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海産魚幻想


注文を済ませ、スマホでTwitterを見ていたらイリコラーメンが来た。海苔の上のイリコの粉末を、箸で四方に分散させる。香ばしい匂い。美味しくいただきながら、ふとデベララーメンのことを思い出す。デベラのダシはエグい味だった。正式名称はタマガンゾウビラメ。いかにも只者ではなさそうだ。それはそうと、久し振りにオコゼのから揚げが食べたいな。今時なかなかの高級料理らしい。オコゼじゃないけどカレイのから揚げなら、イオンの売り場で一尾百数十円だったけどな。                        

すると、デベラことタマガンゾウビラメが、浅海の砂泥から引用tweetしてきた。
「カレイとヒラメは同じようなもんだ!」
「いや私はオ・コ・ゼ、子どもの頃、隣りのイサオ君が岩場で刺されて痛い痛いと泣いていた、あのオコゼのから揚げが食べたいと、さっきtweetしたんだけど?」
と私が引用tweetすると、デベラことタマガンゾウビラメは
「あ、間違えた!」とtweetした直後に
「ああ炎上するどうしよう」とtweet、続けて
「このtweetヤベッ!」とtweet、すぐまた
「あ、ぼくまたtweetした!」とtweet、直後に
「またぁ!」とtweetし、続けて
「ぼくもうtweetするな!」続けて
「分かったかぁ!」
とtweetしたところで意識朦朧状態に陥り、恐怖に襲われたダチョウみたく、浅海の砂泥に頭を突っ込んで失神した。                

やがて蘇生したデベラことタマガンゾウビラメは、自分のtweetを全て削除すると、恥ずかしいから名前とユーザーIDを変更しようかどうしようかしばらく悩んだ挙句、浅海の砂泥のアカウントごと停止(一か月後自動的に削除)して、岩場の窪みの奥に引っ込んだ。そこにはネット通販から逃れて来た先住民の刺身用ゆでメメクラゲがいて、おまえ百までワシゃ九十九まで、二匹は生涯添い遂げたという。


つげ義春『ねじ式』より
オコゼの唐揚げ


*ヘッダー画像はタマガンゾウビラメの干物=デベラ(又はデビラ)。
*『ねじ式』とメメクラゲに捧ぐ🎉🐟w。               




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