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会社を使いたおせ

現代の会社員としての働きかたについて、まりこさんからのアドバイスは「会社を使いたおせ」でした。

※この連載は、ボクが新卒でお世話になった「吉原 アスマラ まりこ 元社長」との回顧録です。
まりこさんは、ボクの「もう1人のお母さん」です。社会人としてのボクを育ててくれました。まりこさんは、インドネシア人とのハーフで、インドネシア在住。外資系転職に強いJACグループのインドネシア支社、JACリクルートメント インドネシアを設立。今はエンジェル投資家として、インドネシアと日本をつなぐ事業を展開中のバリキャリです。まりこさんから学んだ「教え」を記事に書いています。

※noteのマガジンにまとめていきます。


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まりこさんの教え 【会社を使いたおせ】
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大学を卒業して、社会人になるということが分からないまま、まりこさんの秘書になりました。

すると、ボクの会社での行動基準は「まりこさんのためになるか否か」になりました。

いや、正確には「まりこさんに褒められることか否か」でした。まりこさんに褒められそうなことならやる。

上司に褒められるか否かも一つの行動基準として良いかもしれませんが、なにが褒められるのかはしっかり考えないといけませんでした。つまり、上司が何を求めているか。

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まりこさんの秘書としてボクは、スケジュール管理や資料づくりのような、社内での作業を中心にやっていました。

でも、まりこさんは、秘書的な業務よりも、営業マンのような仕事ぶりを求めていました。まりこさんの手が回っていない先への営業です。

とすると、ボクのベクトルは、間違っていたことになります。

僕のベクトルは、まりこさんに向いていたけど、まりこさんとしては違う方向に向けて欲しかった。

ある日、一向に改善されないことを見かねてなのか今回の教えである「会社を使いたおせ」というアドバイスがありました。

いわく、

「一番優先すべきは、あなたが何をやりたいか。そのために会社を使いなさい。使いたおしなさい」

ベクトルがまりこさんにばかり向いていたボクに対して、お客さんに向けろと言うのではなく、
一周まわって、自分に向けろと言う。パラダイムシフトすぎて、当時は意味が全くわかりませんでした。

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会社は「船」に例えられることがあります。

社長が船長で、行き先を決める。社員は、船長の示す方向に向かって船を進めていく。

(現代の鉄製の大きな船ではなくて、マンガ『ワンピース』などの航海時代の船を思い浮かべてもらった方が、この先、読みやすいかもしれません。)

終身雇用が当たり前だったころ、
社員は、方向には口を挟まず(疑問にすら思わず?)、せっせと船を進めていたんだと思います。しかも、船を降りたら、海のド真ん中です。降りたら死んじゃうから、降りずに。これは、転職が一般的ではなかったことを例えています。

けど、今の時代、船を降りられるようになりました。海が浅くなったのか、島が増えたのか、とにかく、けっこう簡単に降りられるようになりました。

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まりこさんの言う「会社を使いたおせ」というのは、
「自分も船長として、船を持て」ということだと解釈しています。

まず、自分自身も船長だと思って、自分の行き先を、自分で決める。

仮に、日本からアメリカに行きたいとします。
でも、今はまだ自分1人で太平洋横断が難しいとするなら、アメリカ行きの大きな船に同乗してしまう。そして、船に乗りながら自分の小舟を作っておく。

乗っている船を壊してまで部品を奪って、自分の小舟を作るとなると、倫理的にどうかと思うので、船が立ち寄った先々で、色んな材料を買い集め、小舟を作るという感じにしときましょう。

つまり、今の会社で使える資源をフル活用して、自分の将来のための準備を進めておくことが必要だとまりこさんは言います。

今の会社だからこそ、会いやすい人、アクセスしやすい情報、使える大きなお金といったものがあるはずで、それらを最大限に利用しておきなさい、と。

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「会社を使いたおせ」を実行するために、一つ具体的なヒントももらっています。

【今の会社のお客さんを、自分のファンにしよう】

今の会社でのお客さんを、自分自身のファンにするつもりで、がんばりなさいということです。

会社を辞めて同業種の他社に移る時、もしくは、自分で同業種の独立をする時に、会社のお客さんを奪っていけ、という意味ではないです。
会社での仕事中に知り合ったお客さんと、将来なにかで助けてもらえるくらい仲良くなりなさい、という意味です。

お客さんと仲良くなるだけでなく、さらに、ファンになってもらうために、最高のパフォーマンスを発揮しまくる。

そうすれば、お客さんは喜んでくれるはずです。自然と人脈が広がります。きっと、売上という形で会社へも貢献できるようになります。そして、自分のスキルもあがるでしょう。昇給するかもしれません。

お客さんにとっても、会社にとっても、自分にとっても、いいことづくしです。

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この状態であれば、もし船の方向がなんか違うなと思ったとき、海の真ん中で降りちゃうことも可能です。

乗り込む前はアメリカ行きって言ってたけど、アメリカ大陸じゃなくて、ハワイに向かってるんかーいって気づいたら、降りちゃえばいい。

人脈もあって、スキルもあって、お金も最低限あるなら、大海原でも少しは沈まずにいられるでしょう。

降りた後は、また大きな船に乗りこむ(転職)もよし、
1人、小舟でそのまま行く(フリーランス)もよし、自分の小舟を大きくしながら行く(会社設立)もよし。

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全員に会社をやめることを勧めているわけではないです。会社と同じ方向を向いているなら、そのまま会社にいればいいと思います。

そもそも、いただくものを頂いているのであれば、少しくらい方向が違ってもすり合わせることも大切です。

だから、ファンや人脈というのも、気軽に相談できる専門家の知り合い、という形が一番自然な定義かもしれません。

病気のとき気軽に相談できるお医者さん
引っ越したいとき気軽に相談できる賃貸紹介の人
転職したいときに気軽に相談できる人材紹介の人
パソコンで困ったときに気軽に相談できるエンジニア
結婚式の動画づくりを気軽に相談できるカメラマン、などなど

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ただ、自分の行きたい方向が、突然 明確に見えてしまったときに
船を降りるという決断がしやすいように、準備しておくことも同じように大切だと思います。

終身雇用が当たり前だった時代に比べると、とっても自由な時代になったと思います。
一方で、今の時代、自分の小舟もなく、しかも、行き先を決められないとなると、途端に迷子になってしまうように思います。

例えば、最初はアメリカの方向に向かっていたのに、なんとなーく、船での人間関係がうまくいかず降りたとします。降りて、通りかかった船に運良く乗せてもらえたとしても、この船は、フィリピンの方向に向かっている。なんか違うな。また降りて、また乗りこんだ船は、アラスカ方面へ…。

そうやって決めずに行くのも、もちろん、一つの人生だけど、当初の目的地であるアメリカにたどり着くのは難しいかもしれません。

もし何者かになりたいとするなら、一つ、ど真ん中の行き先を見つけて、
そこに向けて、いろんな船を乗り継いでいくのが早いんじゃないのか。

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だから、やっぱり「会社を使いたおせ」というからには「何のために」という対象が必要です。

つまり、目指すべき場所。行き先でも、夢でも、目標でも、ご自身の好き言葉でいいと思うけど、すすむ方向を定める。

できれば、北極星のように、どうあがいても到達するのが難しいような、はるか遠くの目的地があると、なお良いように思います。

北極星が簡単に見つからないなら、

アメリカ大陸のような、まだ行き方はわからないけど、がんばれば到達できるような目的地。

それも難しいなら、

すこし先に霞んで見える大きな島のように、ちょっと遠いけど、行き方が分かる目的地。

どこを目指すにしても、目先の小さな島をたくさんたどりながら
少しずつ少しずつ目的地に向かっていくことが大切そうです。

■■教訓(ポイント)■■

一番大切にすべきは、会社や上司ではなく

何をしたいか?という自分の目標。

自分の目標や将来の自分のためになる行動のうち

会社や上司にも貢献できる行動を選び、実行することで会社へ貢献しよう

■■以上■■

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