。

虐待や痛ましい親子間の事件が毎日のようにニュースになっています。

この本で書かれている手紙の内容はもちろんのことですが、成長、変化する親子関係が手紙を通して描かれていますので、何か参考になるのではと思い、推薦図書に上げました。

スターバックス再生物語 つながりを育む経営
  ハワード・シュルツ 月沢季歌子訳

尊敬と尊厳
情熱と笑い
思いやりとコミュニティと責任
本物であること

これらはスターバックスにとっての試金石であり、誇りである。

多くの人がパソコンの画面に向かってひとりで過ごす時代に人と人とのつながりを大切にし、多くの人が多くの問題によって対立している時代に人と人の関係を築くことを求め、無駄なことは当たり前のように切り捨てられる時代に、たとえコストがかかっても倫理的に行動する。

これは誇るべき探求であり、スターバックスの根幹であった。

一昔前に馴染みにしていたスタバのバリスタに勧められてこの本と出会いました。スタバってこんなお店だったんだと、一気に読み進んだことを記憶しています。

ミラノとヴェローナで小さなエスプレッソバーをいくつも訪れた時、カップ一杯のコーヒーを楽しむだけで、人々とつながり、コミュニティを築くことができる力に魅了されたのである。

そして、その瞬間から、アメリカに一流のコーヒーとイタリアのエスプレッソバーのロマンを持ち込もうと決意した。

それは人々の生活を豊かなものにする体験だと信じた。

この本を読む前に、バリスタに「接客マニュアルはあるんですか」とたずねたことがありました。

「マニュアルないんです。バリスタ個々人に任されているんです。」

そのときはへぇーと聞いていましたが、この一文を読んで、あぁーと感じてすっかりとスタバのファンになっていました。

~心配りが足りずにエスプレッソが薄すぎる、あるいは苦すぎるものになったりすれば、スターバックスは40年前の創業の精神を失うことになる。
つまり、人々の気持ちを明るくすることができなくなるのだ。

ただ一杯のコーヒーには大きすぎる使命だということはわかっている。

しかし、商人とはそういうものだ。
靴やナイフやコーヒーといった日用品に新たな命を吹き込み、自分たちが作り出すものがほかの人たちを感動させることを信じている。

ここで使われた”商人”という言葉にとても新鮮さを感じたことを記憶しています。効率化が求められている今、お店の未来を考えるとき、参考になればと思います。


白洲正子さんの「金平糖の味」もお勧めしたい本のひとつです。
飾らない語り口が魅力いっぱいの本です。

お読みいただき、ありがとうございました。

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