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マーケティングでイノベーションの可能性を探る #96 潜在ニーズ

マーケティングの重要性が高まっています。
マーケティングですが、「顧客のニーズ(needs:必要性)を掴んで、そのウォンツ(wants:欲求)を満たすこと」などと表現されたりします。

ポイントは、顕在的と潜在的です。

まず、顧客は、顕在的な顧客と、まだ顧客になっていない潜在的な見込み顧客が存在します。
また、ニーズにおいても、誰もが気づいている顕在的ニーズと誰も気づいていない潜在的ニーズがあります。
マーケティングでは、より潜在的な顧客やニーズに応えることで、より価値の高いウォンツを満たすことも重要となります。

世の中には、伝統に裏打ちされた既存の価値を変えずに維持し続けることが評価される製品もあります。
対して、環境の変化から顧客のニーズの変化から売上を拡大どころか維持することが困難な製品もあります。
この場合、如何にして、潜在的ニーズを創造するかが重要となります。

カナダのトロントで生姜汁にフルーツジュースやフレーバーエキスを混ぜた飲み物が発売されました。
普通、生姜と清涼飲料を結び付ける発想はないと思います。
しかし、その後に改良を加えられ、現在では、定番的な清涼飲料であるジンジャーエールとなっています。

また、19世紀末期のアメリカで、自然療法家の一人がワインをベースにコカインなどを調合させて、精力増強や頭痛の緩和に効果のある薬用酒をつくり販売しました。
その後、禁酒運動が起こったことなどからノンアルコールとなったその飲み物は、清涼飲料のコーラとして世界中で愛飲されています。

正にアイデアの創造です。

アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせだといわれています。
既存の要素とは、誰もが疑わない顕在的ニーズです。
しかし、その顕在的ニーズですが、異なる別の顕在的ニーズと組み合わせることによって、潜在的ニーズが発見できるかもしれません。

国内においても、失敗を繰り返しつつも、顕在的ニーズと顕在的ニーズの新しい組み合わせで、潜在的なニーズを生み出して、顧客のウォンツを満たした製品はたくさん存在しているはずです。

潜在的ニーズの難しさは、それを顕在化させないことには評価できないところです。
既存の価値観の中だけで評価すると、突拍子もない感覚になるかもしれません。
しかし、万人に評価されるものなどないに等しいことから、試してみないことには判断ができないはずです。

組織が目的を果たすためのマネジメントの機能には、マーケティングの他にイノベーションが不可欠であるといわれています。
イノベーションとは、潜在的なニーズに応えた新しい価値であるといえます。

そして、イノベーションとは、思わぬ副産物であることも少なくありません。

偶然から予想していなかったものが価値やアイデアを生み出す幸運だったり能力をセレンディピティといいます。

例えば、スナック菓子の定番であるポテトチップスは、レストランで出されたフライドポテトのお客とシェフのやり取りから生まれたのだそうです。
厚すぎると何度も苦情を発するお客に対して、シェフは意図的に食べにくいように、薄く、フォークが刺さらないように固く揚げて出したものが原型なのだそうです。
シェフの意図とは反して、皮肉にも、お客の潜在ニーズのウォンツを満たす結果になったという訳です。

イノベーションとは、基本的には失敗のマネジメントだと言われます。
まずは、失敗を恐れずに、たくさんのアイデアを出すことが大切です。
そこから、僅かな優れた価値やアイデアを見つけ出せるかです。
決して、顕在ニーズである既存の価値で満足することなく、セレンディピティを磨き、常に潜在ニーズを探ることで、イノベーションを創造して行きたいと思います。

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