'働き方改革’クソくらえだ

昨秋、某所において市民にむけて開催されたワーキングエージェントによる’働き方改革’講演会に参加してきた。もうだいぶ時間がたったので、白状する。カタカナの肩書からするにもう何者だかよくわからないが、地方自治体のお墨付きがついているらしい。いまの権力者層、御上が唱え、下し与えたものが労働者層に資するとはさらさら思っていない。私はアンチだ。経営者層の美辞麗句に騙されてなるものかとばかりに、乗り込んだ。

では、実際の講演会のくだりを、かいつまんでご紹介する。繰り返すが私はこれに賛同しているわけではない。

1980年代は「24時間戦えまーすか♪」と戦う企業戦士の時代。女性の多くは専業主婦。男性は働けば出世もポストも保証されていた時代。それがバブル崩壊により一変する。リストラ、成果主義が導入され、世帯収入の減少により共働き世帯が増えた。女性の社会進出を受けて1997年均等法が制定されるが、日本の女性活躍を推進するワークライフバランスの概念は失敗に終わる。結果、少子化や介護離職をもたらした。…そこで新時代のマネジメントスタイルがもとめられることとなった。

T建設では介護休業を取得する男性の数が、育児休業を取得する女性の数を上回る。Uニクロでは週休3日制の選択肢もある。Sブンイレブンの営業売り上げは4兆円を越え、社員は9連休を年に2回取得できる。1人1人がプロとして限られた時間の中でパフォーマンスを発揮していった成功例として挙げられた。

いや、待てと。何か忘れてないか?

T建設の下請け企業、孫請け企業の労働者は?Uニクロの縫製をしているアジア諸国の縫子さんが厳しいノルマで村を逃げ出してる現状は?国内コンビニフランチャイズオーナーが過労死寸前なのは?

誰かの涙や悲しみの上に成り立つシアワセは嘘っぱちだ。

質疑応答のときに私はおもむろに最後の1人として手を挙げた。そして、言いたかった一言を何も知らないふりして言ってやった。

「わたしの勘違いかもしれませんけれど…これって…’働かせ方改革’の間違いじゃないですか?」これみよがしに饒舌だったワーキングエージェントが凍り付いたのは言うまでもない。






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