『下は何になるとね?』

先日に引き続き、曾祖母から言われた印象的な言葉を。









『下は、何になるとね?
お父さんと同じ先生ね?』






自分の将来というものをちゃんと真剣に考えたのは多分これが初めてだったと思う。






この曾祖母の言葉がなければ、今頃地元で父と同じ教師か、祖父と同じ市役所の職員にでもなっていただろう。


ボンヤリと親の言うままに地元の公立高校に入学して、親戚から進められるままに、地元のミッション系の私立の女子大に入って(ちなみに、高校に入るときも附属校を散々勧められた)【(田舎の)良家のお嬢様】という箔をもらって。親の後を追って公務員になって、親戚が持ってきた"何か良い感じ"の家柄の地元の人と結婚して。
持て余した土地の一部をもらって家を建てて、子どもを産んで。きっと、地元を出ようなんて思わなかったと思う。






だから、曾祖母の言葉にハッとした。
自分の将来の夢なんて、幼稚園のお絵かきじゃないなりたいものなんて、私は考えたことがなかった。





たぶん、考える必要もないと思っていた。


たぶん、何かしらの夢は浮かんだ。
けれども、自分は橋乃家に生まれたのだから、他の親戚と同じく地元で就職し、一生を終えるのだと思っていた。








そして、初めて『教師じゃない』とはっきり自覚した。
父を尊敬しているけれど、どうして大人になってまで学校に(教師として)通わなければならないのかと思った。





『下は何になるとね?』




ひいおばあちゃん。
下は都会で会社員をしています。

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