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書評(ネタバレあり)

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読んでみて印象に残った本の書評をぼちぼち書いていこうと思う。基本的には純文学やSF中心。新しいもの、古いものごちゃ混ぜ。多少のネタバレあります。 ★★★★あれこれ言わない。とにか… もっと読む
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記事一覧

死んでいない者/滝口悠生★★★

 葬式に集まる親族たち各々の人生の、切り取られたエピソードが淡々と並べられていく一種の群…

轍五右衛門
9か月前
3

無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記/山本文緒 ★★★

「2021年4月、私は突然膵臓癌と診断され、そのとき既にステージは4bだった。治療法はなく、抗…

2

えれほん/うめざわしゅん★★★

例によって、同僚から借りて読んだ。 奇妙なタイトルは19世紀後半イギリスの詩人、小説家サミ…

2

ユートピアズ/うめざわしゅん★★★

「ダーウィン事変」でこの人を知ったのだが、同僚がこの短編集を貸してくれたので読んでみた。…

1

テコンダー朴/白正男(作)山戸大輔(画)★★★

 キワモノ漫画好きな同僚Sくんが買ってきた漫画を借りて読んだ。人権派格闘技漫画、と銘打た…

2

同志少女よ、敵を撃て/逢坂冬馬 ★★★

 大概の大きな書店では、入り口近くにこの本がドカンと平積みにされているのがいっときやたら…

2

化物園/恒川光太郎 ★★★ 

 七つの短編から成る。  どの作品も、仄暗くてやや湿り気を帯びた、冷えた空気を纏っている。前半の四つは現実世界に軸足を置き、後半の三つはファンタジーと現実との境界が溶け合っている地点から語られている。  これらの七つの作品中、四つに「ケシヨウ」なる正体不明の化け物が出てくる。  もっとも現実的なのは、三番目の作品「十字路の蛇」だろう。これはなさそうでいて、ありそうな、哀しくて怖い話。この作品にケシヨウは出てこない。逆に、最後の「音楽の子どもたち」はもっともファンタジーに傾斜し

異常 アノマリー/エルヴェル・テリエ ★★★

 自分は何者か、どう生きてきて、これからどう生きていくことになるのか。そんなこと一々考え…

3

雪の階/奥泉光 ★★★★

「圧倒的な読書体験」などという大仰な形容詞は、安易に使うと、書評する側の底の浅さを露呈す…

6

残月記/小田雅久仁 ★★

 2つの短編「そして月がふりかえる」「月景石」と、表題作である中編から成る。  タイトル…

2

うみべの女の子/浅野いにお ★★★

 思春期に襲ってくる波のうち、どうにもならないのは性欲の波だろう。激しく、抗い難く、一つ…

3

テスカトリポカ/佐藤究 ★★★

 最近ネットで、メキシコのある地方都市で日本人のラーメン店主が強盗に殺害されたという記事…

5

昭和不老不死伝説バンパイア/近未来不老不死伝説バンパイア/徳弘正也 ★★★

 シリーズ全巻、職場の同僚から借りて読んだ。  これはギャグエロ漫画の皮を被りながら、宗…

9

四丁目の夕日/山野一 ★★

 帯のコピーの、心が傷つくように感動する、ってのは、食ったら吐きたくなるように美味い、と言い換えてもいいな。  ディープな昭和エログロ、狂気と渾沌の横溢する山野一の作品としては、まだまだ壊れてない方の作品だと思う。とはいえ、順風満帆な人生歩んでいると思う人は手に取らない方がいい、そういう類いの漫画だ。