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ロシアのウクライナ侵略で、もはや「国際情勢マニア」の知識は無意味となった

先日、妻に「プーチンは本当に核を使うのかな」という質問をされ、長い時間考え込んでしまった。以前の僕なら間違いなく「あり得ない」と言っていたところだが、今はもう何が起こるかわからない。

ここ数年の予期不可能な国際情勢の中、ぼくらのような少し変わった「マニア」の知識がほとんど無意味になったと感じた瞬間だった。

「国際情勢マニア」とは

スポーツや音楽、車などなど、いろいろなマニアがいる中で、ちょっとインテリぶることができるのが、一般の人より国際情勢に詳しい「国際情勢マニア」だと思う。

別に大した知識があるわけではないのだけど、昔からゴルゴ13とかニューズウィーク、CNN(日本語版)、JBPressといった、一般のテレビ、新聞以外の情報をよく見ていて「普通の人よりちょっと国際政治などに詳しい」位置にいる人たちである。

かくいうぼくもその一人であることを自認していて、たまに見た国際ニュースで奥さんから質問を受けると、ここぞとばかりにいつも張り切って説明をして「詳しいね」という言葉を報酬として得ていた。

しかし、残念ながら「国際情勢マニア」の知識はもうあてにならなくなってしまった。

知識が覆された3つの出来事

はじまりは、イギリスのEU離脱だった。大袈裟に報じられるワイドショーのニュースを見ながら、マニアたちは意気揚々と「とは言っても、離脱はあり得ない」と自分達がそれまでに持っていた知識から判断していた。マニアの知る「国際情勢の常識」では、それが間違いなかったし、マニアが頼りにしている識者たちの見解もそうであった。

しかし、イギリス国民は、EU離脱を選択してしまった。

そして、次はトランプ大統領の勝利。これもテレビでは大騒ぎされているが「そんなことあり得ない」と強気に発言をしていたものである。しかし、トランプ大統領は誕生した。

これについては、本物の外交官の巣窟である日本の外務省ですら予期できていなかった訳なのだが、何にしてもマニアの予測は全く外れてしまった。

最後に、ダメ押しをしたのは、もちろんロシアのウクライナ侵略だ。

白線のなくなった競技場

ぼくらの認識では「世界情勢というものは読めないものなのだけど、それでも、そのフィールド(競技場)には白線が弾かれていて、その範囲の中で物事は揺れ動くようになっている」はずだった。

もちろん、その範囲を超えることはある。でも、それは偶発的な出来事であったり、それが重なったりしたりする場合のみであって、誰かが、またはどこかの国が、意図的にその範囲を超える行動をとることは、ほとんど想定されていなかったのだ。

国際情勢マニアは、まさにその揺れ動く範囲を、他の人よりも正確に把握していて、だからこそ、他の人よりも少し詳しい分析ができていたのである。

でも、今となってはそれも叶わない。

もはや、一体どこに白線が引かれているのか、誰にも分からない状態になってしまった。

中途半端な知識は不要に

こうなると、このような中途半端な知識をつけたマニアよりも、詳しくない素人のほうが、情報を正確にに分析できているのかもしれない。

実際、ぼくの妻はずっと、「プーチンは絶対に戦争を始める」と言い続けていた。

もちろん特に根拠はない。でも、テレビや新聞で見聞きする彼の表情や、状況から間違いないと判断したのだ。でも、結果としてその予想は当たってしまった。

だから「プーチンが核を使うかどうか」なんて、もはや誰にも分からない。

今、間違いなく言えるのは「絶対に使わせてはならない」ということだけだろう。

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