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コトバは魔法の杖となりて

心理カウンセラーは主にコトバをメインにして、カウンセリングを行います。
動物としてのヒトは、犬やお猿さんと共通している部分はありますが、人間としての人と、動物との決定的な違いはコトバを操れるかどうかです。
 
コトバを開発したことで、ヒトは爆発的な成長と進化を遂げて人になったのです。
コトバは文化を作ることに役立ちました。私たちは文化に守られると同時に文化に縛られます。
 
そしてコトバが進化しすぎたことで、様々な心の病を生み出すことになりました。
人間の心の病を作るきっかけにもなったコトバを用いてTh(セラピスト)はcl(クライアント)の心を癒すのです。
 
心理カウンセラーとしての私はコトバの使い方に細心の注意を払い、傾聴して、コトバを送り込みます。
コトバには必ずヒトとしての雰囲気が反映されているため、雰囲気を聞き取ることが大切です。
 
雰囲気を聞き取る上で、大切なのはコトバの内容を聞き取るのではなく、コトバの構造を聞き取ることです。上手なThは内容ではなく構造に注意を向けるのです。
フォーカシング指向心理療法の創始者ジェンドリンは、どのような内容を話すかではなくどのように話すかがセラピーが成功するかどうかのカギになることを発見しました。
 
コトバの構造を聞き取るには、話し方のリズムや音程や沈黙などを読み取ることが重要なのは言うまでもないでしょうが、テクニック的なことでもう1つ大事なのは助詞や助動詞を聞き取ることです。
 
①     「私は会社を休もうと思うのです」
②     「私は会社を休もうと思うのです」
この2つの文は、内容は同じです。しかし、構造が違うのです。②は「休もうと思う」なので、休む以外の選択肢がClの心の中で存在していることが推察されます。
このコトバを受けてThは返答の仕方を変えないといけません。
①の場合は<会社を休もうと思われているのですね>で良いでしょうが、
②の場合は<会社を休もうとも思うし、休む以外にも考えていることがある?>と返した方がよりClの心の雰囲気にフィットした返答になるでしょう。

するとClの返答を受けた②のClは「えぇ。休もうといつも思うんですけど、休めないんです。迷惑を掛けそうで」とのコトバが続きます。実は②のClは、会社を休みたいという思いを抱えながらも、迷惑を掛けるのが嫌で休めなかったという葛藤の歴史があることが今明らかになったのです。
 
もしも、①と同じように<会社を休もうと思われているのですね>とThが返してしまえば、もしかするとClが心で感じていた葛藤の雰囲気をスルーしてしまっていたのかもしれないのです!
 
タロットリーディングやアストロロジーは意識と無意識を繋ぐ役割があります。そして実はコトバだけでも、意識と無意識とを聞き分けることが出来るのです。実はそれが先に述べた方法です。
 
つまり、
内容=意識 構造=無意識になります。
意識は建て前で簡単にコントロールできますが、無意識は中々コントロールできないのです。そのため会社を休みたいというという思いは意識にありますが、それが出来なくて困っているという心の叫びはまだ無意識のレベルでくすぶっていたと言えます。
 
これはカウンセリングという特別な行為だけではなく、普段の会話でももちろん使える方法です。
 

今はコトバの聞き取りの仕方について述べましたが、次はコトバを送り込む際のテクニックついてお伝えします!
 

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