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ヴァージナルの前で座る少女/ヨハネスフェルメール(Girl just seated at a virginal)

ヴァージナルの前で座る少女/ヨハネスフェルメール(Girl just seated at a virginal)

 17世紀のオランダでは富裕層の間で音楽のある生活がステータスとされ、合奏することで男女が親密になる等の男女の愛と結び付けられるテーマとして描かれることが多くありました。
 フェルメールもヴァージナル、ヴィオラダガンバ、リュートなどの楽器が共に描かれました。しかし、フェルメールの絵画の中においてはすべては静寂に包まれており、楽器にしても音が聞こえてくるようなモチーフとしては描かれていませんでした。それは『合奏』『レッスンの中断』『ヴァージナルの前に立つ女』など全てにおいて共通の特徴です。
 本作品においては少女がヴァージナルの前にただ座っているだけで、特に蓋もあけられておらず演奏する状態になっていません。
音楽が恋愛のモチーフとなるのであれば、そこに一歩踏み出せない少女の心情を投影しているとも考えられます。そもそもヴァージナル自体が『処女性』を暗示させる楽器でもあるのです。
 手前にある葡萄は宗教性を示すもので、さらに『規律や道徳』を表現した作品であることが強調されています。
未公開作品。制作年不明。所蔵元非公開。


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