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母の日に「言わぬが花」を贈ったはなし

小学生の頃、「母の日」に初めて自分のお小遣いをかき集め、カーネーションを買いに行ったことがあった。

お花屋さんに並ぶ真っ赤なカーネーションの中に1つだけ目立つ真っ白な鉢。

レアだ!これにしよう‼︎

母が喜ぶだろうと真っ白なカーネーションを買い、ワクワクしながら母に手渡した。

母は喜んだ!(ように見えた。)

大切に育ててくれた!!(ように見えた。)


それから何年も経ち、何回目かの「母の日」が過ぎてから母は教えてくれた。

「白いカーネーションは亡くなったお母さんに贈るものなの。初めて買ってくれたから気持ちはすごく嬉しかったけど、ちょっと複雑な気持ちだったの」と。

そういえば、母はなんだか複雑な表情だったかもしれない。

なんとなくベランダに置かれた鉢は違和感があった気もする。

母を喜ばせるはずが、私が喜ばされていたわけね。

今思えば。。。



あれから数十年。
最近はあまり店頭で白いカーネーションは見なくなった。

あの時、母は喜んで受け取ってくれたけど、私はできるだろうか?
息子に「これはね。。。」と説明しちゃったりして、お互いションボリしちゃうかも。

「言わぬが花」とはこのことだ。


お母さんありがとう。



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