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イカの生命力の強さに感嘆する

「今晩、何食べたい?」
お腹に聞いてみた。

「イカ」
「え、最近食べんかったっけ?」
「イカがいい」

イカの一点張りだ。
イカ業者と密約を交わしているのだろうか。
しょうがない、イカにするか。

近所のスーパーからスルメイカを連れて帰った。
旬は剣先イカだが、僕はスルメイカを選ぶことが多い。
ワタ(内臓)が大きいからだ。
ワタを利用しようと思うと、スルメイカ一択となる。
ワタは焼いてもうまいし、塩辛を自作するには欠かせない部位だ。

しばらく和食が続いたから、久々にパスタにしよう。

ゲソとタマネギをワタでソテーして、あらかじめ作っておいたトマトソース、ワイン、イカスミを加えて煮詰める。
小さく切ったイカの身をさっと和え、パスタと合わせてできあがり。

1杯分のイカスミでは、わずかに黒っぽい大人色にするので精一杯だが、風味の点では入れると入れないでは大違い。
仕上げにフレッシュトマトを載せた。

サラダは木綿豆腐とアボカドで。
時短レシピにあったオリーブ油+ポン酢+めんつゆ+ゆず胡椒のドレッシングがさっぱりとうまい。

***

イカをさばくときに注意が二つある。

アニサキス
サバやサーモンにつく寄生虫として知られるが、イカにも必ずといっていいほどついている。
火を通せば死滅するからそれほど気にすることもないが、それでもあの渦巻き虫を積極的に食べたくはないから、目視で取り除く。
生で食べるなら徹底的に取り除いたうえ、数日冷凍したほうがいい。

精莢(せいきょう)
精子が入った数ミリのカプセルで、1杯の雄イカに何本も備わっている。
そしてこれ、イカ本体が死んで数時間経っても生きていて不気味。
一定の刺激で勢いよく精子を射出するから、知らずに食べた人の舌に刺さる事故が多発し、手術で切開しないと取れないというから恐ろしい。
昨日のイカも、ワタの奥に何本もの精莢を確認し、触れて指に突き刺さるのも嫌だからビクビクしながら取り除いた。
そういえば函館のイカ専門店で、刺身として頭(胴)を切り落とされたイカが、ゲソと目だけの状態で皿から脱走したことを思い出した。
あらためてイカの生命力の強さに感嘆する。

いずれも勇気ある人は動画を探して見てみるとよく分かる。
以前はよくイカをさばいて刺身として食べていたが、この二つの存在がなかなかに大きく立ちはだかる。

***

「イカうまい。またイカお願い」とお腹が満足そう。
どんだけ好きやねん。

(2022/11/4記)

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