見出し画像

サービス業とマニュアル接客

2006年10月26日 (木)

世の中の景気が良くなったといわれても、一小市民としてはあまり実感がわかないものですねぇ…。

私どものようなサービス業は、景気が悪くなれば一番初めに影響を受けて商売が傾き、景気が良くなる時には一番最後にならないとお金が回ってこない業界とされています。

そして景気が良くなっても悪くなっても、いつでも人手不足ときてますから、なんだか踏んだり蹴ったりのようですね…。

そんな中で「人を育てる」のは本当に難しいです。

人を育てるというのは、気の長い仕事、時間のかかることですね。

サービス業にはどうしてもそれが必要ですが、そこに投資する企業はとても少ないように思います。

この業界に「マニュアル教育」というものが出現したのは、その「時間」をかけなくてすむからという合理的な理由からですね。

十人十色、年齢も経験も性別も、すべて違う個々人を集めて、ある一定のレベルの接客を教えようとした時、時間の制約があるならば、マニュアルを使っての一元教育が何よりも効果的です。

最低限必要な接客方法とスキルのすべてを記号化し
「この場合ならAをする」
「この場合はBで」
「手順はCD→EFGで」
と明記すれば、とにもかくにも同じ動きができ、同じセリフはしゃべれるわけですし。

言い換えれば、
「店舗(カウンター)=舞台」または「スタジオ」であり、
「マニュアル=台本」
という位置づけになるでしょうか―。

そして「店員」という役を振られた各人は、本人の熱意のあるなしにかかわらず、同じセリフをしゃべらされ、動作を要求されるわけです。

それで一定ラインの「接客」が短期間に成立するのですから、そりゃあどこの企業も喜んで導入するはずですよね。

なぜなら、教育にかかる時間、そのための費用、そして対プロフェッショナルへの人件費が大幅に削減できますからー。

昨今、「マニュアル接客」が悪者になっている節もありますが、マニュアルを使っての接客教育、指導というのは、業界においてある意味画期的なことだったのですよ。

「マニュアルどおりの受け答えしかせず、心がこもっていない」
「イレギュラーな応対が出来ない」
「機械的で、やる気がなさそうに、仕方なくやっている」

マニュアル教育を実践している多くのショップ、チェーン店の方たちは、きっと上のようなご意見をたくさんいただくことでしょう。

しかし、一方で、
「いつ来ても感じがいい」
「この間、こんなことがあったとき、とても良くしてくれた」
などというありがたいお褒めの言葉をいただくこともあると思うのです。

となれば、悪いのはマニュアルではなく、マニュアルを演じる本人が大根だというだけのことであり、それを演出する上位スタッフの演出力が無い、ということなのでしょう。

サービス業、接客に終幕はありませんので、たとえマニュアルでも日々の努力が必要です。

そして出来ればマニュアルに頼り切ることなく血の通ったサービスをしたいものですが、そのためには会社に、少し気の長い教育をお願いしたいものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?