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目的に向かって導いてあげること #48 コーチング

近年の労働力不足は、人員的な不足と勤務時間の抑制が重なってより問題が大きくなっています。

その意味でも、顕在する個々の能力だけではなく、潜在する能力を引き出すための人材育成や人材開発も重要となってきます。

その手法は様々あります。

従来の日本の学校教育のスタイルは、教師のことをティーチャーと呼ぶことからもティーチングだと言われています。

ティーチングは、学校教育だけではなく、企業などの組織における人材育成の手法の一つとして一般的に使われて来ました。

その特徴は、「知っている人が知らない人に教える」と言うナレッジマネジメントです。
ナレッジとは、目的を果たす上で必要な蓄積した情報や実績を基にしたあらゆる知識です。

そもそも、如何に優れた素質を持った人でも、知識がなければ、何もできません。
そのため、経験のない人や浅い人に、知識を覚えさせるために繰り返し教え込むには優れている手法かと思います。

弊害としては、一方的な押し付け、あるいは押し込み教育とも揶揄されることからも、自分自身で考えて行動する思考が高まり難いとも言われています。
実際、このティーチングで教育を受けると、学生時代の試験などの定型化した問題を解くことには長けていても、社会人になってから経験のない突発的な問題への対応能力は養われ難いともいわれています。

対して、企業の育成の現場では、コーチングの重要性が高まっていると感じます。

コーチングのコーチの由来は馬車であり、 馬車が物や人を目的地へ運ぶ(導く)ことから、指導者を指してコーチと呼ばれるようになりました。
余談ですが、ファッションブランドのコーチ(COACH)のロゴにも、馬車が描かれています。

コーチングでは、必要以上に「教える」という行為はしません。

ポイントは対話です。

対話ですので、決してティーチングのような一方的なものではなく双方向なコミュニケーションとなります。

その手法の代表的なものが、フィードバックになろうかと思います。
答えをすべて授けてしまうのではなく、ヒント的な言葉を投げかけてあげるのです。
そこから、指導を受ける側から自発的に様々な考え方や行動の選択肢を引き出します。
そして、結果的に徐々に自分で問題解決能力を身に着けさせて行きます。
私は、フィードバックとは、動きが鈍くなった歯車に注油してあげる行為と表現しています。

しかしながら、人材育成においては、コーチングが正しくて、ティーチングが誤っていると捉えるべきではないと思います。

経験値の低い人は、メンタル的にネガティブになりがちです。
そのような状態の人にコーチングだけで結果を求めても無理があります。
この場合は、ティーチングで基本的な知識を伝えてあげるべきかと思います。

そして、ティーチングを受ける中で、次第に経験値も高まって来るはずです。
当然、成功事例も増えてきますので、状態もポジティブに変わってくるはずです。
そうなれば、今度は、必要以上に教えることは避けて、多少の失敗を覚悟して、一歩引いて診守ることも大切だと思います。

また、経営者やマネジャーに対してとなれば、やはり、コーティングを基本とすべきだと考えます。
逆に、この立場で、ティーチングが必要となると少々問題にも思えます。

また、経営者の場合は、組織のトップである故に孤独とも言われます。
反面、この立場になるとプライドが邪魔をして第三者を受け入れない傾向もあります。
それでも、最近は、社内に存在しない相談相手をコーチングとして社外に求めることも一般的になって来ているようです。

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