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組織における情報共有の重要性 #75 ナレッジマネジメント

人は一人で成せることには限界があります。
そのため同じ目的を持った人たちと共に組織をつくります。
しかし、同じ目的を持っているとは言え、成員個々には固有の人格があります。
また、目的を果たすための手段は、個々それぞれですし、発揮する能力も一律ではありません。
そのため組織が目的を果たすための機能としてマネジメントがあります。
マネジメントとは、人材を含めた組織の様々な資源を活用して、予め答えが用意されていない未知のパズルを完成させるようなものです。

マネジメントの手法の一つにナレッジマネジメントがあります。
ナレッジ(knowledge)とは、知識や知見、スキル、ノウハウなど役立つ情報です。

ナレッジマネジメントとは、個人の持つナレッジを組織全体で共有し、組織の生産性の向上や新たな価値の創造などにつなげる経営手法です。
知識管理、知識経営などと称される場合もあります。

しかし、組織において、そもそも、このナレッジを共有することが容易ではありません。
例えば、個人が如何に優れたナレッジを得ていても、他の成員が、共有できていなければ、組織として機能しません。
また、そのナレッジが正しく組織で共有されず、誤解されたまま認識されると組織内に混乱を生じさせる可能性すらあります。

ナレッジには、大きく、形式知と暗黙知があるとされています。
形式知とは、客観的に言語化、数値化、視覚化したものです。
組織において、ナレッジを形式知にすることによって、整理、集約され共有し、更には拡張させ易いシステムの場をつくることが出来ます。
例えば、作業手順書、マニュアル書、報告書、書籍活用などが該当します。
最近では、デジタルの普及からグループウェアの導入も一般化しました。

問題は暗黙知です。
暗黙知とは、主観的・感覚的なナレッジを指します。
例えば、職人の勘、熟練の技などと言われる言語化あるいは、数値化、視覚化ができていないものです。
暗黙知のままでは、人に伝えるのは難しく、相当の時間を要すこととなります。

従来の日本企業の雇用形態は、共同体経営から定着したメンバーシップ型雇用でした。
それは、新卒者を一括採用して、総体的に教育を実施しながら、総合職として部署の異動によって、ジョブローテーションを繰り返させながら、長期的にゼネラリストを育成して行くのが基本でした。

しかし、現代は、働き方が多様化したことから同一企業での昇進・昇給ではなく、転職によるキャリアアップを目指す人が増えています。
結果的にメンバーシップ型雇用も崩壊しつつあり、長期的なナレッジの継承も困難となりました。

ナレッジマネジメントのプロセスの事例です。
この考え方の本来は、1.→2.→3.→4.の順なのですが、私は、2.からがスタートの方がイメージし易いと捉えています。

2.表出化:暗黙知→形式知
主観的・感覚的な暗黙知を言語化、数値化、視覚化して形式知に置き換えて行く対話の場です。

3.連結化:形式知→形式知
形式知となったことで、整理、集約するシステムの場です。

4.内面化:形式知→暗黙知
形式知として、理解した上で、暗黙知として体得するための実践の場です。

1.共同化:暗黙知→暗黙知

暗黙知として共通の体験や作業を通して伝達します。
また、暗黙知の領域だからこそ、そのナレッジを拡張させることも可能な創発の場です。
主観的、感覚的な暗黙知の伝達ですので、アサーションなどのコミュニケーションも重要となってきます。

ナレッジマネジメントを行うことで、社内に点在していた情報を組織の知識として可視化し、効率的に活用できるようになります。
それによって、業務の属人化の解消やナレッジの相乗効果によって組織の活性化にも繋がります。

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