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#子育て「ジブンゴト教育」

「なんかわからんけど、やってみたいねん」。

親としては、「もっとちゃんと考えてからに
したら?」等、言いたくなる時もあった。

私はずっと、教える側は「相手が1人ででき
るようになるまで、横について手取り足取り
伝えていかなければならない」と思ってきた。

だから、1人でできるように、あれこれと
先回りをして、用意してしまうほうだった。
相手がわかりやすいように、ちゃんと理解
できるように、丁寧に伝えることもした。
教える側が自分の持っているものをできる
限り、直接伝えていくというイメージだった。

ある時、子育てや子供のサッカー少年団で
のサポート、会社の教育などに携わるうち
に、先回りしてあれこれやることは、相手
を知らないうちに「受け身の学習者」にし
てしまうことに気づいた。良かれと思って
伝えていたことは、知らないうちに指示待
ちの思考を作ってしまう。更に恐ろしいの
は、ちょっとしんどいことが続くと、全て
が「やらされていること」に捉えられてし
まうことを知った。そうなると、やってい
ることをパターンにして、それ以上考える
ことなく行動してしまうようになる。
自分で考えて行動する力を奪ってしまって
いたし、前向きな気持ちまで奪っていたの
だと気付いた。

愕然とした。

それからは、教育する側に立つ時は、自分
があれこれ教えるという考えではなく、相
手が考えて、相手自身で行動するような、
「きっかけ作り」をするスタンスに変えた。
自分が直接的に教えるということではなく、
自分で学んでいく環境や機会を作ることに
力を注ぐというイメージだ。

決して、相手任せで、何もせずに放置する
ということではない。

具体的には4つのポイントを心がけている。

①自分に実際にふりかかるようにする
(本人が困る機会を作る、代わりにやらない)
②自分の考えを整理する時間を作る
(本人の思いを聴いて整理する)
③外部からの刺激を受ける機会を作る
(他の人のエピソードに触れる)
④他の人と意見を交わす機会を作る
(友達など周りの人に自分の意見を伝える)

私の中学3年生の娘の高校受験についてを
例に言う。

①に関しては、娘は現在は全く受験に対して
は、「ジブンゴト」になっていない。でも、
ジブンゴトとして捉えるようになるまでは
「受験勉強始めないとあかんのちゃうの?」
とかは一切言わない。「このままギリギリ
まで勉強しないのではないか」と不安に感
じることもあるが、そこは我慢である。
自分で「ヤバイかも」と捉えて、自分で行
動し始めたり、自分で「教えて欲しい」と
言い出すまで待つといったイメージだ。

親としてできることは、②の「本人の思い
を聴く」ということが中心になると思って
いる。それも「勉強法やおすすめの高校」
などのアドバイスは一切伝えない。「娘と
して、高校についてはどう考えているか?」
ということだけを定期的に聴くようにして
いる。最初は「わからない」ということだ
けでもいい。ペースは1ヶ月に1回程度話
をする。そのうちに自分で受験について考
え始めることを待つ。イメージとしては、
娘の高校受験に対する考えを整理すること、
気持ちを育てることを手伝うといった感じ
だ。

③は、本人の気持ちを育てるための刺激材
料を用意するといったイメージだ。学校見
学の機会や、他の子供達が受験勉強をして
いる姿(塾の様子)などを映像で見たり
する機会を自然に作るのが、親としてでき
ることである。もちろん、強制的に見せる
のではなく、あくまでも自然に。

④は、本人の気持ちが少しずつ整理できた
ら、その思いを他の誰かに伝えて、思いを
深めていく機会を作るということだ。自然
にできていくと思うが、例えば学校の個人
懇談で自分の思いを先生に自分の言葉で伝
えたり、友達や親戚に思いを話したり、ま
た周りからの反応を受け取りながら、思い
や考えを深めていけるように、「宣言する
場」を作るイメージだ。

その4つの相乗効果で、ジブンゴトとして
考えていけるようになるのではないかと思
っている。

気持ちが育ってないところに、自分ではな
い他人が用意したことを上乗せしてしまう
と、いずれどこかのタイミングで崩れてし
まう。

まず、「自分で考えて、行動する」という
土台を作るための、思いや考えを育てるこ
とが、優先的にしないといけないことだと
今は思っている。

ジブンゴトにする。

病気になってからしか、暴飲暴食や酒・タ
バコをやめない人がほとんどであるように、
ジブンゴトにするということは、人間にと
ってはとても難しいことである。


「なんかわからんけど、やってみたいねん」。
はジブンゴトになっている。

だからそんな時は、

「自分が思うようにやってみたらいいよ!」
と言ってあげてほしい。

行動してから、思いや考えが深まることも
多いのだから。

例えば、お子さんが自分で「留学したい!」と
言ってきたり、決断した時は、

お子さんを褒めると同時に、

「ジブンゴト」として、生きる力がついている
と、親の教育の成功を感じてほしい。

親自身を褒めてあげてほしい。

離れる寂しさもあるが、

親として、

「ジブンゴトにできる能力」という、

人間にとって、

生きるための最高の力を、

子供にプレゼントしてあげられている
のだから。

胸を張っていい。


私は今、

「ジブンゴト教育」が、

ジブンゴトとなっている。




そんな胸を張れる日を夢見ながらも、

「娘が嫁に行く日」を考えると、

膝から崩れ落ちてしまいそうな、

不完全な教育者の私であった。


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