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鐘のある建物の夢《Dream Diery 22》


xxxx年05月16日(x)


 私と大学の同窓生だったU氏と、もう一人誰か不明の人物の三人が、一緒に何処かへ帰る途中だった。両側に人家が並ぶ幅の狭い街道を歩いていると、ポツポツと雨が降り始めた。三人は雨を避けて近くの建物に入った。そこはお寺の庫裏のようながらんどうの建物で、屋内に鐘撞き堂があり、四本の柱の中央に大きな鐘がぶら下がっていた。他にはブランコがあり、木製の座板が三つ鎖でぶら下がっていた。端っこの一つは壊れていて乗れないようだ。中央のブランコがまるで誰かが漕いでいるように、ギーコ、ギーコと音を立てて揺れている。「誰も乗っていないのにおかしいな」。私が呟くと、「いや、アダチが乗っているんだ」とU氏が言った。不明の人物はアダチという名前らしい。私は何食わぬ顔をして、「なんだアダチか」と返事をしたが、私はこれまでの人生で、アダチという人物と知り合った記憶はない。誰なんだろう。すると揺れていたブランコが止まり、今度は鐘を突く撞木しゅもくが前後にゆっくりと動き始めた。アダチが撞木の綱を掴んで揺らしているらしい。なんで姿が見えないんだ? アダチって誰だよ。撞木の揺れ幅がだんだん大きくなり、私の疑問も大きくなるばかりだった。遂に揺れ幅が最大に達し、撞木は勢いよく鐘にぶつかって行った。ゴワァァア~~~ン!!! 脳天をぶっ叩かれたような大音響に、私は一瞬気を失った。気が付いたら、周りが17世紀イタリアの謎の画家、モンス・デジデリオの描く『崩壊する教会』に変わっていた。古代ギリシア建築風の太い石柱が私の方に崩れ落ちて来る。これらの石柱はドーリア式だろうか? イオニア式だろうか? それともコリント式? 世界史で習ったな。美術史だったかな? それにしてもアダチって誰だよ。 
 



Artwork by Desiderio._Monsù〈Explosão_de_una_Catedral〉



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