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明石、ごちそうさま

昨日、取材で明石の町を歩いた。
10歳まで住んでいた幼なじみの町だ。

明石は子午線(東経135度)が通る、日本標準時の町。
東西に長い日本は北海道と沖縄で1時間以上の時差があり、鉄道も明治中頃まで各地の時刻で運行されていた。
しかし、それらが繋がると不都合が生じ、子午線の時刻に全国が合わせることになった。

子午線は、南北12市を貫く。

子午線(東経135度)の通る12市(©明石市立天文科学館)

明治43年、明石が最初に標識を建てたことから「子午線の町」「日本標準時の町」といわれるようになった。

大日本中央標準時子午線通過地識標(明治43年建立)

子午線上の人丸山に建てられた天文科学館は明石のシンボル。
国内最古の東独製プラネタリウムが今も現役で活躍中だ。

明石市立天文科学館

人丸山からの眺めは、淡路を望んで美しい。
山陽電車・人丸前駅の、ホームや高架橋に白く引かれた子午線が見える。

人丸前駅の子午線ライン(右から2両目、右寄り扉付近)と淡路島

天文科学館の裏には、飛鳥時代の歌人・柿本人麻呂を祀る柿本神社(人丸神社)があり、一帯が人丸と呼ばれるようになった。

柿本神社

境内には江戸時代より続く茶店〈梶本茶店〉が佇む。

梶本茶店

「人丸山名物・あまざけ」の看板に誘われた。
店で話を聞くと、昔は何軒も茶店が並んでいたそうだが、今ではここだけになってしまったのだとか。
桜の名所なので、その頃また来てみてくださいと。
暑い日だったが、温かい甘酒がやさしく沁む。

甘酒とおかき

子午線上の郵便局は〈明石子午線郵便局〉。
駐車場や店内には子午線に沿ってラインが引かれる徹底ぶり。
風景印をお願いしたら、これももちろん子午線。

明石子午線郵便局の風景印と天文科学館遠望

町の中心へ。
明石の台所・魚の棚(うおんたな)はいつもながらの活気。

魚の棚

明石に来たなら、玉子焼(明石焼)を食べなくては。
いつも行く店ではなく、明石随一との呼び声高い〈ふなまち〉へ初めて行ってみた。
開店直後なのに外には12人が並び、1時間待ち。

玉子焼〈ふなまち〉
みごとな箸さばきで一気に焼き上げていく
1人前20個・700円

たこ焼きに似るが、ダシにつけて食べる、まったくの別物。
というか、この玉子焼がたこ焼きの原型になったとも。

コリコリのタコを、フワフワトロトロの卵生地が包む。
あぁ、昼からビールが進む。
明石、ごちそうさま。

(2022/9/29記)

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