岸田の内閣改造報道

……を見ていて、橋本治の「ああでもなくこうでもなく」を思い出した。それは「日本の政治が混迷している原因は何か」というお馴染みの問題で、江戸幕府は三百年という長期に渡った政権だったが、その間に武士は官僚化していった。その幕府を継いだ維新政府は武士に代わる官僚を育成するため、明治十年に東京大学をつくった。つまり日本の近代政治は東大出身者による「官僚の政治」から始まり、明治二十二年に発布された明治憲法を受けて「天皇の官僚」として確立した。その後、対米戦争に敗れて「天皇の官僚」というアイデンティティこそ失われたが、選挙を介して行われる政治とは別のかたちで官僚が行政を仕切るという本質は続いている。この実態をちゃんと理解することから始めないと、迷走を何とかしなくちゃと思っても何も変わらないし、変えられないよと橋本治は言うのだ。なるほど。納得である。では日本の政治家とはいったい何者なのか、というと平安時代の貴族みたいなもので、人事争いに明け暮れることが仕事なのだ、と橋本は言う。なるほど、なるほど、大いに納得である。

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