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誰も悪くないのに

私は高校生の時に、親知らずを一気に4本まとめて抜くという、手術を受けたことがある(親知らずを抜くことは手術になるらしい)。

歯は歯茎を切開して、砕いて取り出した。

術後、もぐもぐしているリスのように顔が倍以上に腫れ上がる、結構な手術だったため、数日入院した記憶がある。

その時の入院した病棟が、なんと小児科病棟だった。

病院が改装工事中だったらしい。

高校生で、歯科の患者の私が小児科の病棟。かなり場違い。

泣き叫ぶお子さんや、お子さんの具合が悪い親御さんが右往左往するような、常に落ち着かない病室だった。

そんな私の隣のベッドにいたのが、精神疾患のある女性患者さんだった。

「見張られている」「エレベーターにも、病室にも、監視カメラと盗聴器がしかけてある」と言う。

そして、常に何かをブツブツ呟いていた。

看護師さんに、薬や睡眠薬の確認を会う度にする。

看護師さんもウンザリ気味で、誰も相手にしない。

看護師さんに相手にされないとなると、お見舞いに来た別の患者さんの家族に、誰かれ構わず話しかける。手術の影響で話がまともにできない私は除いて、見舞いに来た私の母も対象になった。

真夜中ふと目を覚ますと、その女性の独り言パーティが始まっていて、いつまでも寝てくれないお子さんの寝かしつけに苦労していた親御さんが、ついにぶちギレる事件も発生。

親御さんのぶちギレの結果、女性は困惑して泣き出す。お子さんもびっくりして泣き出す。寝かしつけ失敗連鎖。その中の一人の親御さんは、たまりかねてナースコール。

私は顎というか顔というかが痛くて、喋ることも、刻み食を食べることも、寝ることも、ろくにできない状態だった。

カオスな病室で、誰のというわけでもなく泣き声が傷に響いて、痛くて目が覚め、私もさらに眠れない。

今思うこと。

全員が気の毒だということ。

病院側が、病棟の配置というか、患者さんの配置を完璧に間違えている。

誰も悪くないし、誰もが辛い。

みんなが辛いだけ。正直地獄だ。

女性のような、昼夜逆転しているようなタイプの人は、お子さんの寝かしつけに困る親さんにしたら、非常識な患者さんにすぎない。でも、昼夜逆転の患者さんなんて、珍しくない。

逆に、精神疾患がある方にとって、お子さんが突然泣き出したり、親御さんが右往左往、看護師さんが入れ代わり立ち代わり、せわしない雰囲気の病室にいるのは、落ち着かなくて、辛いものだ。

小児科病棟の忙しい看護師さんが、精神疾患のある患者さんの話相手に、手が回らないのも無理ないし。

病院に入院すること自体は、子供の頃から、毎年のように胃腸風邪やなんやで短期入院していた私にとって、そんなに珍しいことじゃなかったけど、あの親知らずを抜いた時の入院は忘れられんなあと、思い出す。

あれは、確か春のこと。

病院の桜が綺麗で、記憶に残っている。

誰も悪くないのに、誰もがお互いのせいだと思っている。

あの患者さんたちどうしたかなぁ。。。

【今日の英作文】
私の故郷は都会から遠く離れています。
My hometown is far away from town.

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