組織への献身意欲の高さ #84 ファーストペンギン
一人で成せることには限界があります。
故に同じ目的を持った人たちで組織が形成されます。
しかし、同じ目的であるとは言え、人格は、それぞれ異なります。
また、個々の経験値などによって、発揮できる能力や方法論も違ってきます。
だからこそ、互いに補い合って、組織は機能するのです。
この生態は、何も人に限ったものではありません。
例えば、弱肉強食の野生動物の世界でも同様です。
草食動物であれば、肉食動物から自分たちの身を守ろうと、その弱さを補うために集団で行動します。
対して肉食動物も、食料の確保のために、少集団で役割分担をして獲物を襲ったりしています。
南極などに生息するペンギンは、身を守るために群れて行動しています。
海の中にいる獲物を求め、海岸を移動する際も群れです。
しかし、安易に海に飛び込もうとはしません。
なぜなら、海の中には獲物だけではなく、シャチなどの天敵もいるからです。
しかし、いずれ、1匹のペンギンが飛び込みます。
残った他のペンギンたちは、その動向を見守り、無事に獲物を得て戻ることを確認すると、一斉に海に飛び込むのだそうです。
この1匹目のペンギンがファーストペンギンです。
このペンギンの習性を初めて知った時、ファーストペンギンは愚かで、他のペンギンを狡猾だと思いました。
しかし、ウェザーニューズの創業者である故・石橋博良氏のある記事を読んでから考えを改めることができました。
それは、群れを飢えから救うには、誰かが危険な海に飛び込まなければならないという現実でした。
そして、これは、企業組織にも通ずることではないかと考えました。
ファーストペンギンとは、経営者であり、組織内のマネジャーやリーダーたちのことです。
しかし、組織の犠牲として献身するのかと悲観的になる必要はありません。
それは、それぞれの立場での責任であり、それを支える仲間が組織には存在するからです。
実際、ファーストペンギンが飛び込むのは、「信頼する仲間が周りにいる。仲間が自分を見てくれている。」と思えることなのだとする説もあるそうです。
前述の通り、組織とは同じ目的を持った人たちで形成されます。
当然のことながら属する人たちは、その目的を共有していることが前提となります。
しかし、それで、個々がバラバラでは組織としての体を成しません。
信頼できる仲間の存在、期待してくれる仲間の存在、力を貸してくれる仲間の存在。
そこで、大切になって来るのが、目的を果たすために互いに貢献し合う意欲です。
ファーストペンギンは、特定の人の自己犠牲ではありません。
誰がファーストペンギンであるかではなく、個々がファーストペンギンである自覚を持てる組織づくりが大切なのかと考えます。
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