そういえば僕にはメロンアレルギーがある。
メロンというかスイカも含んで瓜アレルギーといっていい。
食べると喉が痒くなる程度だから、今のところ誤って食べてしまっても命に別状はないが、なるべくなら食べないに越したことはない。

入院すると必ず訊かれるので、まずこれを申告することになる。
メロンアレルギーの人は、メロンと似た形状のタンパク質を持つラテックス（天然ゴム）にもアレルギー反応を示す人が多いという。
医療現場ではゴム手袋はマストアイテムだから、病院としても最善を尽くすためにまず訊いておく必要があるようだ。
メロンアレルギーの人には、合成ゴムの手袋（ニトリルグローブ）を使うことになるらしい。
昨年、明石の病院に入院したときにそんなことを知った。

もちろん今回の入院でも、病室に着くなりアレルギーの確認があった。
「（へんいち）さん、アレルギーはありますか？」
「そうですね、メロンと蕎麦、花粉ですかね」
「あ、うち、メロン出ませんから大丈夫ですよ（ニコッ）」

そ、そっち…？
なんだか逆に、退院の朝にお祝いでメロン出ますよね？と言ってしまったかのような気まずさが病室に漂う。
「あ、あぁ、それならよかった…」
あいかわらず看護師はニコニコしたままだが、ちゃんと天然ゴムも除外してくれたと信じたい。

9日間、食事といっしょに運ばれてくる献立シートには、毎回赤い太字で「蕎麦禁止」の文字が。
蕎麦を混入させない固い決意が伝わってくると同時に、「メロン禁止」と書かれていないのがまた、いくら期待されてもうちは絶対メロン出ませんからね、という圧を感じる。
はいはい、分かりましたよ。

そしてようやく迎えた退院の朝。

出た！　マンゴー！
これ、メロンより痒くなるんですけど。

（2023/4/8記）