私の職場は、食堂だ。

高層ビルの最上階にある。

その窓からの眺めは、ハッとするほど素晴らしい、とよく言われる。

でも私は、未だにその眺めの何がすごいのかよく分かっていない。

地平線の先まで（とは言い過ぎでも）、どこまでもどこまでも、続くビルや街の風景が見下ろせる。

職場の入っているビルは今のところ、他のビルよりも一番高層なので、どこかのビルに遮られて、風景が途切れるということはない。

県を超えて、冬になると雪を被った遠い遠い山並みが見えたりもする。

でも、基本的に見えるのは、ビル。人間の作った構造物。これこそ都会の風景。。。

山の中の田舎で育った私は、四方が山に囲まれていない風景にまだ慣れない。季節ごとに変わる山の色の発見や、木々の匂いの変化もない風景がどうすごいのか分からない。

無機質なビルの建ち並ぶ風景。こんなにたくさんのビルがあっても、いつもどこかが建設中で、クレーン車が立っている。それもひとつやふたつではなくて、ざっと数えても、常に20は簡単に見つかる。

通勤路に、職場の入っているビルより高層のビルが建設中で、むくむくと見る度に、大きく高く育っている。

どこかが常に工事中。どこかが常に建設中という状態が、普通というか、都会の風景なのだとしたら、これが都会的「有機的な風景」というのかもしれない。

私が職場にいるのは、昼間だけなので、夜に来るとまた違って見えると思う。都会の夜景というのが見えるはず。

何にも遮られることのない、遠くまで見通せる風景を美しい、すごいというのなら、確かにその通りだと思う。

桜の美しさをことさら誉めそやす都会の人を見ていると、春の山の方が優しい色をしていて綺麗なんだよとか、知ったかぶって言いたくなる。そんなことを言いたくなるけど、山のことは知っているようで、何も知らない。

私を含め、自分の知ってるもの、価値観でしか、美しさへの関心も動かないんだなと思う。

なんか、常識とか、固定観念とか、知識とか超越したすごさとかを信じてみたいんだけどな。

【今日の英作文】
「誤解しないでほしいけど、SCANDALが好きと言っても、ゴシップが好きなわけじゃない。SCANDALは日本のガールズバンド。言葉遊び。真剣に考えなくてOK。」

"Please don't take it the wrong way. I say that I like SCANDAL, but it doesn't mean I like gossip. SCANDAL is a Japanese girl's band. It's just a word play. Don't take it seriously.''

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